血栓溶解部会

部会長: 窓岩清治
副部会長: 岡田清孝 竹下享典
部会員: 朝倉英策 一瀬白帝 岩城孝行 内場光浩 浦野哲盟 江口 豊
北島 勲 関根和彦 長尾毅彦 山田典一 山本晃士
詳細情報
  • 平成28年度活動報告書
    血栓溶解部会 部会長 窓岩清治 副部会長 岡田清孝、竹下享典
    部会員:朝倉英策、一瀬白帝、浦野哲盟、江口 豊、北島 勲、長尾毅彦、山田典一、山本晃士
    第11回日本血栓止血学会学術標準化委員会シンポジウム(2017年1月21日 野村コンファレンスプラザ日本橋)において、「血栓溶解の評価法と治療法の標準化を考える」をテーマとして血栓溶解部会発表を行った。以下にその概略を記す。
    1. 高感度PAI-1活性測定法の開発と標準化(浜松医科大学薬理学 岩城孝行)

    微量領域でPAI-1活性測定法について、PAI-1補足物質としてTAGを付加したuPA組換え蛋白を導入と新規のPAI-1標準物質を作製し測定系の安定性を得るための工夫を報告した。

    2. 抗線溶因子としてのFXIII/13と自己免疫性出血病XIII/13診療ガイドについて(山形大学分子病態学 一瀬白帝)

    国内外で診断基準が公表され、厚労省指定難病として公的医療費助成制度も開始され症例が蓄積されること、自己免疫性出血病XIII/13診療ガイド案が示された。

    3. Massive Transfusion Protocol (MTP)による重度外傷患者の救命率向上には線溶系の変動が関与する(東京都済生会中央病院救命救急センター 関根和彦)

    進行性出血性ショックを伴う重度外傷患者に対してMTPの有効性を検証した。MTPが救命率を改善する可能性があることや、その効果が過度に亢進した線溶系の制御に基づくという知見を提示した。

    4. 重症外傷患者における凝固線溶異常と新規輸血治療の試み(埼玉医科大学総合医療センター輸血部 山本晃士)

    輸血を必要とする重症外傷で症例では、来院時に高度な低フィブリノゲン血症と線溶亢進を呈し、フィブリノゲン製剤の早期投与が急性期死亡率を低下させること、またクリオプレシピテートの投与が多発外傷患者のFDP値と易出血性を改善させることを示した。

    5. FDPとD-dimerの両測定意義と使い分けについて(金沢大学附属病院高密度無菌治療部 朝倉英策)

     近年導入されてきた血漿FDP測定系には試薬間差があり、線溶活性化が高度でフィブリン/フィブリノゲン分解が進行した場合には検出されにくいこと、D-dimer測定系では試薬間差がさらに大きく、実臨床でDIC症例の拾い上げをおこなう場合にはまずFDPを測定すべきであることが提唱された。

    6. 血栓性疾患における血栓溶解マーカーの意義について(三重大学 循環器・腎臓内科学 山田典一)
     血栓性疾患の診断および治療において凝固線溶系マーカーの測定意義が高い。D-dimer値が特発性静脈血栓塞栓症における抗凝固療法中止後の再発率の予測に有用であることや、急性大動脈解離の除外診断や心房細動患者の心源性脳塞栓症の発症予防にも用いられるなど、応用範囲がますます広がる現状とその課題について総括した。

    血栓溶解部会を2017年1月21日 野村コンファレンスプラザ日本橋において開催し、これまでの活動報告および問題点と次来年度の活動計画について討議した(出席者:一瀬白帝、江口 豊、竹下亨典、長尾毅彦、窓岩清治、山田典一、山本晃士)。
    1. 今後の活動内容
    1) FDP, D-dimerの標準化
     急性期DIC診断基準に用いられているFDP・D-dimer換算表の課題とFDP、D-dimerの位置付け、基準範囲のスコアリングへの還元方法について
    2) PAI-1活性測定法の開発の進捗
    3) 第XIII因子の診療ガイド
     2017年1月28日の理事会で修正案を審議予定
    4) 血栓溶解のup to date
     t-PA製剤の現状と最新の知見、特に脳卒中、肺塞栓症の血栓溶解療法に関して、およびPAI-1阻害薬の開発トピックスに関して次回シンポジウムで企画予定
    5) その他
     敗血症における血栓溶解動態を把握することの臨床的意義およびその方策
     PAI-1やTAFIなどに関する国内外の調査活動の継続
    2. 海外の動向および問題点
     ISTH SSCにおける外傷性凝固障害の研究活動の現状
     TAFIやPAI-1阻害薬の開発における標的分子の活性測定法および薬効評価法について
     外傷性凝固障害と熱中症症例と病態比較と、フィブリノゲン製剤などの有効性の検証
     TAFIに関する国内研究の現状把握、国内外のTAFI測定系およびTAFI阻害薬開発状況の把握、次回シンポジウムでの検討課題の可否

    3. SSCシンポジウムの開催方法について
    1) 他部会との共催を次の項目について検討
     血栓溶解関連検査の標準化など
     D-dimerの評価、血栓溶解療法
     DIC診断基準と血栓溶解関連の臨床検査
    2) 血栓溶解に関連した診療ガイドラインの作成
     DIC診療ガイドラインなどで他部会との連携の必要性
  • 平成27年度活動報告書

    血栓溶解部会 部会長 窓岩清治 副部会長 岡田清孝、竹下享典
    同部会員 朝倉英策、一瀬白帝、内山真一郎、浦野哲盟、江口 豊、北島 勲、長尾毅彦、山田典一、山本晃士

    学術標準化委員会血栓溶解部会議を平27年2月20日、野村コンファレンスプラザ日本橋で開催し、今後の部会活動について討議した。

    1. FDP, D-dimerの標準化

    2015国際血栓止血学会SSC(Toronto, Canada)での標準化の進捗状況や、FDP測定試薬のほとんどが本邦で産生、使用されている現状を踏まえ、標準化の取り組みを継続的に行う必要性が論じられた。

    2. PAI-1の基礎的検討、活性測定法およびPAI-1阻害薬

    PAI-1は、血栓溶解のみならず血管新生や骨髄nicheにおける造血幹細胞の制御などの生理作用とともに、老化や腫瘍の進展、メタボリック症候群の慢性炎症など様々な病態に関わる。PAI-1を主軸に置いた病態動物モデルの基礎的解析や、高感度(40pg/mL)かつ広範囲領域(5 log)にわたりPAI-1抗原量を定量できる高感度PAI-1測定系開発について、それぞれの進捗状況が報告された。またPAI-1の機能を調節することにより、多彩な病態を治療し得る可能性をもつPAI-1阻害薬を本部会の主要テーマのひとつとして検討することが提案された。

    3. 第XIII因子と自己免疫性出血症

    厚労省研究班による調査活動により自己免疫性出血病XIIIの診断基準が公表(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000085567.pdf)された。「自己免疫性出血症治療の均てん化のための実態調査と総合的診療指針」の作成研究班による診療ガイド作成に向けた活動について報告された。

    4. 外傷患者における線溶亢進の診断と治療

    外傷起因性凝固障害(Trauma Induced Coagulopathy: TIC)は、2016年5月開催の国際血栓止血学会SSC(Montpellier, France)のSTATE-OF-ART LECTURESであり、2016年6月開催の日本血栓止血学会(奈良)SPCシンポジウムの公募テーマにも採用されており、本部会の重要な議題のひとつに位置付けられる。特に止血困難をもたらす全身性の線溶亢進病態は、フィブリノゲンを含む凝固因子の欠乏、血小板機能障害とともに、TICにおける最大の死亡原因となる。本部会では、侵襲性の高い外科手術、産科出血や重症外傷などが線溶亢進病態を惹起する機序や、線溶亢進により免疫抑制状態がもたらされる機序の解明に取り組むとともに、国内での実態調査を行いながら病態の評価方法や血液製剤の補充方法およびトラネキサム酸等による治療方法などについて検討を行い、関連する部会と協力しながら診療ガイドラインの作成を目指すことを確認した。

    5. 血栓溶解療法のup to date

    実臨床で用いられているt-PA製剤の現状と最新の知見について、対象疾患別に血管内治療デバイス等と比較し調査活動を継続することとした。

    6. 線溶系因子と病態解析

    敗血症などで生じるNeutrophil Extracellular Traps(NETs)が血栓内に存在し、その構成成分であるDNAとヒストンがプラスミン抵抗性をもたらす。NETsの制御が新規血栓溶解薬開発の標的となる可能性があり、その動向についての情報発信を検討することとした。

  • 平成26年度活動報告書

    平成27年2月28日に野村カンファレンスプラザにて開催された第9回SSCシンポジウムにて部会発表を行った(発表者:岩城孝行、長尾毅彦、竹下享典、一瀬白帝、山本晃士)。以下に、その概要を記す。

    1. 高感度PAI-1活性測定法の開発

    現在広く普及している血中PAI-1抗原測定法はELISAや EIA法が中心で、10 ng/ml程度が検出限界である。PAI-1高値に対する信頼度は高く血栓症のリスク判定にはよいが、出血性素因の検討には不十分である。本測定法では、血漿中のPAI-1抗原を約40 pg/mLの感度で測定することができ、測定レンジも5 logに達し、出血性素因となるPAI-1 欠損症の診断から、炎症等に伴う高 PAI-1 血症まで測定することが可能となった。

    2. ストレス関連疾患におけるPAI-1の病態学的意義と発現抑制

    ストレス下ではストレスホルモンを介して脂肪融解と遊離脂肪酸の放出が促進され、内臓脂肪に炎症が惹起される。PAI-1発現は遊離脂肪酸、炎症性サイトカインによる刺激で誘導され、血栓傾向を促進する。このPAI-1発現はMCP-1阻害により脂肪炎症とともに抑制された。スタチン系薬剤はストレス惹起性のPAI-1誘導を抑制するが、降圧剤、糖尿病薬などのPAI-1発現抑制効果を検討中である。

    3. 血栓溶解療法のup to date

    脳梗塞の治療薬としてのt-PA製剤および血管内治療デバイスの現状につき、最新の知見について報告した。特にt-PA使用の脳梗塞発症後のタイムウィンドウの延長や、新規血栓溶解薬の開発状況、血管内治療併用の是非については、注目すべきものがある。今後も各施設での使用経験や国内外での使用実績等を追跡・調査する。

    4. 自己免疫性出血病XIII/13(Autoimmune Hemorrhaphilia XIII/13)の診断基準について

    平成21年(2009年)に組織された研究班での調査活動により、2000年以降の10年で年間1人か0であった症例数が、2014年10月28日現在で合計44例に達した。本疾患の約2割は出血死しており、少なくとも1割は年余にわたり治療中で、寛解後の再燃もあることから、本疾患は「慢性難治性致死性疾患」であり長期経過観察が必要であると考えられた。その診断基準作成は急務であり、最新の案について報告した。

    5. 外科領域の止血不全における線溶亢進と第XIII因子の重要性

    侵襲の大きい外科手術中や産科出血、外傷患者などにおける止血不全~大量出血の背景には、凝固因子の喪失による凝固障害だけでなく、線溶亢進状態が存在していると考えられる。上記病態では第XIII因子の血中レベルが低下することが多く、第XIII因子補充治療の必要性と医学的意義について報告した。

  • 平成25年度活動報告書

    血栓溶解部会議を平成26年2月22日に野村カンファレンスプラザにて開催し(出席者:内山真一郎、浦野哲盟、江口豊、岡田清孝、竹下享典、窓岩清治、山本晃士)、今後の部会活動について討議した。以下に、その骨子を記す。

    1. FDP, D-dimerの標準化
    数社から出されているFDP, D-dimer測定試薬を用いてDIC患者検体を測定した結果、同一検体での測定値が大きくばらつくことが明らかとなった。その内容は英文誌に掲載された(Thromb Res 2013;132:457-464)。今後も検査部を中心にデータを蓄積していくとともに、試薬間での測定値の差について啓蒙していくことの重要性が確認された。その手段のひとつとして、日本血栓止血誌トピック論文としての掲載を検討する。
    2. 後天性XIII因子欠乏症診断・治療ガイドラインの作成に向けて
    XIII因子には血栓溶解阻害因子としての側面があり、XIII因子単独のSSC部会が存在しない現状では、当部会として抗XIII因子抗体が主因となる病態の診断・治療ガイドライン作成に積極的に関与していくのは妥当である旨、賛同が得られた。今後は数名でワーキンググループを組織して活動する。
    3. 血栓溶解療法の up to date
    脳梗塞の治療薬としてのt-PA製剤および血管内治療デバイスの現状につき、最新の知見について討論を行った。特にt-PA使用の脳梗塞発症後のタイムウィンドウの延長と、静脈内投与での有効性の報告は注目すべきものであり、今後も各施設での使用経験や国内外での使用実績等を追跡・調査する。
    4. 従来、臨床応用されてこなかった高感度の PAI-I 活性測定系を構築し、PAI-I 欠乏症の診断等への適用について検討する。
    5. 慢性炎症と線溶系の関連につき、慢性炎症下での脂肪組織や大動脈瘤局所での線溶系因子の発現動態と病態形成への関与につき検討を行う。
  • 平成24年度活動報告書
    血栓溶解部会長 自治医科大学 三室 淳

    1. 学術標準化委員会血栓溶解部会議を、平成24年6月9日ハイアットリージェンシー東京 27F・エクセレンスで開催し(出席者:一瀬 白帝、江口 豊、岡田 清孝、北島 勲、窓岩 清治、山本 晃士、三室 淳)、今後の部会活動について討議した。Dダイマーおよび血漿FDDP測定試薬の標準化が必要であることを提言するために、これらの試薬間差が存在することについて論文・シンポジウムで発表し、標準化が必要であることを広く訴えてゆくことを部会活動方針の一つとすることが了承された。凝固第XIII因子/フィブリノゲン部会の設置について理事会に提案され討議された結果、凝固第XIII因子/フィブリノゲンは血栓溶解部会が担当することになった。

    2. 学術標準化委員会2013(2013年1月12日)において血栓溶解部会シンポジウムを開催した。フィブリン分解産物の分子多様性とDダイマーおよび血漿FDP測定試薬に用いられているモノクロナル抗体の特異性を解析した結果を三室淳が発表した(座長:岡田清孝)。脳神経領域での血栓溶解療法の最近の進歩につき内山真一郎が、肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症に対する最新の血栓溶解療法につき山田典一が発表した(座長 浦野哲盟)。自己免疫性第XIII因子欠乏症(血友病XIII/13)の検査のアルゴリズムと診断の指針につき一瀬白帝が発表した(座長:山本晃士、北島勲)。

  • 平成23年度活動報告書
     平成23年度は血栓溶解に関わる分子マーカーの標準化を部会活動の中心とする。血栓溶解に関わる分子マーカーは標準化されておらず、多くの問題がある。DIC診断基準とDVT診断の問題から、標準化の必要な分子マーカーのなかでもDダイマーの標準化が急務である。これまでもDダイマーの標準化は、凝固線溶検査部会と臨床検査学会、検査血液学会でも討議され、標準物質の作製が困難であることを理由に各検査試薬間の差違をハーモナイゼイションで調整する方針がとられていた。事実、急性期DIC診断基準では各検査試薬に係数を乗じDダイマー値をFDP値に換算するという方法がとられている。しかし、試薬の性質からハーモナイゼイションで標準化することは学術的にも正しくないと考えられる。これらのことから、Dダイマー標準化の問題に血栓溶解部会として積極的に取り組み発言してゆくことが必要であると考え、まずDダイマー試薬に問題がある根拠となるデータを集積することを活動方針とした。
    フィブリン分解産物をゲル濾過カラムクロマトグラフィーで分離し、高分子領域FDPと低分子領域のFDPを、複数社の血清FDP、Dダイマー、血漿FDPキットで測定した結果、多様な分子形態のFDPに対する各キットの反応性の違いがあることが確認された。この結果を踏まえ、種々の分子形態のフィブリン分解産物の精製標準品を作製し、市販されているDダイマー測定試薬の各分子形態のフィブリン分解産物への反応性を明らかとする。
    このような検査試薬の標準化は、他学会やSSC部会さらにはとの共同作業が必要であるとともにNPO日本臨床検査標準協議会や日本臨床検査薬協会JACRIとも協議し進めてゆく。
  • 平成22年度活動報告書
    血栓溶解部会会議において(2010年4月23日開催)(出席者:朝倉英策、一瀬白帝、浦野哲盟、江口豊、岡田清孝、北島勲、窓岩清治、山田典一、三室淳)討議し、平成22年度の活動方針を(1)血栓溶解療法の標準化、(2)血栓溶解に関わる分子マーカーの標準化とした。

    1.血栓溶解療法の標準化

     急性冠症候群や脳梗塞などの疾患領域においては、それぞれ日本循環器学会と日本脳卒中学会から血栓溶解療法ガイドラインがすでに発表されていることから、日本血栓止血学会として新たにガイドライン作成をすることはないと考えられる。血栓溶解部会としては、専門家としての立場から血栓溶解療法を安全に行うための提言をおこなうなどの活動をおこなうこととした。
    血栓溶解療法を安全に行うために必要な、基礎的な理解や分子マーカーによるモニタリングと各疾患領域における血栓溶解療法の位置づけを同時に発表し血栓溶解療法の理解を深めるうえで重要であると考え、第5回SSCシンポジウムでは、「血栓溶解の基礎と血栓溶解療法ガイドラインの現況・展望」のタイトルで血栓溶解部会シンポジウムを2010年10月30日に開催した。前半は血栓溶解メカニズムと各分子マーカーの理解を深めるための講演を、後半は臨床に直接関わる各疾患領域の治療ガイドラインにおける血栓溶解療法の実際と展望についての講演を行った。(1)血栓溶解療法の基礎
    血栓溶解のメカニズム(基礎)(岡田清孝)
    組織型プラスミノゲンアクチベーター (t-PA)、ウロキナーゼタイププラスミノーゲンアクチベーター (u-PA)との比較や新規血栓溶解薬などについて発表した。
    血栓溶解療法:安全域と治療域の分子指標(浦野哲盟)
    線溶分子マーカーが血栓溶解療法を安全且つ有効に行う指標として有用であることを示した。
    血栓溶解薬-特徴と保険適応(窓岩清治)
    現在用いられている血栓溶解薬の分子的特徴と保険適用可能な疾患から推奨投与法・投与量について概説した。(2)各疾患領域における血栓溶解療法の実際と展望
    急性冠症候群治療における血栓溶解療法とガイドライン(木村一雄:横浜市立大学付属市民総合医療センター心臓血管センター)
    再灌流療法として迅速なprimary PCIは血栓溶解療法と比べ予後が良好で、本邦では95%前後の例でこの治療法が選択されている。しかし、PCIを追加する発症2時間以内の血栓溶解療法はprimary PCIと比べてもむしろ予後は良好との報告があり、出血性合併症が少なく、リスクの高い前壁梗塞などでは良い適応であることを示した。
    肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症に対する血栓溶解療法(山田典一)
    肺血栓塞栓症における血栓溶解療法の適応と深部静脈血栓症における血栓溶解療法の展望を示した。
    脳梗塞超急性期の血栓溶解療法:現状と展望(内山真一郎)
    脳梗塞の血栓溶解薬として組織型プラスミノゲンアクチベーター(アルテプラーゼ)静注療法の時間枠(therapeutic time window)が3時間以内と狭いこが、大規模研究から海外ではtherapeutic time windowが4.5時間となっていることが示された。

    2.血栓溶解に関わる分子マーカーの標準化

     適切なフィブリン分解産物の標準物質については検討前に、現在市販されているDダイマー測定キットに添付されている標準物質すら不明(企業秘密)である現状では、性状が明らかであるフィブリン分解産物を各測定試薬・キットで測定し、各試薬が測定し得るフィブリン分解産物を明らかとすることが第一歩であると思われた。分子形態の彰らなフィブリン分解産物を試験的に作製し、市販されている検査試薬キットで測定し各キットの測定値の比較検討を開始した。数社の検査試薬を比較した結果、フィブリン分解産物に対する反応性に試薬間差が大きいことが明らかとなった。この検討では、すべての検査試薬キットを網羅することには検査試薬会社の協力が不可欠であると同時に、関連学会との共同作業も必要であることから日本血栓止血学会としての対応が望まれる。