部会長: | 山之内純 |
副部会長: | 冨山佳昭 松原由美子 |
部会員: | 尾崎由基男 柏木浩和 加藤 恒 清水美衣 田村典子 野村昌作 羽藤高明 堀内久徳 宮﨑浩二 矢冨 裕 山崎昌子 横山健次 |
a) 第16回SSCシンポジウム
血小板部会:開催なし
b) ガイドライン・診断基準・共同研究などの成果
COVID19ワクチン接種のガイダンス作成について討議し、当学会ホームページ、新型コロナウイルス特設ページの「新型コロナウイルスワクチン接種留意点」の作成に参加した。特に血小板減少症/血小板機能異常症の項目に関与した。
c) その他の活動
ITP患者でのワクチン接種後の血小板減少について討議し、当学会ホームページ、新型コロナウイルス特設ページの「COVID-19ワクチン接種時の注意喚起(ITP、PNH)」の作成に参加した。
引き続き、血小板に関わる基礎的・臨床的研究を進めていく予定である。
1.令和2年度の活動報告血小板部会 部会長 山之内 純(愛媛大学医学部附属病院 輸血・細胞治療部) a) SSCシンポジウム
1. 血小板減少をきたす疾患
2. 血小板減少症の鑑別診断と血小板パラメータ
3. 血小板減少への治療を目指す再生医療等製品の開発
4. 成人ITP治療参照ガイド2019年版:ASHおよびICRガイドラインとの比較 2. 令和3年度の活動計画引き続き、血小板に関わる基礎的・臨床的研究を進めていく予定である。 |
1.令和元年度の活動報告血小板部会 前部会長 横山健次(東海大学医学部内科学系 血液・腫瘍内科学) a) SSCシンポジウムの準備内容
1. 血小板減少症のオーバービュー 血小板減少の原因には、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群などの骨髄不全疾患、あるいは化学療法後、放射線治療後などでみられる骨髄での血小板産生の低下、特発性血小板減少性紫斑病でみられる抗血小板抗体による血小板の破壊、肝硬変、巨大脾腫でみられる血小板の分布の異常などがある。これらの後天的な要因に加えて、現在までに20種類以上の先天性血小板減少症の原因遺伝子も明らかにされている。日常診療では、血小板減少の原因を明らかにして、症状の改善を目的とする治療につなげていくことが大切である
2. 日常臨床に潜む家族性血小板異常症(FPD/AML) 家族性血小板異常症(Familial platelet disorder with predisposition to acute myelogenous leukemia: FPD/AML)は、幼少期からの血小板減少症を主徴とし、成人後に高率に血液腫瘍を発症する常染色体優性遺伝疾患であり、その原因は、先天的RUNX1遺伝子異常である。現在までに30家系以上の報告があり、典型的には質的および量的な血小板異常を有する。また本疾患は11-100%(中央値44%)が血液腫瘍を発症し、日本の解析では半数以上の症例で細胞周期に関わる遺伝子であるCDC25C変異が同定されている。また海外からの続報ではTET2、TP53、FLT3、DNMAT3Aなどの変異が同定されている。我々のグループが行った2家系の解析では、それぞれTET2変異とTrisomy 21を付加的異常として同定した。さらにFPD/AML患者からiPS細胞(FPD-iPSC)を作成して、健常人由来iPS細胞との比較を行った結果、FPD-iPSC は正常 iPSC と 比較して血球前駆細胞への分化効率が数分の一に低下し、それに加えて成熟巨核球への分化障害が顕著であった。
3. 血小板減少が先行する再生不良性貧血の病態診断と治療 再生不良性貧血は何らかの原因で骨髄中の造血幹細胞が減少し、最終的には汎血球減少をきたす「骨髄不全症」であり、一部は造血幹細胞自体の異常が原因で発症するものの、大部分は何らかの免疫学的機序が発症に関与していると考えられている。再生不良性貧血には疾患特異的なマーカーが存在せず、形態学的所見のみから診断することはしばしば困難であるが、免疫病態の関与を見極めるためには発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)型血球の検出や血漿トロンボポエチン(TPO)高値の所見が有用である。免疫病態の関与した再生不良性貧血では血小板減少が診断のきっかけになることが多く、巨核球増加を伴わない血小板減少症では再生不良性貧血を念頭に鑑別を進めることが重要である。また非重症例でも造血回復のためには免疫抑制剤による早期の治療介入が望ましい。
4. 成人ITP治療の参照ガイド2019年改訂版の紹介 2012年に厚生労働省難治性疾患克服研究事業血液凝固異常症調査研究班(村田班)から、「成人ITP治療の参照ガイド2012年版」が発表された。2012年版ガイドは現在においても十分有用なものであるが、サードラインに位置付けられていたトロンボポエチン受容体作動薬(TPO-RA)の使用経験が蓄積され、その長期的な有効性と安全性が明らかにされてきた。さらに欧米ではセカンドラインに位置づけられていたリツキシマブが2017年に日本で成人ITPに適応拡大された。そこで村田班では、7年ぶりに成人ITP治療ガイドの改訂を行った。本改訂の最大のポイントは、セカンドライン治療として、TPO-RA、リツキシマブおよび脾摘を推奨し、それぞれの治療の選択は、患者の状態や生活スタイルに合わせて個別に判断する、とした点にある。 2. 令和2年度の活動計画新部会長の山之内 純(愛媛大学 血液・免疫・感染症内科学)を中心として血小板に関わる基礎的・臨床的研究を進めていく予定である。 |
平成30年度血小板部会活動報告
血小板部会 部会長 横山健次(東海大学医学部付属八王子病院 血液腫瘍内科) a) SSCシンポジウム 1. 全国ITP患者統計からみた出血症状と血小板数の関連性 10年間の新規登録ITP患者21,811人の臨床調査個人票のデータを解析して、血小板数1万以下、60歳以上、血尿の存在が脳出血、消化管出血のリスクであることを明らかにした。 2. 血小板数低値の場合施行可能な血小板機能、活性化血小板の測定法 活性化血小板特異的抗体とフローサイトメトリーを用いた3カラーフローサイトメトリーのよる活性化血小板の検出法は、感度、特異度が高く、かつ微量検体でも測定可能であり、血小板減少患者の血小板機能評価に有用であることを報告した。 3. Flow cytometryを用いた慢性ITP患者の血小板機能解析 慢性ITP患者と健常人の血小板機能をFlow cytometryを用いた血小板凝集能検査により解析して、慢性ITP血小板は健常人血小板と比べ、同一サイズの血小板を評価した場合、アゴニスト、特にADPに対する反応性が低下している可能性があるが、血小板サイズが増大することにより、低反応性がある程度補填され、総合的な血小板凝集塊の形成能は健常人と同等もしくは亢進していることが推測されることを報告した。 4. 血小板減少時の抗血小板療法/抗凝固療法のアンケート調査 血栓止血学会員を対象としてアンケート調査を行い、3/4以上の医師が血小板数5万/μl以上であれば、適応のある症例では抗血小板療法/抗凝固療法を施行すべきであると考えていること、1/5以上の医師が、血小板減少時の抗血小板療法/抗凝固療法で出血性合併症または血栓症を経験したことなどを報告した。 2. 令和元年度の活動計画 血小板減少患者の出血性合併症、血栓性合併症を解析する、血小板減少時の出血・血栓症リスクを評価することを目的として、様々な病態の血小板減少症患者の血小板機能をいくつかの方法で測定する、などの研究を行い、血小板減少時に抗血小板療法/抗凝固療法をどのように行うべきかを明らかにしていく。 |
平成29年度血小板部会活動報告
部会長 横山 健次(東海大学医学部付属八王子病院血液腫瘍内科) 「血小板減少時の抗血小板療法、抗凝固療法のマネージメント」をテーマとして次回のSSCシンポジウムを開催すべく血栓止血学会総会、SSCシンポジウムの際に部会員が集まって会議を行った。 1. Chalayer E, Cavalieri D, Martignoles JA, Genthon A, Tavernier E, Tardy B. Antithrombotic therapy and platelet transfusions in hematologic malignancy patients presenting chemotherapy-induced thrombocytopenia: a French survey. Transfusion 57: 1717-1723, 2017. |
1. | 「血小板減少時の抗血小板療法・抗凝固療法のマネージメント」
部会長 横山 健次 (東海大学医学部付属八王子病院血液腫瘍内科) 血小板部会では「血小板減少時の抗血小板療法・抗凝固療法のマネージメント」をテーマに取り上げてシンポジウムを開催した。抗血小板薬・抗凝固薬は血栓症の治療、再発予防に重要な役割を果たしている薬剤であり、多くの人に処方されている。抗血小板薬・抗凝固薬のもっとも頻度の多い副作用は出血傾向であるが、血小板減少症患者でも血栓症治療ないし予防目的でこれらの薬剤を使用する場合がある。しかし血小板数がいくつまではこれらの薬剤を使用可能か、血小板減少時にはこれらの薬剤を減量すべきか、など血小板減少時に抗血小板療法・抗凝固療法をいかに行うべきか、コンセンサスはない。本シンポジウムでは現在までに報告されてきたこと、各発表者が発表した新規のデータに基づいて活発な討論を行なった。 |
1. | 今年度の活動報告
a) SSCシンポジウムの内容 b) その他の活動 c) ガイドライン、診断基準、共同研究などの成果 |
2. | 来年度の活動計画
次年度は血小板部会長の交代があり、新部会長のもとで新たなプロジェクトが開始される予定である。また、SSCシンポジウムも企画される予定である。 |
1. | 血小板凝集能検査標準化推奨案の作成について
ISTH SSCの platelet physiology subcommitteeからLTAの標準化に関する推奨案が報告された(Cattaneo M et al. J Thromb Haemost 11:1183-1189, 2013)。これを基に部会員(冨山、佐藤)が日本語版を作成した。日本語版は本邦の事情を補足した文書とするため、追記事項について部会で検討を重ねており、平成27年発行の本学会誌に投稿を予定している。 |
2. | 血小板凝集能検査用ADP試薬間差の検討について
ADP試薬をHPLCで解析して試薬間差を比較する研究を部会員(清水)が行っており、部会としてより大規模で行う研究として取り上げることを検討したが、多施設での検討はばらつき要因が大きくなることと部会として特定の試薬推奨に関わることには問題もあるため、本部会としての研究活動はしないこととした。 |
3. | シンポジウムの開催について
第9回SSCシンポジウム(東京、2015.2.28)において以下の発表を行った。 ①オーバービュー(堀内) ②cyclo-oxygenase阻害薬(松原) ③P2Y12阻害薬(西川) ④PDE3阻害薬(山之内、佐藤) ⑤GPIIb-IIIa阻害薬(冨山) ⑥PAR-1阻害薬(山崎、田村、清水) |
4. | 今後の活動方針について
血小板関連検査の現状と課題、血栓症の診療現場からみた抗血小板療法の有用性と課題、血小板減少症などをテーマに活動することが検討されてきたが、結論はまだ出ていない状況にある。 |
1. | 血小板凝集能検査標準化案の作成 ISTH SSCの platelet physiology subcommitteeから世界で最も普及している光透過性血小板凝集能検査の標準化に関する推奨案が出された(Cattaneo M et al. J Thromb Haemost 11:1183-1189, 2013) 。これを基に本血小板部会から日本語版を出版することして準備を進めている。日本語版は本邦の事情を補足した啓蒙的文書として本学会誌に投稿する予定である。 |
2. | 血小板凝集能検査用 ADP 試薬間の検討 各施設にADP試薬を配布して検討してもらう計画をしている。また、ADP試薬をHPLCで解析して試薬間差を検討する試みも部会員が行っている。 |
3. | 部会の開催 平成26年1月25日 東京国際フォーラム 第9回SSCシンポジウムの企画について話し合いが行われた。その結果、血小板部会シンポジウムのテーマと発表内容について討論し、以下のように決定した。 テーマ「抗血小板薬の分子標的とそのリスクベネフィット」 1)オーバービュー
2)cyclo-oxygenase 阻害薬 3)P2Y12 阻害薬 4)PDE3 阻害薬 5)GPIIb-IIIa 阻害薬 6)PAR-1 阻害薬 |
1.組織
委員長:羽藤高明(村田満から交代)、副委員長:佐藤金夫、冨山佳昭
委員:尾崎由基男、清水美衣、田村典子、西川政勝、野村昌作、堀内久徳、松原由美子、矢冨裕、山崎昌子
2.活動内容
1) 血小板部会会議(2012年3月10日、東京) 出席者:尾崎、佐藤、清水、田村、西川、野村、羽藤、堀内、松原、山崎 |
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(1)今年度の活動テーマ | ||||
「抗血小板薬モニター検査」についての課題を検討し、標準化に向けた取り組みを行うこととした。 | ||||
(2)具体的活動方針 | ||||
a. 血小板凝集計に用いるADP試薬の標準化 | ||||
これまでの血小板部会の活動において血小板凝集計の実施状況に関するアンケート調査が行われ、様々な過程で測定条件が異なっている実態が明らかになった。そこで、チエノピリジン系抗血小板薬の効果判定に用いられている3種類のADP試薬について同一条件下で測定をしたところ、有意な試薬間差が確認された。そこで、ADP試薬の標準化を図ることを目指して検討を進めることとした。 | ||||
b. 血小板凝集能検査実施ガイドラインの作成 | ||||
ISTHの SSC on platelet physiologyにおいて透過光血小板凝集検査の標準化が検討されており、世界規模でのアンケート調査をもとに検査ガイドラインが作成されることになっている。そこで現在の状況を確認し、国際ガイドラインが発表されればいち早く本学会会員へ啓蒙活動を行い、さらにそれを参考にして日本のガイドラインを作成することとした。2012年3月15日にISTH SSCのMarco Cattaneo からガイドラインの原稿作成中との連絡あり。 | ||||
c. VerifyNow血小板機能測定機器の早期導入要望 | ||||
VerifyNowは世界的に普及している機器であるが、本機器は本邦では医療用機器として認可されていない。そのため、その早期認可を要望すべきかどうかについて議論された。討議内容は意見書としてまとめ、本学会理事会へ提出した。 | ||||
2)血小板部会活動に関する総説(2012年8月) 羽藤高明:抗血小板薬モニター検査の臨床的異議 日本血栓止血学会誌 23:352-357, 2012. |
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3) 第7回SSCシンポジウム(2013年1月12日、東京) 「抗血小板薬モニター検査の現状と課題」のテーマで、6演題を発表。 |