DIC部会

部会長: 関 義信
副部会長: 池添隆之 山川一馬
部会員: 朝倉英策 石倉宏恭 伊藤隆史 射場敏明 内場光浩 内山俊正 岡本好司
川﨑 薫 河野徳明 丸藤 哲 久志本茂樹 古賀 震 阪本雄一郎 田村利尚
西尾健治 早川峰司 松本剛史 窓岩清治 真弓俊彦 山田真也 和田英夫

詳細情報

  • 令和4年度活動報告書
    DIC部会
    部会長 関 義信(新潟大学医歯学総合病院 血液内科)

    1. 令和4年度の活動報告

    a) 第17回SSCシンポジウム
    先の第17回SSCシンポジウム報告でも述べたが、本部会では「DIC診療ガイドライン(仮)の構想と進捗状況」と題して、少ないエビデンスしかない領域が多いなかで如何に科学的根拠に則ったよりよい診療ができるかを最重要課題としてガイドライン作業を進めてきた。
     
    【各演題の報告】1.造血器腫瘍班から河野が、2.固形がん班から関が、3.感染症(敗血症)班から山川が、4.外傷班からは早川が、5.急性膵炎・急性肝不全班からは石倉が、6.血管異常班からは山田が、7.産科班からは川﨑が、8.他の基礎疾患班からは内場がそれぞれ現在までのガイドライン作成作業の進捗状況を報告した。すなわち各班でSCOPE, クリニカルクエスチョンの設定, システマティックレビューの課程等を発表した。班により多少の前後は認めるものの、大方クリニカルクエスチョンの決定とシステマティックレビューは終了しており2022年度に入ってからのガイドライン作成作業の加速が実感された。
     
    【まとめ】DICの基礎疾患領域によってはエビデンスとなる資料が非常に少なく、疾患によっては凝固異常にDICの定義が適用されない分野も存在した。今後いかにエキスパートコンセンサス的な説明と併せて真に臨床現場で役に立つ診療ガイドライン、すなわちエビデンスのない分野での診療、特定のRCTの限界を踏まえた上での解釈、分かっていることと分かっていないことに関する明確な自覚を持った診療を促すこと、などができるようなガイドラインの仕上げ作業が期待される。

     

    b) ガイドライン・診断基準・共同研究などの成果
    ガイドライン:前述。
    診断基準:活動なし。
    共同研究:「造血器腫瘍のメタアナリシスによる治療の有効性」研究が進行中で論文は投稿中である。

     

    c) その他の活動
    当部会副部会長の山川先生を中心とし、「急性期DIC研究の再活性化を推進するための委員会」が当部会とは組織上別委員会であるが関連性が深いので連携を密にして活動している。

    2. 令和5年度の活動計画

    1) 年度内に「DIC診療ガイドライン(仮)」を発表できる段階に持って行きたい。

    2) 若手部会員の発掘。

    3) 「急性期DIC研究の再活性化を推進するための委員会」への協力。

  • 令和3年度活動報告書
    DIC部会
    部会長 関 義信(新潟大学医歯学総合病院魚沼地域医療教育センター 血液内科)

    1. 令和3年度の活動報告

    a) 第16回SSCシンポジウム
    「各領域の DIC で分かっていること・未だ分かっていないこと」
    座長:関 義信(新潟大学地域医療教育センター 血液内科)    
       山川一馬(大阪医科薬科大学 救急医学)

    1. 造血幹細胞移植後の内皮障害マーカーと核内蛋白の推移について
    原田佳代1)、佐藤佑紀1)、福地恒一郎1)、柳沼真維1)、遠藤麻美子1)、深津真彦1)、高橋裕志1)
    木村 哲1)、山田晋吾2)、池添隆之1)
    (1)福島県立医科大学 血液内科、2)シノテスト(株)R & D センター免疫・遺伝子ユニット)

    2. 固形がんによる DIC -分かっていること・未だ分かっていないこと-
    鈴木隆晴1)、関 義信1,2)
    (1)新潟大学大学院医歯学総合研究科 血液・内分泌・代謝学分野、2)新潟大学魚沼地域医療教育センター  血液内科)

    3. 大動脈瘤・血管奇形に合併した DIC の病態と治療
    山田真也、朝倉英策 (金沢大学附属病院 血液内科)

    4. DPC データから見た日本における DIC のエビデンス
    田村利尚1)、沢津橋佑典1)、大場拓哉1)、平田敬治1)、岡本好司1,2)
    (1)産業医科大学 消化器・内分泌外科、2)北九州市立八幡病院 外科)

    5. 敗血症性 DIC に対する集学的治療を考える
    望月勝徳(信州大学医学部附属病院 高度救命救急センター)

    6. Thromboplasminflammation として捉える COVID-19 凝固異常症
    和田剛志(北海道大学大学院 医学研究院侵襲制御医学講座 救急医学教室)

    7. 敗血症性 DIC のこれまでとこれから
    梅村 穣(大阪急性期・総合医療センター 救急診療科)

     

    b) ガイドライン・診断基準・共同研究などの成果

    1) 各基礎疾患別のDIC診療ガイドライン(仮称)の作製を本格的に始動した。大項目はSSCで取り上げた、各分野+αを中心に作製することにした。

    2) DICの血清DAMPsレベルが予後に及ぼす影響の解析を多施設前向き共同研究で行った。

    H Mori, Y Kataoka, K Harada Shirado, N Kawano, M Hayakawa, Y Seki,
    T Uchiyama, K Yamakawa, H Ishikura, Y Irie, K Nishio, N Yada, K Okamoto, S Yamada and T Ikezoe. Prognostic value of serum high mobility group box 1 protein and histone H3 levels in patients with disseminated intravascular coagulation: a multicenter prospective cohort study. Thromb J 2022 Jun 13; 20(1): 33. doi: 10.1186/s12959-022-00390-2.

     

    c) その他の活動
    救急・集中治療領域における急性期DIC研究の再活性化を推進するための委員会発足

    2. 令和4年度の活動計画

    1) ガイドライン作製活動の継続・推進

    2) 造血器DICに関するDPCデータベースからの研究

    3) 救急・集中治療領域における急性期DIC研究の再活性化を推進するための委員会活動の発展

  • 令和2年度活動報告書
    DIC部会
    部会長 関 義信(新潟大学魚沼地域医療教育センター 血液内科)
    副部会長 池添 隆之(福島県立医科大学 血液内科学講座)

    1. 令和2年度の活動報告

    a) 第15回SSCシンポジウム
    SSCシンポジウムは部会長 池添隆之の司会の元、「DICの新たな病態解明に向けて」のテーマで以下の6演題の発表がなされた。

    梅村穣 大阪急性期・総合医療センター
    『COVID-19における凝固線溶異常の病態:単施設後ろ向き観察研究』

    森博隆 福島医大血液内科
    『COVID-19の凝固異常に対する抗凝固療法:Scoping Review 2020』

    中村謙介 日立総合病院
    『DICはPIICS進展の独立した危険因子となる:単施設後ろ向き観察研究』

    原田佳代 福島医大血液内科
    『造血幹細胞移植後の血液凝固異常と核内タンパクの関連』

    和田英夫(三重県立総合医療センター)
    『後天性の著明アンチトロンビン低下は、線溶抑制を伴い、DICの予後を著しく悪くする。―リコモジュリン市販後調査成績の解析―』

    菅 幸生(金沢大学医薬保健研究域薬学系)、朝倉英策(金沢大学附属病院 高
    密度無菌治療部)
    『ラットDICモデルを用いた研究のピットフォール -DIC誘発物質による病態の違い-』
     

    b) 共同研究報告
    2017年に本学会から「DIC診断基準2017年版」が発表された。DIC部会ではこの新基準の有効性を評価する目的で、DIC部会員の施設を受診したDIC疑いの患者を登録してその血液凝固検査値と臨床アウトカムを前方視的に評価することとした。
    2017年11月から2020年3月までに合計200例を登録し2020年の年次総会で中間解析結果を報告した。
     

    2. 令和3年度の活動計画

    1.「様々な基礎疾患に合併するDIC患者における凝固線溶マーカーの動態研究」を最終集計し、解析結果を2022年に開催予定の第44回日本血栓止血学会学術集会で発表予定とする。

    2.「DICの診療ガイドライン(仮称)」に関しては、構想・役割分担等はすんでいるが、2年近く活動が頓挫している。これをなんとか再開し、ガイドラインの作成にこぎ着けたい。

    3. 救急領域のDICレジストレーションはかなり大規模になされているが、造血器腫瘍領域のDICレジストレーションは構想もない。様々な病態の理解、治療成績の改善のために造血器腫瘍領域のDICレジストレーションの可否を検討したい。

     

  • 令和元年度活動報告書
    DIC部会 部会長 池添隆之(福島県立医科大学 血液内科学講座)

    1. 令和元年度の活動報告

     
    a) SSCシンポジウムの準備内容
    「DICの新たな病態の解明に迫る」のタイトルのもと、以下の8演題が発表予定された。
    1.宮崎県立宮崎病院内科の河野徳明先生は、トロンボモデュリン アルファ(TM-α)の製造販売後調査の合計2795例のDIC症例(感染症:1990例,造血器悪性腫瘍:805例)において, TM-αによりDIC治療された患者の背景と転帰をサブグループ解析により後方視的に解析した。その結果 Sequential organ failure assessment (SOFA)スコアが高いと患者の転帰が悪化することが明らかになったとのことである。
    2.福島県立医科大学血液内科の原田佳代先生は、造血器腫瘍に合併したDIC患者で、抗がん剤治療前に採血を行いHMGB1やヒストンといった核内蛋白質の血清濃度を測定した。その結果、DICスコアとこれら蛋白濃度が相関すことから、白血病細胞の核内から漏れ出てくるこれら蛋白が、DICの発症や進行に関与しているのではないかと結論付けた。
    3.新潟大学医歯学総合病院魚沼地域医療教育センター血液内科の関義信先生もTM-αの製造販売後調査の症例を対象とした後方視的研究結果を行った。対象はDICの基礎疾患が造血器腫瘍であり、TM-α初回投与の1032例である。主要評価項目はFAB分類等の詳細分類別のDIC離脱率、副次評価項目はDIC改善率、投与開始後28日転帰、基礎疾患改善率、出血症状の消失率・改善率・非悪化率、詳細分類別の凝固線溶マーカーおよびDICスコアの推移である。今回の網羅的な検討で、M3, M2, M4, M1, M5, L2がDICの頻度が高く、M3, M7, CML-BCのDICが治療前の出血症状が多いことが判明した。
    4.大阪急性期・総合医療センター救急診療科の村尾修平先生はWeb scrapingによりMEDLINEから情報を抽出し以下の分析を行い発表予定であった:①論文基本情報からDIC研究の地域別トレンドを探る、②基礎疾患別の論文数を年代毎に並べDIC研究の学術トレンドを辿る、③論文抄録に含まれる用語を言語処理することでDIC研究内容の詳細についてそのトレンドを表現する、④本邦におけるDIC論文著者ランキングを作成する。
    5.大阪急性期・総合医療センター救急診療科の梅村穣先生は単施設で血小板数10万未満であった20,359検体についてその原因検索を行った。血小板減少症の原因は非常に多彩であったが、TMAやHITの頻度は低く、さらにその多くはDIC診断基準を満たしてしまう可能性が明らかになった。これらの少数症例を適切にカバーできるアルゴリズムの確立の必要性を強調した。
    6.藤田医科大学医学部 麻酔・侵襲制御医学の長谷川大祐先生は、日本国内42 のICU施設から登録された3195例の成人敗血症患者を対象としたJ-Septic DIC registryの公開データセットを用い、機械学習手法にて、敗血症患者がDICを発症していく過程を早期予測するモデルの作成を試みた。機械学習としてサポートベクターマシン、ランダムフォレスト、ならびに従来手法である多重線形回帰分析の予測能を比較したところ、ランダムフォレストが優れていることが明らかになったが、今後更なる改良が必要であるとのことである。
    7.北海道大学大学院医学研究院侵襲制御医学講座救急医学教室の和田剛志先生は、外傷性凝固障害はDAMPsによるトロンビン産生亢進を起点とするDICであると主張し、ショックを発症の必要条件とし活性化プロテインC増加による抗凝固亢進、トロンビン産生低下によると主張する「APCセオリー」に対する反論を発表予定であった。
    8.北海道大学病院救急科の早川峯司先生は外傷直後の凝固障害の病態を明らかにすることを目的に、ラット鈍的外傷モデルを用いて検討を行った。その結果、外傷直後は生体は凝固活性化状態にあることが明らかになった。

    b) ガイドライン、診断基準、共同研究などの成果

    現在DIC部会では「様々な基礎疾患に合併するDIC患者における凝固線溶マーカーの動態研究」を行っている。1年間で200例を登録して2017年に本学会から発表されたDIC新案基準の有用性を検証する前向き研究である。2020年3月時点で141例まで集積が進み、2020年度で目標達成の予定である。

    2. 令和2年度の活動計画

    「様々な基礎疾患に合併するDIC患者における凝固線溶マーカーの動態研究」を継続して、その中間解析結果を2020年6月に開催予定の第42回日本血栓止血学会学術集会(web配信)で発表予定である。

     

  • 平成30年度活動報告書
    DIC部会 部会長 池添隆之(福島県立医科大学 血液内科学講座)

    1. 平成30年度の活動報告

     
    a) SSCシンポジウム
    「DICの新たな診断法と治療法の確立を目指して」をテーマに掲げて、120分間で8演題について発表と質疑応答を行った。
    三重大学の和田英夫先生からはAPTT波形によるDICの病態解析について、奈良県立医科大学の 矢田憲孝先生からは凝固線溶波形解析による敗血症DICの重症度予測についての発表がなされた。何れの検査法も自施設で短時間かつ簡便に行うことが可能で、今後これらの検査の標準化が期待される。福島県立医科大学の原田佳代先生からは血液がんの腫瘍崩壊時に合併するDICにおけるHMGB-1やヒストンなどの傷害関連分子の診断マーカーとしての有用性について報告がなされた。日立総合病院の園生智弘先生からはICUに入室した敗血症患者の日々のデータから、機械学習手法によりDICの病態の進展を予測する試みについての興味深い発表がなされた。大阪急性期・総合医療センターの村尾修平先生からは、血液凝固異常を伴う敗血症に対する遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤(rTM)の有効性について、システマティックレヴューの結果が報告された。ランダム化比較試験5編(総患者数1762人)を対象とした解析であるが、エビデンスレベルの確実性に不精確さが残るため、今後更なる大規模臨床試験が必要であるとの結論であった。大阪大学高度救命救急センターの松原庸博先生からは、日本救急医学会FORECAST敗血症コホートを対象として、DICにおける血漿フィブリノゲン値とアンチトロンビン活性の意義について考察した研究結果が報告された。それによると、両パラメータは敗血症患者の生命予後と関連がある可能性が示唆された。ヤマカガシ咬傷に対応する研究班員である聖路加国際病院救急部の一二三亨先生から、2017年に発生した2例の重症ヤマカガシ咬傷例の血液凝固検査値の推移が紹介された。フィブリノゲンの著減とフィブリン分解産物の著増を特徴とする線溶亢進型DICの像を呈したが、これらは抗毒素の投与と共に軽快した。さらに、初期対応におけるrTMの有用性も示唆された。最後に、慶應大学医学部救急医学教室の林田敬先生から、マウス全身性虚血再灌流障害モデルにおける一酸化窒素(NO)吸入や、生体内でNO濃度を制御するGSNO還元酵素阻害薬の有用性が報告された。これらの治療ストラテジーは、心停止蘇生後症候群の生命予後や社会復帰率を改善する可能性があり早期の臨床応用が望まれる。

    b) ガイドライン、診断基準、共同研究などの成果

    2017年に本学会から発表された「DIC診断基準2017年版」(Asakura H, Thromb J. 2016;14:42)の有効性を検証する目的で、下記の名称で多施設共同研究を行っている。2019年5月現在、6施設から63検体のデータが収集されている。
    「様々な基礎疾患に合併するDIC患者における凝固線溶マーカーの動態研究」UMIN000032972
    シノテストとの共同研究で、上記研究で収集したDIC患者血清中のHMGB-1やヒストンH3の濃度を測定して、これらのDIC発症への関与について検討中である。

    c)その他の活動

    特記なし

    2. 令和元年度の活動計画

    「様々な基礎疾患に合併するDIC患者における凝固線溶マーカーの動態研究」の検体収集を進める。
    DIC診療ガイドラインを作成する。

     

  • 平成29年度活動報告書
    DIC部会 部会長 福島県立医科大学血液内科学講座 池添隆之

    1. 平成29年度の活動報告

    DIC部会の活動を活性化させるため新たに以下の5名を新部会員として迎えた。
    災害医療センター 竹迫直樹先生、宮崎県立宮崎病院血液科 河野徳明先生、北海道大学先進急性期医療センター 救急科 早川峯司先生、大阪府立病院機構大阪急性期・総合医療センター 山川一馬先生、産業医科大学第一外科 田村利尚先生
     
    a) SSCシンポジウム
     「明日からのよりよいDIC診療をめざして」のタイトルのもと、救急領域から4演題、血液内科領域から4演題発表して頂いた。
    救急領域では敗血症DICに対する抗凝固療法の是非、その治療開始のタイミングに関する臨床研究報告や(大阪大学 梅村先生、大阪急性期・総合医療センター 山川先生)、適正な抗菌剤の投与と抗凝固療法が予後の改善に必要であることを示唆する研究報告(信州大学 望月先生)がなされた。また、敗血症DICの原因となるneutrophil extracellular traps (NRTs)を治療標的とすることの意義に関する動物実験結果(藤田保健衛生大医学 下村先生)が報告された。
    血液内科領域では、急性前骨髄球性白血病に合併するDICとそれ以外の急性骨髄性白血病に合併するDICの血液凝固検査値の違いについて(新潟大学魚沼地域医療教育センター 関先生)、DICをトロンボモジュリン製剤で治療した際のアンチトロンビンの上昇が患者予後予測マーカーとなりうる可能性について(帝京大学 川杉先生)、単施設における136名のDIC患者のトロンボモジュリン製剤による治療成績(県立宮崎病院 河野先生)、急性骨髄性白血病に合併したDICをトロンボモジュリン製剤で治療すると生命予後が改善する可能性(国立病院災害医療センター 竹迫先生)について、報告がなされた。合計85名が参加して活発な意見交換がなされた。

    b) ガイドライン、診断基準、共同研究などの成果

    朝倉英策先生を委員長としてDIC診断基準作成委員会が編成され、新たなDIC診断基準が作成された。DIC診断基準2017年度版として血栓止血誌2017; 28 (3): 369-391に発表された。

    c)その他の活動

    特になし

    2. 平成30年度の活動計画

    a)各DIC部会員の施設で、DICあるいはその疑いのある患者を登録し、DIC診断基準2017年度版の有効性を前向きに検証する。「様々な基礎疾患に合併するDIC患者における凝固線溶マーカーの動態研究」のタイトルで、2018年3月現在、福島県立医科大学、国際災害医療センター、宮崎県立中央病院で倫理委員会の承認を受けて既に検体収集が開始している。他の施設でも順次、試験を開始して頂く予定である。

    b)2009年に日本血栓止血学会標準化委員会DIC部会より「科学的根拠に基づいた感染症に伴うDIC 治療のエキスパートコンセンサス」が公表され、その後2014年にminor changeが行われた。初版発表後10年近くが経過したことや、日本集中治療医学会・日本救急医学会から「日本版敗血症診療ガイドライン2016」が発表され、この中でDIC診療に関しても触れられていることも受け、この度、エキスパートコンセンサスを全面的に改訂すべくワーキンググループが組織され改訂作業を開始した。

     

  • 平成28年度活動報告書

    1. 平成28度の活動報告

    a) SSCシンポジウム
     2017年1月21日第11回日本血栓止血学会学術標準化委員会シンポジウム(当番世話人岡本好司)において、テーマ「DICの病態・診断・治療を再考する」について第1部を座長:朝倉英策(金沢大学附属病院 高密度無菌治療部)、岡本好司(北九州市立八幡病院 外科/消化器・肝臓病センター)、第2部を座長:関 義信(新潟大学医歯学総合病院魚沼地域医療教育センター・魚沼基幹病院血液内科)、内山俊正(高崎総合医療センター臨床検査科)のもと、8題の演題発表・討論を行った。演者と発表演題名は、第1部の4題が滋賀医科大学救急集中治療医学講座 救急科 江口 豊:敗血症性DICの診断・治療開始基準を再考するーアンチトロンビン製剤の特定使用成績調査の解析からー、熊本大学医学部附属病院 輸血・細胞治療部 内場光浩:検査医学的観点から見たDIC診断のための各種凝固線溶系マーカーの妥当性と重み付けの問題、三重大学医学部血液腫瘍内科 青田卓実:日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案の検討、高崎総合医療センター臨床検査科 内山俊正:肝不全症例におけるDIC診断であり、第2部の4題は、佐賀大学医学部附属病院高度救命救急センター 三池 徹:高濃度のアンチトロンビンは血小板機能と凝固機能に影響を及ばすのか?(Point of care testingを用いた試み)、高知大学医学部附属病院血液・呼吸器内科 池 成基:DIC診断基準(旧厚生省)には満たないものの抗凝固療法が必要であった凝固異常合併悪性リンパ腫症例の臨床的特徴、佐賀大学医学部附属病院高度救命救急センター 小網博之:敗血症性DICに対する遺伝子組み換えAT製剤の使用状況とその効果、奈良県立医科大学 総合診療科矢田憲孝:敗血症性DICに対するトロンボモジュリン製剤の重症度別・原因疾患別の効果~重症例と腹膜炎に効く!~であった。

    b) ガイドライン、診断基準、共同研究などの成果

    1. 日本血栓止血学会DIC診断基準の作成
     2016年度に作成を認められた、日本血栓止血学会DIC診断基準案の後ろ向きvalidation論文を参考にして、正式な日本血栓止血学会DIC診断基準2017年版を作成し、発表した(血栓止血誌28(3):369-391, 2017)。診断基準案とともに総説をThrombosis Jに投稿、受理された(Thromb J. 2016;28;14:42)。
    2. 日本血栓止血学会DIC診療ガイドライン作成
     2009年に学会誌(血栓止血誌 20(1):77-113, 2009)に報告した科学的根拠に基づいた感染症に伴うDIC治療のエキスパートコンセンサスの改訂作業を行っている。委員の選出を理事会に答申、認められた後作成中である。主だった章立てとCQ案の抽出が終了し、ワーキンググループの担当部分振り分けが行われ、2018年度中の完成を目指して活動中である。

    c)その他の活動

     第38回日本血栓止血学会学術集会(嶋 緑倫会長)にて、DIC部会員を中心に日本血栓止血学会・日本救急医学会ジョイントシンポジウムを行った。テーマは、「新しいDICの診断と治療」であり、朝倉英策(金沢大学附属病院 高密度無菌治療部)、久志本成樹(東北大学大学院医学研究科・医学部 救急医学分野)両名を座長として、日本救急医学会から遠藤重厚(盛岡友愛病院)、岡本好司(血栓止血学会にも属している)(北九州市立八幡病院 外科/消化器・肝臓病センター)、日本血栓止血学会から伊藤隆史(鹿児島大学病院救命救急センター/大学院医歯学総合研究科システム血栓制御学)、松本剛史(三重大学医学部付属病院輸血部/大学院医学系研究科血液・腫瘍内科学)の4名が講演を行った。
     

    2. 平成29年度の活動計画

    a) 2018年2月10日開催の第12回日本血栓止血学会学術標準化委員会シンポジウムにて、DIC部会はシンポジウム開催予定である。

    b) DIC診療ガイドライン委員会によるガイドライン改訂を予定している。

    c) 元部会長の朝倉英策先生、前部会長の岡本、新部会長の池添隆之先生、担当理事の和田英夫先生を中心に、DIC診断基準暫定案の前向きvalidation studyをDICの診断項目や病態の検討とともに行う予定である。

     

    文責 日本血栓止血学会 学術標準化委員会 DIC部会
    部会長 北九州市立八幡病院 消化器・肝臓病センター 岡本好司

  • 平成27年度活動報告書
    1.今年度の活動報告
    a) SSCシンポジウムの内容
     2016年2月20日第10回日本血栓止血学会学術標準化委員会シンポジウムにおいて、テーマ「DICの臨床 : 治療をどう行って行くべきか?」について第1部を座長:関義信(新潟大学医歯学総合病院魚沼地域医療教育センター・魚沼基幹病院血液内科)、朝倉英策(金沢大学附属病院 高密度無菌治療部)、第2部を座長:内山俊正(高崎総合医療センター臨床検査科)、川杉和夫(帝京大学医学部 内科)のもと、8題の演題発表を行った。
    演者は、白幡聡(北九州八幡東病院)、岡田英志(岐阜大学大学院医学研究科 救急災害医学)、小網博之(佐賀大学医学部附属病院高度救命救急センター)、川杉和夫(帝京大学医学部内科学)、大坪広樹(産業医科大学救急医学)、池成基(高知大学血液・呼吸器内科)、門平靖子(金沢大学附属病院血液内科)、内場光浩(熊本大学医学部付属病院輸血細胞治療部)の8名であった。
    b) その他の活動
     第37回日本血栓止血学会学術集会にて、DIC部会員を中心に日本血栓止血学会・日本救急医学会ジョイントシンポジウムを行った。テーマは、「重症敗血症とDIC —新しいDIC診断基準とアンチトロンビンの役割—」であり、丸藤哲(北海道大学先進急性期医療センター救急科)、岡本好司(北九州市立八幡病院 外科/消化器・肝臓病センター)両名を座長として、日本救急医学会から藤嶋清太郎(慶応義塾大学医学部総合診療教育センター)、小倉裕司(大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター)、日本血栓止血学会から射場敏明(順天堂大学救急・災害医学)、和田英夫(三重大学医学研究科検査医学)の4名が講演を行った。
    c)DIC診療ガイドライン改訂委員会の立ち上げ
     2015年7月学会理事会に2009年に学会誌(血栓止血誌 20(1):77-113, 2009)に報告した科学的根拠に基づいた感染症に伴うDIC治療のエキスパートコンセンサスの改訂を行うDIC診療ガイドライン改訂委員会の立ち上げを答申し、2016年1月の理事会で正式に認められた。
    d) 日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案の内容(日本血栓止血学会雑誌に掲載された内容)を一部含む「英文総説論文」の発表許可を学会理事会に答申し(前部会長の朝倉英策先生より)、2016年3月の理事会にて認められた。
     

    2.来年度の活動計画

    a) 2017年1月21日開催の第11回日本血栓止血学会学術標準化委員会シンポジウムにて、DIC部会は参加予定である。
    b)DIC診療ガイドライン委員会の委員の一部とワーキンググループに部会員の参加予定であり、ガイドライン改訂を予定している。
    c)前部会長の朝倉英策先生、現部会長の岡本を中心に、DIC診断基準暫定案のvalidation studyを行う予定である。
     

    文責 日本血栓止血学会 学術標準化委員会 DIC部会
    部会長 北九州市立八幡病院 消化器・肝臓病センター 岡本好司

  • 平成26年度活動報告書
    1.第9回日本血栓止血学会学術標準化委員会シンポジウム
    2015年2月28日第9回日本血栓止血学会学術標準化委員会シンポジウムにおいて、テーマ「新DIC診断基準と実際の臨床」について第1部を座長:川杉和夫(帝京大学医学部 内科)、朝倉英策(金沢大学附属病院 高密度無菌治療部)、第2部を座長:窓岩清治(東京都済生会中央病院 臨床検査医学科,自治医科大学 分子病態研究部)、岡本好司(北九州市立八幡病院 消化器・肝臓病センター)のもと、8題の演題発表が行われた。 

    2.新DIC診断基準案の作成および学会誌への投稿

    診断基準作成委員会のもと、DIC部会はワーキンググループとして、また一部の部会委員は作成委員会の委員として、新DIC診断基準案作成に関わった。

    血栓止血誌 25(5):629-646, 2014

     

    3.科学的根拠に基づいた感染症に伴うDIC治療のエキスパートコンセンサスの追補版の作成および学会誌屁の投稿

    2009年に学会誌(血栓止血誌 20(1):77-113, 2009).に報告した科学的根拠に基づいた感染症に伴うDIC治療のエキスパートコンセンサスは作成から5年経過しており、近年、DIC治療に用いられるようになったリコンビナントトロンボモジュリンのDIC治療に有効であるとのエビデンスが発表される様になったことから、追補版を作成し、学会誌に掲載した。

    血栓止血誌 25(1):123-125,2014.

     

    4.新DIC診断基準案に対する妥当性の確認を行うことを検討し、次年度に計画することをDIC部会委員会会議(2015年2月28日)にて決議した。

     

     

     

    文責 日本血栓止血学会 学術標準化委員会 DIC部会

    部会長 北九州市立八幡病院 消化器・肝臓病センター 岡本好司

  • 平成25年度活動報告書

    1.平成25年6月10日 第3回DIC診断基準作成委員会。

    <総括>
    1) 感度、特異度ともに優れた診断基準をめざすなかで、分子マーカーの意義を見出すべきである。
    2) スコアリング法による診断基準が良い。基本となる基準とは別に、感染症、骨髄抑制のサブカテゴリーを設定する方法がある(継続審議予定)。肝不全では減点の配慮を行う。
    3) 血小板数の経時的低下を組込むのが良い。
    4) FDPとDDの同時測定は臨床的意義があるが、漫然と同時測定するのは良くない。
    5) PTはDICに特異的ではないが、スコアリングの中に組込む意義がある。
    6) SFやTATが正常なら減点するように用いる方法がある。
    7) ATを採用する場合には、ATが低下しないDICには適用しない。
    8) 改定案では、産科、新生児には適用できない。

    2.平成25年10月28日 SSC/DIC部会会合

    <総括>
    1) 分類
    2) 血小板数
    3) 分子マーカー
    4) FDP
    5) アンチトロンビン
    6) プロトロンビン
    7) フィブリノゲン
    8) 肝不全
    9) 疑いの項目
    10) 診断スコア
    11) 備考欄の追加
    以上について、討論した。

    3.平成25年12月28日 第4回DIC診断基準作成委員会。

    1) 新DIC診断基準作成のためのアンケート結果報告
    2) 旧厚生省診断基準と改訂案との相違点の確認
    3) アルゴリズムの作成
    4) 原案資料における備考に対する議論 診断基準の下欄に注とする
    5) 診断基準案各項目の議論
    以上について、討論した。

    4.平成26年2月1日

    科学的根拠に基づいた感染症に伴うDIC治療のエキスパートコンセンサスの追補
    血栓止血誌 2014;25(1):123-125

    5.平成26年2月22日 第8回日本血栓止血学会学術標準化委員会シンポジウム報告

    『DIC診断・治療のエビデンスの構築』のテーマ
    過去最高の12演題の発表
  • 平成24年度活動報告書
    1) 平成24年5月 「DIC診断基準作成委員会」設置申請。
    2) 平成24年9月10日 第1回 DIC診断基準作成委員会。
    (総括)
    1. 旧基準をベースに修正作業を行う。
    2. 基準となる診断基準を持ちつつも、多基礎疾患に該当できる基準を作成する。など
    3) 平成24年9月~平成25年1月 DIC診断基準作成のための文献検索:部会員で分担して検索(全41ページで資料化)。
    4) 平成25年1月12日 第7回SSCシンポジウム「DIC診断基準の改訂に向けて」部会員より6演題の発表。
    5) 平成25年1月12日 SSC/DIC部会会合。「DIC診断基準作成委員会」への要望事項につき議論。
    (総括)
    1. 急性期基準と新基準の関係をどうするかの見解が必要。
    2. DICの本態を評価する分子マーカー(TAT、SFなど)を是非とも取り入れて欲しい。
    3. 診断基準を基礎病態別にするかどうかの議論は重要。
    4. AT、PAT-I、e-XDPなどの予後反映マーカーを診断基準に入れるのか、それとも付随する重症度基準に入れるかは論点。
    5. VTE、大量胸・腹水、大血腫などによるFDP上昇もある。VTEの画像検索(下肢静脈エコーなど)を考慮する。 など。
    6) 平成25年2月2日 第13回日本DIC研究会で「日本血栓止血学会SSC/DIC部会の方針」の発表
    7) 平成25年2月4日 第2回 DIC診断基準作成委員会:SSC/DIC部会会合の文献検索の結果を踏まえて議論。
    (総括)
    1. 基礎疾患(または基礎病態)別の診断基準が良い。スコアリング法が妥当。
    2. 重症度分類もあると治療に直結しやすい。
    3. 臨床症状(臓器障害)を基準に組込まない場合には、PT、ATはあっと方が良い。Fbgは感染症では無力だが、他の基礎疾患ではしばしば有用。
    4. 誤診対策 など。
  • 平成20年度活動報告書
    顧問:丸山征郎、坂田洋一
    部会長:和田英夫
    副会長:朝倉英策、岡嶋研二、丸藤哲コアメンバー:
    朝倉英策(金沢大)、内場光浩(熊本大)、射場敏明(順天堂大)、窓岩清治(自治医大)、内山俊正(国立高崎病院)、江口 豊(滋賀医大)、岡嶋研二(名古屋市立大)、岡村 孝(久留米大)、小倉真治(岐阜大)、岡本好司(産業医大)、川杉和夫(帝京大)、丸藤 哲(北大)、久志本成樹(日本医科大学)、小池 薫(京都大)、古賀 震(静岡県立大)、関 義信(新発田病院)、真弓俊彦(名古屋大)、和田英夫(三重大)
    (敬称略)

    活動報告

    a)

    治療指針の作成
    科学的根拠に基づいた感染症に伴うDIC治療のエキスパートコンセンサスとして、日本血栓止血学会誌2009年20巻第1号として公表された。また、英語版については、H20年度総会時にSSC吉岡委員長から許可を受けた(副委員長坂田先生、尾崎先生、松尾先生、居石先生、一瀬先生、丸山先生同席)。現在Thrombosis Researchに投稿中

    b)

    プロスペクティブスタデイ
    和田、川杉先生を中心に集計中、現在500例を集積
    H21年度血栓止血学会総会(シンポ・一般演題)で発表予定

    c)

    日本救急医学会との共同研究
    学会レベルでの共同研究は中止されたが、研究者レベルでの共同研究は継続中である。
    急性期DIC診断基準の検証、DIC治療ガイドラインの作成など
    H21年度救急医学会総会で感染症に伴うDIC治療のエキスパートコンセンサスを発表予定

    d)

    その他の学会との連携
    日本臨床化学学会との共同研究を進行中

    e)

    ISTH/SSCとの連携
    H19年度ウイーンのSSCに、和田、丸藤が出席した。(和田co-chairman)
    和田、2010年度からSSC/DIC部会のchairmanを努める予定である。

    f) 平成20年の日本血栓止血学会学術標準化委員会シンポジウムで、アジアの研究者も招いてDICの病態の討議が行われた。

    今後の目的

    a) DIC診断基準プロスペクテイブスタデイを進める。
    i) 止血系分子マーカーのカットオフ値の決定
    ii) 新しい診断基準の作成
    iii) 抗凝固療法モニタ法ーの開発
    iv) その他
    b) 感染症以外ならびに慢性期DIC治療ガイドライン案の作成
    c) ISTH/SSCならびにAPCTHとの連携を深める

    予定

     

  • 平成19年度活動報告書
    顧問:丸山征郎、坂田洋一
    部会長:岡嶋研二
    副会長:朝倉英策、岡嶋研二、丸藤哲コアメンバー:
    朝倉英策(金沢大)、内場光浩(熊本大)、射場敏明(順天堂大)、窓岩清治(自治医大)、内山俊正(国立高崎病院)、江口 豊(滋賀医大)、岡嶋研二(名古屋市立大)、岡村 孝(久留米大)、小倉真治(岐阜大)、岡本好司(産業医大)、川杉和夫(帝京大)、丸藤 哲(北大)、久志本成樹(日本医科大学)、小池 薫(京都大)、古賀 震(静岡県立大)、関 義信(新発田病院)、真弓俊彦(名古屋大)、和田英夫(三重大)
    (敬称略)

    活動報告

    a)

    日本救急医学会との共同研究
    学会レベルでの共同研究は中止されたが、研究者レベルでの共同研究は継続中である。
    急性期DIC診断基準の検証、DIC治療ガイドラインの作成を行っている。
    学術標準化委員会シンポジウムにて、日本救急医学会での検討内容の報告をしていただいた。

    b)

    その他の学会との連携
    日本臨床化学学会との共同研究を進行中

    c) プロスペクテイブスタデイ 2005年度より開始、現在約400例がエントリーされた。さらに参加施設を募集中である。
    d)

    ISTH/SSCとの連携
    ウイーンのSSCに、和田、丸藤がが出席した。
    和田、2010年度からSSC/DIC部会のchairmanを努める予定である。

    e)

    DICの治療に関するガイドライン作成について
    2001年よりガイドライン案の作成を行っていたが、現在、ガイドライン案は学会本部に提出され、学会内の評価委員会を通過し、日本救急医学会、日本集中治療学会、日本感染症学会の外部評価委員の評価を受け、これも無事通過した。そこで、最終段階として、学会内のCOIの評価も無事通過した(H20年8月2日)。最終段階で、学会理事の最終評価を受けている。

    f) 平成20年の日本血栓止血学会学術標準化委員会シンポジウムで、アジアの研究者も招いてDICの病態の討議が行われた。

    今後の目的

    a) 感染症DIC治療ガイドライン完成をめざす。(学会本部に提出中)
    b) DIC診断基準プロスペクテイブスタデイを進める。
    c) 慢性期DIC治療ガイドライン案の作成
    d) ISTH/SSCならびにAPCTHとの連携を深める

    予定

    日本血栓止血学会総会にて、日本救急医学会とのジョイントシンポジウムの開催ならびにDICシンポ(フォーラム)を予定しています。
    また、平成21年の日本血栓止血学会学術標準化委員会シンポジウムにて、発表を予定しています。
  • 平成18年度活動報告書
    顧問:丸山征朗、坂田洋一
    部会長:和田英夫
    副会長:朝倉英策、岡島研二、丸藤哲コアメンバー:
    朝倉英策(金沢大)、内場光浩(熊本大)、射場敏明(順天堂大)、窓岩清治(自治医大)、内山俊正(国立高崎病院)、江口 豊(滋賀医大)、岡島研二(名古屋市立大)、岡村 孝(久留米大)、小倉真治(岐阜大)、岡本好司(産業医大)、川杉和夫(帝京大)、丸藤 哲(北大)、久志本成樹(日本医科大学)、小池 薫(東北大)、古賀 震(静岡県立大)、関 義信(新発田病院)、中川克(立命館大)、真弓俊彦(名古屋大)、和田英夫(三重大)
    (敬称略)

    活動報告

    a) 日本救急医学会との共同研究
    学会レベルでの共同研究は中止されたが、研究者レベルでの共同研究は継続中である。
    急性期DIC診断基準の検証、DIC治療ガイドラインの作成を行っている。
    日本救急医学会で、DIC治療ガイドライン案を発表
    学術標準化委員会シンポジウムにて、日本救急医学会での検討内容の報告をしていただいた。
    b) その他の学会との連携
    日本臨床化学学会との共同研究を進行中
    日本血液学会/日本臨床血液学会シンポジウムで、DIC治療ガイドライン案を報告した。
    c) プロスペクテイブスタデイ 2005年度より開始、国立病院機構高崎病院、武内病院、三重大ICU、三重大第二内科、洛和会 音羽病院、久留米大学、産業医大、順天堂、北大、山田赤十字病院、帝京大が参加し、現在223例がエントリーされた。さらに参加施設を募集中である。
    d) ISTH/SSCならびにAPCTHとの連携
    ノルウエーのSSCに、和田が出席、日本の成績を報告した。
    蘇州/中国でのAPCTHに参加し、DICに関するシンポジウムを開催し、アジアでの連携を深めた。
    e) DICの治療に関するガイドライン作成について
    2001年より文献読破を行い、ガイドライン案の作成を行っていたが、本年度は集中的に会議を行い(延べ8日間)、その成果がまとまったため、平成18年度日本DIC研究会、日本血液学会/日本臨床血液学会シンポジウム、日本救急医学会ならびにSSC学術シンポで、案として発表して、フィードバックを試みた。現在、ガイドライン案は学会本部に提出された。
    f) 平成19年度日本血栓止血学会学術標準化委員会シンポジウムで、午前に感染症DIC治療ガイドライン案に関するシンポジウムを開催し、夕方にはDIC診断のためのシンポジウムを開催した。詳細については血栓止血誌の、平成19年度日本血栓止血学会学術標準化委員会シンポジウムを参照いただければ幸いです。

    今後の目的

    a) 感染症DIC治療ガイドライン完成をめざす。(学会本部に提出中)
    b) DIC診断基準プロスペクテイブスタデイを進める。
    c) 止血系マーカーのカットオフ値の決定
    d) 慢性期DIC治療ガイドライン案の作成
    e) ISTH/SSCならびにAPCTHとの連携を深める

    予定

    日本血栓止血学会総会にて、日本救急医学会とのジョイントシンポジウムの開催ならびにDICシンポ(フォーラム)を予定しています。また、平成20年度日本血栓止血学会学術標準化委員会シンポジウムにて、発表を予定しています。
  • 平成17年度活動報告書
    顧問:丸山征朗、坂田洋一
    部会長:和田英夫
    副会長:朝倉英策、岡島研二、丸藤哲コアメンバー:
    朝倉英策(金沢大)、内場光浩(熊本大)、射場敏明(順天堂大)、窓岩清治(自治医大)、内山俊正(国立高崎病院)、江口 豊(滋賀医大)、岡島研二(名古屋市立大)、岡村 孝(久留米大)、小倉真治(岐阜大)、岡本好司(産業医大)、川杉和夫(帝京大)、丸藤 哲(北大)、久志本成樹(日本医科大学)、小池 薫(東北大)、古賀 震(静岡県立大)、関 義信(新発田病院)、中川克(立命館大)、真弓俊彦(名古屋大)、和田英夫(三重大)
    (敬称略)

    活動報告

    a) 日本救急医学会との共同研究
    学会レベルでの共同研究は中止されたが、研究者レベルでの共同研究は継続中である。
    急性期DIC診断基準の検証、DICガイドラインの作成を行っている。
    日本救急医学会で、DIC治療ガイドライン案を発表予定
    b) その他の学会との連携
    日本臨床化学学会との共同研究を進行中
    日本集中治療学会で、DIC治療ガイドライン案を発表
    c) レトロスペクテイブスタデイ— 感染症DICに関するTAT、PIC、D-dimerのEBMを確立するために論文がThrombosis Haemostasisにacceptされる。
    Asakura H, Wada H, Okamoto K, Iba T, Uchiyama T, Eguchi Y, Kawasugi K, Koga S, Mayumi T, Koike K, Gando S: Evaluation of hemostatic molecular markers for diagnosis of disseminated intravascular coagulation in patients with infections. Thromb Haemost, 2006; 95: 282-7
    d) プロスペクテイブスタデイ 2005年度より開始、国立病院機構高崎病院、武内病院、三重大ICU、三重大第二内科、洛和会 音羽病院、久留米大学、産業医大、順天堂、北大、山田赤十字病院、帝京大が参加し、現在116例がエントリーされた。さらに参加施設を募集中である。
    e) ISTH/SSCとの連携 4月Houstonの会議ならびにSydneyのSSCに岡島、和田が出席、日本の成績を報告した。
    f) DICの治療に関するガイドライン作成について 2001年より文献読破を行い、ガイドライン案の作成を行っていたが、その成果がまとまったため、平成17年度本学会総会サテライトシンポジウム、ならびにSSC学術シンポ、日本集中治療学会コンセンサスシンポジウムで、案として発表して、フィードバックを試みた。以下のその報告を記載した。

    サテライトシンポ「DIC治療の進歩と治療ガイドライン案」報告(和田英夫)

    2006年11月25日(金)の 第28回日本血栓止血学会学術集会終了後18:00-20:30に、約250人が参加して、以下のプログラムにておこなわれた。

    司会 和田英夫(三重大)

    第一部 ヘパリン・ヘパリノイド
    座長 坂田洋一(自治医科大)、江口豊(滋賀医大)
    1) 慢性DICに対するダナパロイドナトリウムの有用性 御舘靖雄(金沢大)
    2) ヘパリンとヘパラン硫酸の構造と抗凝固機序の違い 小嶋哲人(名古屋大)
    3) ヘパリン/ヘパリノイドの治療ガイドライン 川杉和夫(帝京大)、関 義信(新発田病院内科)
    第二部 抗線溶療法のガイドライン、プロテアーゼインヒビター、FFP/血小板
    座長 岡村 孝(久留米大)、窓岩清治(自治医科大)
    4) 線溶/抗線溶療法のガイドライン 朝倉英策(金沢大)、窓岩清治(自治医科大)
    5) DICにおけるプロテアーゼインヒビターのベストエビデンス 小池 薫(東北大)、真弓俊彦 (名古屋大)
    6) 血小板/新鮮凍結血漿療法ガイドラインの検討 古賀 震(静岡県立大)、内山俊正(国立病院機構高崎病院)
    第三部 ATIII/PC/TM
    座長 丸山征郎(鹿児島大)、岡本好司(産業医大)、丸藤 哲(北大)
    7) アンチトロンビンによる臓器保護作用の新しい側面 岡嶋研二(名古屋市大)
    8) ATIII/PC/APC・TMの治療ガイドライン  射場敏明(順天堂大)、岡本好司(産業医大)、久志本成樹(日本医大)

    ・最初の症例報告から、熱い討論がなされた。まずは、線溶亢進の定義やDICの病態に関する用語などについて議論がなされた。この討論には時間を要したが、共通の認識でDICの病態を論じるためには、必要な議論と考えられた。その後、坂田先生と朝倉先生を中心に用語の統一がなされる予定である。
    ・未分画ヘパリンについては、抗凝固作用が強力なこと、モニターができること、安価であることなどから、DIC治療薬として推奨すべきとの意見がでた。DVTの成績をそのままDICに取り入れても良いかの意見もでた。
    ・抗線溶療法においても、DICの病態の定義についての議論がなされた。
    ・合成プロテアーゼインヒビター、補充療法については、意見がでなかった。
    ・ATIIIの場合は、敗血症の臨床試験の大量投与の成績が、DICに採用して良いかなどが問題になった。

    平成18年度日本血栓止血学会学術標準化委員会シンポジウム報告 (和田英夫)

    このDIC治療ガイドラインに関するシンポジウムは、平成18年2月18日(土)13:00-16:00に、慶應義塾大学で約150人の参加者を集めて行われた。以下のプログラムに沿って活発な議論がなされたが、臨床医の参加が少なかったなどの問題があった。

    座長 坂田洋一(自治医科大)、和田英夫(三重大)

    1) DICにおけるプロテアーゼインヒビターのベストエビデンス 小池 薫(東北大)、真弓俊彦(名古屋大)
    2) 基礎疾患の治療 岡本好司(産業医科大)、小倉真治(岐阜大)
    3) DICの病態と線溶 窓岩清治(自治医科大)
    4) 抗線溶/療法のガイドライン 朝倉英策(金沢大)、窓岩清治(自治医科大)
    5) ヘパリン/ヘパリノイドの治療ガイドライン 川杉和夫(帝京大)、関 義信(新発田病院)
    6) 血小板/新鮮凍結血漿療法ガイドラインの検討 内山俊正(国立病院機構高崎病院)、古賀 震(静岡県立大)
    7) ATIII/PC/APC・TMの治療ガイドライン 射場敏明(順天堂大)、久志本成樹(日本医科大)
    8) DICのアルゴリズム/総合討論 丸藤 哲(北海道大)、和田英夫(三重大)

    ・合成プロテアーゼ阻害剤(SPI)では、SPIの臨床試験はかなり以前に行われ、最近の薬剤との単純な比較はできないとの意見がでた。SPIがCであるならば、他剤もCではないかの意見もでた。SPIの評価はさらに検討することとなった。また、プロテアーゼインヒビターは合成プロテアーゼ阻害剤と呼ぶこととした。また、FOYとフサンでは、違いがあるのではとの意見も出た。
    ・基礎疾患の治療(推奨土A)については、ほぼ合意が得られた。
    ・線溶療法の推奨度いついても、ほぼ合意が得られた。
    ・未分画ヘパリン(UFH)の推奨度Cについては、大きな異論が出なかったが、はっきりした血栓が有る場合は推奨度Bでもよいのではとの意見がでた。低分子ヘパリン(LMWH)とダナパロイド(DS)の推奨度Bに関しては、SPIと評価が異なる明確な根拠がないなどとの意見が出た。特にDSの評価に問題がでた。
    ・補充療法に関しては、推奨度に問題はでなかったが、血小板輸注の是非とTTPの関連など、議論された。
    ・ATIIIに関しては、120%の根拠、大量療法の是非などの議論がなされた。
    ・アルゴリズムに関しては、さらに検討する必要があるとされた。

    第33回日本集中治療医学会学術集会“コンセンサスカンファランス「DICの治療指針」”の開催報告 (関 義信)

    さる3月2日16:30-17:30、グランキューブ大阪(大阪国際会議場)の12F 特別会議場にて第33回日本集中治療医学会学術集会(学会第一日目)コンセンサスカンファランス 「DICの治療指針」が催された。2月18日の日本血栓止血学会SSCミーデイングと同様に、日本血栓止血学会 学術標準化委員会DIC検討部会は日本DIC研究会、日本集中治療医学会の協力のもと参加をしてきた。内容は、ここまで検討してきたDIC治療指針の原案を発表した後、会場から質問と意見を募る形式で行われた。座長、演題、発表者は以下の通りであった(時間の関係で各筆頭演者が講演した)。

    座長 真弓俊彦(名古屋大)、和田英夫(三重大)

    1) 基礎疾患の治療 岡本好司(産業医大)
    2) DICにおけるヘパリン/ヘパリノイドの治療ガイドライン 川杉和夫(帝京大)、関 義信(新発田病院)
    3) DICにおけるプロテアーゼインヒビターのベストエビデンス 真弓俊彦(名古屋大)、小池 薫(東北大)
    4) 血小板/新鮮凍結血漿療法ガイドライン 内山俊正(国立病院機構高崎病院)、古賀 震(静岡県立大学)
    5) 線溶/抗線溶療法のガイドライン 朝倉英策(金沢大)、窓岩清治(自治医科大)
    6) アンチトロンビン・/活性化プロテインC治療のガイドライン 射場敏明(順天堂大)、 久志本成樹(日本医大)

    演題(6)に引き続き、射場先生から感染性DIC治療のアルゴリズムが提示された。
    参加者の人数は約300人で、臨床医が約半数と考えられた。会場フロアーからの意見としては、ATIII単独療法開始翌日のATIII活性測定の必要性の是非が問われた。丁度カンファランス直前のDIC検討部会打ち合わせの会でも内部から同様の質問が出ていたので、引き続き検討することとした。他にはあまり積極的な意見は出なかったため、各薬剤の推奨度に対しての意見をフロアーから挙手をして頂くことで我々の提案した推奨度と比較をすることにした。いずれの選択肢にも挙手をしなかった学会員が半数以上を占めた状況での考察であるが、DICと診断したらまず未分画ヘパリン(UFH)を使用するという学会員はおらず、合成プロテアーゼインヒビター(SPI)、低分子ヘパリン(LMWH)、ダナパロイド(DS)を使用するという人が多かった。また、ATIIIを使用すると答えた人もかなり多かった。ATIIIとの併用では、DSを使用する人が比較的多かった。推奨度に関しては、UFH: 血栓症に対しては推奨度B, LMWH: B, DS: AT投与ではB, FOYならびに FUTは出血の恐れが有る場合B, ATIII: Bに挙手する学会員が多かった。これは我々が提示した推奨度とおおむね合致していた。一方、集中治療学会ということでSPIに関する詳細な意見を期待していたが、この点に関しては突っ込んだ意見や質問は得られなかった。

  • 平成16年度活動報告書

    活動報告

    a) 日本救急医学会との共同研究
    学会レベルでの共同研究は中止されたが,研究者レベルでの共同研究は継続中である.
    救急領域のDIC診断基準案の欧文論文がacceptされた.
    Gando S, Wada H, Asakura H, Iba T, Eguchi Y, Okamoto K, Ohtomo Y, Kawasugi K, Koga S, Koseki K, Tsuji H, Mayumi T, Murata A, Nakagawa M, Endo S: Evaluation of new Japanese diagnostic criteria for disseminated intravascular coagulation in critically ill patients. Clin Appl Thromb Hemost. 2005 ; 11 : 71-6.
    b) その他の学会との連携
    日本臨床化学学会との共同研究を進行中
    c) レトロスペクテイブスタデイ— 感染症DICに関するTAT,PIC,D-dimerのEBMを確立するために論文化を検討中である.
    d) プロスペクテイブスタデイ 2005年度には19施設で開始予定.さらに参加施設を募集中である.(最後にプロトコールを掲載)
    e) ISTH/SSCとの連携
    1月Houstonの会議に岡島,和田が出席,6月VeniceのSSCには和田が出席して,日本の成績を報告した.
    f) 分子マーカーを中心とした 「切迫DICを含む感染症のDIC診断基準」 作成のための前向き試験の背景}を日本血栓止血学会誌 15 : 561-566,2004に投稿した.
    g) DICの治療に関するガイドライン作成について
    真弓,射場を中心に文献を読破して,上記ガイドラインを作成する予定である.

    シンポジウム/研究会の開催

    i) コンセンサスシンポジウム開催
    「新しい分子マーカーと新しいDIC診断基準の作成」(平成16年11月18日10 : 30-12 : 00)
    座長:射場敏明 (順天堂大),和田英夫 (三重大) (奈良県新公会堂)感染症DICでは高サイトカイン血症を伴い,高頻度に多臓器不全を合併して予後が悪く,DICの臨床経過は早く,フィブリノゲンやFDPなどのグローバルマーカーのみの診断基準では感度は鈍いことが確認された.感染症DICの診断は早期に行なう必要があり,それには止血系分子マーカーを用いることが必須であり,そのカットオフ値の設定のためにはプロスペクテイブスタデイを行なうことが重要であるとの結論に達した.このため,現在期待されている新しいマーカーについてのdiscussion,現在検討中であるプロスペクテイブスタデイ案の報告,感染症DICが難治性である理由について,講演された.

    1)線溶系マーカー 窓岩清治(自治医科大)
    2)顆粒球活性化マーカー;PR3 兼児敏浩(三重大)
    3)救急領域のDIC診断基準プロスペクテイブスタデイ 丸藤 哲(北大)
    4)感染症のDICに対するプロスペクテイブスタデイ 川杉和夫(帝京大)
    5)何故,感染症のDICは難治性か 江口豊(滋賀大)
    ii) 平成16年度日本DIC研究会「早期DIC診断基準」
    日時:平成16年9月4日 (土) 18 : 45-20 : 15(日本臨床検査医学会内)
    場所:京王プラザホール大会場
    座長:丸山征郎 (鹿児島大),和田英夫 (三重大)新しいDIC診断基準に対する長い討論にもやっと結論が見え始め,新しいDIC診断基準は感染症のDICに重点を置き,早期診断を行うことに,多くの先生方からコンセンサスが得られました.やっと,新しいDIC診断基準作成のためのプロスペクテイブスタデイが始まろうとしています.専門の先生方にそれぞれの早期診断基準案について,熱き思いを語っていただきました.

    1.和田英夫 (三重大) non-overt-DIC診断基準案の評価 (5分)
    2.古賀 震 (和医大) 救急領域のDIC診断基準案 (10分)
    3.丸藤 哲 (北大) プロスペクテイブスタデイについて (10分)
    4.朝倉英策 (金沢大) 分子マーカーを用い早期DIC診断基準案 (10分)
    5.岡島研二 (熊大) 切迫DICの診断基準案 (10分)
    6.窓岩清治 (自治医大) 「敗血症に伴うDICの早期診断基準案」 (10分)
    7.丸山征郎 (鹿児島大) 「新しいDIC診断」 (10分)
    8.川杉和夫 (帝京大) 「プロスペクテイブスタデイ」 (10分)

    分子マーカーを中心とした 「切迫DICを含む感染症のDIC診断基準」 作成のための前向き試験

    2004のプロトコール

    【背 景】
    現在,本邦においてDIC診断のゴールドスタンダードとして用いられているのは,依然として1988年に改訂された厚生省DIC診断基準である.いわゆるグローバルテストを中心とし,スコアリングで診断をおこなうこの基準は,その後に続く 「ISTHのDIC診断基準」 の作成にも大きな影響を及ぼした.しかしながら,改訂から15年以上を経て,DICの病態解明がすすみ,また多くの治療薬剤が利用できるようになった今日においては,もはや現状にそぐわないものとなっていることも事実である.感染症を基礎とするDICは,敗血症におけるTNF-aなどの炎症性サイトカインによって引き起こされるシステム障害のひとつとして認識され,活性化好中球により惹起される臓器障害の増悪因子であることが判明した.また,DICに使用される薬剤のなかには,抗凝固作用に加えて,抗炎症作用を有するものがあることも判明し,DIC治療の目的は従来の微小血栓形成の抑制とともに炎症反応をも抑制し,活性化好中球による臓器障害の軽減とその増悪の防止であると考えられるようになった.すなわち,凝固異常が著明でないDICに至る前の段階でも,炎症性サイトカイン産生抑制作用を有する抗凝固薬剤は,すでに存在する活性化好中球による臓器障害と凝固異常の両方を抑制し,病態改善作用を発揮しうるものと思われる.事実,活性化プロテインCによる重症敗血症治療では,それらの患者の予後が有意に改善されているが,これらの患者は,ISTHによる診断基準のうちOvert DICだけではなくNon–overt DIC症例をも含むことが判明している.これらの事実は,これまでのように明らかな凝固異常としてのDICの病態完成を診断し,治療を開始するのではなく,臓器障害そのものとその増悪因子としての凝固異常を早期から把握し,治療を開始することの有用性を示すものである.
    このような背景から考えると,重症感染症症例の予後を改善するためには,DICに至る前段階,すなわち重症感染症の臓器障害の増悪因子になりうる凝固異常 (切迫DIC,すなわちimpending DIC) を診断する基準を設定することが必要となっている.凝固線溶研究の進歩から,現在では,凝固異常を早期から診断しうる優れた分子マーカーが利用できるようになっているので,これらの新しい検査項目を取り入れることによって,impending DICの診断基準を作成することが必要であろう.なお現在,救急医学会により 「救急領域のDIC診断基準案」 の有用性を検証する前向き試験が準備されており,われわれの研究はこれと互いに補完するような役割を果たすことを期待する.
    実際に,敗血症症例の凝固異常をprospectiveに連続的に評価し,近い将来に死亡,overt-DICの発症あるいは臓器障害の合併の有無と止血系分子マーカー値等との差異を解析し,いわゆるImpending DICの診断基準を設定する.期待される分子マーカーとしては,フイブリン分解産物,可溶性白血球接着分子,血管内皮細胞マーカー,トロンビン関連マーカーおよび組織因子経路マーカーなどがある.【目 的】
    1)感染症止血異常症例を対象に,止血系分子マーカーの科学的な評価を行い,有用性が確認された分子マーカーを取り入れた 「切迫DICを含む感染症の診断基準」 を作成する.
    —ただし,コントロールとして非感染症DIC症例も収集し,2次的目的として非感染症のDIC診断基準の作成も試みる.
    2)具体的には,検査項目の選択ならびに検査の区切り値を決定する.以下についてのエビデンスを作成する.
    a)生命予後,
    b) 厚生省基準 (あるいはISTH基準ならびに救急領域基準) DICの発症,
    c)臓器障害の発症,
    3)DICの新しい診断基準の作成は,2) の解析結果を待って,dataに基づいてdiscussionにより決定する.
    —必要があれば (dataの組み合わせのため),第2,第3のプロスペクテイブを行う.
    —新しいDIC診断基準の性格は,2) の解析の結果による.全く新しい診断基準になるのがbetterであるが,厚生省診断基準よりも早期診断するものになるかもしれないし,厚生省基準と同じ感度・特異曲線になってしまうかもしれない.【対象および方法】
    A群:SIRS症例 — ICU,救急領域,一般内科
    1)感染症が確認された,あるいは臨床的に感染症の存在が疑われる症例
    2)SIRS症例 (SIRS基準2項目以上を満たす)
    以上2項目を満たす症例を登録する.以下に記載された項目につき,調査および検査 (SRL用採血を含む) を行う.
    B群:非SIRS症例 — 主に血液内科
    DICの臨床症状があり,DICが疑われる患者
    *SIRS症例はA群に登録しても良いが,最終的には委員会で判定する.
    (除外症例)
    抗癌剤,放射線療法,肝硬変などで血小板減少が見られる症例.15歳以下の小児【DIC治療について】
    ・分子マーカーの採血は治療前に行う.
    ・骨髄での血小板産生非低下群は厚生省基準で5点になるまで,骨髄での血小板産生低下群は2点になるまで,治療を行なわない.
    ・治療開始時点で分子マーカーの評価は終了する.【採血ポイント】
    採血ポイントは3ポイント
    a) 登録時,b) 48-72時間後,c) 5-7day
    *ただし,治療が入った場合は治療前の採血を行なうのが望ましい.
    *治療後の分子マーカーの採血は行なわなくても良い
    16-3-1【プロスペクテイブスタデイ測定項目】:止血系分子マーカーについて
    (SRL測定にて,結果報告)
    1)フィブリンモノマー複合体 (ロッシュ)
    2)D-ダイマー  (ロッシュ)
    3)PIC (ヤトロン)
    4)Total-PAI-I (ヤトロン)
    5)F1+2 (デイド)
    6)トロンボモジュリン(第一ファインケミカル)
    7)TAT (SRL試薬部)
    8)AT (第一薬品)(三菱ヤトロンが測定,dataの報告はしない)
    9)GE-XDP,D-dimer,SF,IL-6
    10) HMG-1(三重大測定)
    11) PCT
    12) E-セレクチン
    13) ADAMTS13
    14) CRPが測定できない施設は大学で測定a) 検体の回収,b) 検体の分注,保存,c) 以上の項目の測定,
    その他,保存検体を用い協議の上種々の項目を測定する.—試薬メーカーの優劣は公開しないようにする.【採血量】
    クエン酸加血 4.5 cc 1本 + 1.8 cc 1本 (SRLより採血管ならびにオーダー用紙配布)【検体の流れ】
    1)各施設で採血後血漿を抽出し,SRLへ搬送
    2)SRLで測定
    3)残血は2に分け,三菱ヤトロンと三重大へ搬送
    4)ヤトロンで9) の測定
    5)三重大で10)-13) の測定【記載項目】
    1)背景項目:ID,年齢,性,基礎疾患,感染症の種類:
    2)必須項目:出血症状,臓器症状 (SOFAスコア),血小板数,PT,FDP,フィブリノゲン,DICスコア,SIRSスコア,
    3)追跡項目:28日後までの予後 (死亡日),14日目までのDIC (発症+なら) の改善,DIC (発症―なら) 発症の有無,【目標症例】1,000例
    参加予定施設
    1) 北海道大学救急部 丸藤 哲,2) 東北大学救急医学 小池 薫,3) 筑波大学血液内科 長澤俊郎,4) 自治医科大学血液科 窓岩清治,5) 国立高崎病院内科 内山俊正,6) 順天堂浦安病院 射場敏明,7) 帝京大学内科 川杉和夫,8) 日本医科大学高度救命センター 久志本成樹,9) 新発田病院内科 関 義信,10) 金沢大学第三内科 朝倉英策,11) 名古屋大学集中治療部 真弓俊彦,12) 三重大学救急部 畑田 剛,13) 三重大学第二内科 和田英夫,14) 和歌山県立医科大学血液内科 古賀 震,15) 滋賀医科大学救急集中治療部 江口 豊,16) 産業医科大学第一外科 岡本好司,17) 大分県厚生連鶴見病院内科 樋園和仁,18) 久留米医科大学血液内科 岡村 孝,19) 洛和会音羽病院救命救急センター 安田冬彦,【期 間】
    平成17年1月1日から平成18年12月31日まで

    オーガナイザー 坂田洋一 (自治医科大学血液科),丸山征郎 (鹿児島大学臨床検査医学)
    アドバイザー  岡島研二 (熊本大学 臨床検査医学)
    事務局 和田英夫(三重大学医学部臨床検査医学)
    〒514-8507 三重県津市江戸橋2-174
    電話:059-232-1111,FAX:059-231-5204,

    16-3-2

    16-3-3 16-3-4 16-3-5

  • 平成15年度活動報告書

    組織構成の改変 メンバー(敬称略)

    担当理事:中川雅夫
    顧問:丸山征朗、坂田洋一
    部会長:和田英夫
    副会長:朝倉英策、岡島研二、丸藤哲コアメンバー:
    朝倉英策(金沢大)、内場光浩(熊本大)、射場敏明(順天堂大)、窓岩清治(自治医大)、内山俊正(国立高崎病院)、江口 豊(滋賀医大)、岡島研二(熊本大)、岡村 孝(久留米大)、岡本好司(産業医大)、川杉和夫(帝京大)、丸藤 哲(北大)、久志本成樹(日本医科大学)、小池 薫(東北大)、古賀 震(和歌山県立医大)、関 義信(新発田病院)、中川克(立命館大)、真弓俊彦(名古屋大)、和田英夫(三重大)

    活動報告

    a) 日本救急医学会との共同研究
    救急領域の診断基準案を作成(血栓止血誌14: 536-545, 2003)し、レトロスペクテイブスタデイ結果を欧文にて論文投稿中(Ganndou S, et al: Clin Appl Thromb/Hemost inpress)である。学会レベルでの共同研究は一旦中止したが、研究者レベルでの共同研究は継続中である。
    b) その他の学会との連携
    日本臨床検査医学会、日本検査血液学会、日本臨床化学学会、日本血液学会、日本臨床血液学会との共同研究を模索中
    c) レトロスペクテイブスタデイ— 感染症DICに関するTAT、PIC、D-dimerのEBMを確立するために、既に300例以上を集積、朝倉Drを中心に論文化を検討中
    d) プロスペクテイブスタデイの計画を検討中である。2004年度には開始予定
    e) ISTH/SSCとの連携— 1月Houstonで会議(岡島、和田出席)、6月VeniceのSSC(和田出席予定)
    f) コンセンサスシンポジウム開催— 国際化、アジアとの強調、感染症DIC、EBMの確立
    目的に、2003年11月27日(木曜日)に京王プラザホテルにて行った。
    座長 朝倉英策(金沢大学)、和田英夫 (三重大学)

    1.Management of Disseminated Intravascular Coagulation(DIC) in Obstetric Patients (20 min)
    Doyeun Oh, MD, Pochon CHA University
    2.High dose AT III in severe sepsis – the KyberSept trial. (20 min)
    Mathias Juers, M.D, Aventis Behring.
    3.救急領域のDIC診断基準 (15 min) 北海道大学医学研究科 救急医学分野 丸藤 哲
    日本救急医学会・日本血栓止血学会 DIC合同委員会
    4. 日本臨床検査医学会/日本DIC研究会での討論結果ならびに今後の方向性について(15 min)
    天草中央総合病院 古賀 震
    g) 日本DIC研究会との連携 平成15年10月29日(水)18:30-20:30(日本検査医学会開催中)、場所; 広島国際会議場第2会場、聴衆;約160人、「DIC検査の標準化」を開催
    座長 丸山征郎、和田英夫

    1.天野景祐先生(東京医科大学付属病院臨床病理科)「DIC診断におけるFDPの意義と標準化」
    2.片桐尚子先生(慶応義塾大学医学部中央臨床検査部)「D-ダイマーの標準化」
    3.島津千里先生(帝京大学病院医学部附属病院中央検査部)は、「DICにおけるフィブリンモノマーの有用性」
    4.朝倉英策先生(金沢大学医学部高密度無菌治療室)「止血系分子マーカーの意義」
    5.窓岩青治先生(自治医科大学分子病態研究部)「DICにおける白血球エラスターゼの関与」
    6.丸山征郎先生(鹿児島大学臨床検査医学)「臓器不全の新規サイトカイン:HMG-1」

    以下の内容で、DIC診断に関する提言を出す。(最終的にはガイドライン)(別掲)

    「感染症のDICは臓器障害を高頻度に合併して、予後が悪いため早期診断・治療が重要である。診断に関しては、フィブリノゲン値の低下は殆どなく、FDPなどの増加も軽度であるため、新たな診断基準を作成した方が良い。」
  • 平成14年度活動報告書

    検討部会の主目的

    1) DICに関する教育・啓蒙活動
    2) DIC研究の活性化
    3) 新しいDIC診断基準ならびにカイドラインの作成
    4) EBMの確立(臨床研究を行う)
    5) 国際血栓止血学会(ISTH)/科学的標準化委員会(SSC)との連携
    6) 他の領域(救急・集中治療学会など)との連携。

    *(現在のところは、日本DIC研究会と連携して1)-6)の事項を行う。)

    活動報告

    1) 各委員が個人的、組織的にDICの啓蒙・教育活動に取り組んだ。
    2) 米国で行われたISTH/SSCに出席:ISTH/SSCのovert-DIC診断基準案と厚生省DIC診断基準の比較成績を発表した。
    3) 日本救急医学会と日本血栓止血学会の合同委員会を結成して、救急領域のDIC診断基準案を作成した。
    4) 日本救急医学会と日本血栓止血学会の両学会で合同シンポジウムを開催し、「救急領域のDIC診断基準案」について討議した。
    タイトル:日本救急医学会DIC特別委員会と血栓止血学会学術専門委員会DIC検討部会の合同による「救急領域のDIC診断・管理・治療指針」の作成について
    座長 丸藤 哲(北大)、和田英夫(三重大)1.内科領域のDIC 川杉和夫(帝京大)、辻 肇(京都府立医大)
    2.救急領域のDIC 大友康裕先生(国立東京災害医療センター)、江口豊(滋賀医科大)
    3.科学的根拠に基づく管理・治療指針 真弓俊彦(名古屋大)
    4.診断基準における「症状、global項目」の考え方 岡本好司(産業医大)
    5.救急領域のDIC診断基準案 朝倉英策(金沢大)、村田厚夫(杏林大)
    6.救急領域のDIC診断基準案のレトロスペクテイブ解析 小関一英(川口市立医療センター)
    7.分子マーカー 古賀震(天草中央総合病院)、射場敏明(順天堂大浦安病院)
    8.総合討論
    5) 日本救急医学会DIC特別委員会・日本血栓止血学会学術委員会DIC検討部会合同委員会中間報告を作成した。

    平成15年度の活動目標

    1) バーミンガムのSSCにて救急領域のDICについて発表(済み)。
    2) 日本救急医学会との合同委員会は一旦解散し、日本血栓止血学会のみで止血系分子マーカーのEBMを集める。
    3) コアメンバーを中心として、日本臨床検査医学会で「DIC検査の標準化を目的として」研究会を行う。
    4) 平成15年度の日本血栓止血学会総会で、コンセンサスシンポジウムを行う。テーマーは国際化ならびに他学会との連携です。
    各自がDICの教育・啓蒙活動を行う。
  • 平成13年度活動報告書

    検討部会の主目的

    1) DICに関する教育・啓蒙活動
    2) DIC研究の活性化
    3) 新しいDIC診断基準ならびにカイドラインの作成
    4) EBMの確立(臨床研究を行う)
    5) 国際血栓止血学会(ISTH)/科学的標準化委員会(SSC)との連携
    6) 他の領域(救急・集中治療学会など)との連携。

    *(現在のところは、日本DIC研究会と連携して1)-6)の事項を行う。)

    活動報告

    第24回日本血栓止血学会学術集会、ミニシンポジウムの実施

    a) 参加者 120名+αで、血栓止血学会員、集中治療・救急医療の医師、検査技師、製薬会社、試薬会社の研究者
    b) 内容:「ISTH/SSCミーテングの新しいDIC診断基準について」
    i)事務局連絡 和田英夫
    ii)特別講演 Alan R Giles先生 座長 射場敏明先生
    「Disseminated intravascular coagulation (DIC)- The antithesis of normal haemostasis-」
    iii)特別講演 中川雅夫先生 座長 和田英夫「DIC研究の将来」
    iv)フリーデスカッション 座長 和田英夫
    c) シンポジウムを開催して良かった点:DICに関して、熱い議論ができたこと(1時間以上)。外科系の医者、試薬メーカー、技師さんなどにも参加いただけたこと。ISTHの新しい診断基準を、ISTHの人間により紹介できたこと。ISTH/SSCに持っていく議題のコンセンサスができた。
    d) シンポジウムの反省、改善点:議論に時間をかけたため、講演は少なく、情報量としては物足りなかったかもしれない。多くの先生に発言してもらったが、まだ発言できなかった先生がいる。
    e) 全体的な反省点:他の検討部会に対する、時間帯、公平性、権威づけ、正式な血栓止血学会のシンポと考えて良いのか否か

    今後の計画

    1) ISTH/SSCへの診断基準作成への働きかけ
    2) 啓蒙
    3) ガイドラインの作成
    4) 臨床試験

    1)に関しては、ISTHのovert-DIC診断基準と日本の厚生省DIC診断基準との一致率等の成績を発表する。また、ISTH/SSCのメンバーと日本の研究者との交流を図る.
    2)3)4)に関しては、血液疾患のDICは減少し、治療成績も改善された.それに比べ、敗血症におけるDICは症例数も多く、やるべきことも多い。
    そのため、集中治療学会・救急医療学会との連携を深めることが重要である。(もちろん、現在でも小規模で行われていますが)。

  • 日本救急医学会DIC特別委員会・日本血栓止血学会学術専門委員会・DIC検討部会合同委員会中間報告

    救急領域のDIC診断基準

    丸藤哲、和田英夫、長谷川友紀、朝倉英策、射場敏明、江口豊、大友康裕、岡本好司、川杉和夫、古賀震、小関一英、辻肇、真弓俊彦、村田厚夫、遠藤重厚、中川雅夫 構成委員

    日本救急医学会
    遠藤重厚(担当理事):岩手医科大学附属病院救命救急センター、射場敏明:順天堂大学医学部附属浦安病院外科、江口豊:滋賀医科大学医学部附属病院集中治療部、大友康裕:国立病院災害医療センター救命救急センター、岡本好司:産業医科大学医学部附属病院第一外科、丸藤哲:北海道大学医学部附属病院救急部、小関一英:川口医療センター救命救急センター、真弓俊彦:名古屋大学医学部附属病院救急部・集中治療部、村田厚夫:杏林大学医学部附属病院救命救急センター

    日本血栓止血学会
    中川雅夫(担当理事):京都府立医科大学附属病院内科、朝倉英策:金沢大学医学部附属病院高密度無菌治療部、川杉和夫:帝京大学医学部附属病院内科、古賀震:天草中央病院血液免疫内科、辻肇:京都府立医科大学附属病院内科、和田英夫:三重大学医学部臨床検査医学、

    共同研究者
    長谷川友紀:東邦大学医学部公衆衛生学講座

    1. Disseminated intravascular coagulation(以下DIC)診断基準の作成

    救急領域のDIC診断基作成の考え方

    (1)背景

    造血器腫瘍性疾患を基礎疾患とするDICの発症率並びに死亡率は、最近著しい減少を見ている。この原因としてはATRAに代表される治療法の進歩とともに厚生省DIC診断基準改訂版(1988)(以下厚生省基準)(1)の普及によりDICの早期診断・治療が進んだことが大きいと考えられる。しかし、救急領域においては現在においてもDICの発症頻度および死亡率のいずれも高い。この原因として救急領域でDICを発症する基礎疾患が造血器腫瘍性疾患と異なることに加えて、厚生省基準では救急領域のDIC診断に際して感度が低い可能性が示唆される。

    和田等(2)によりDIC治療開始時期のDICスコアーが低いほどDICの改善率が良いことが示されDICの早期治療の必要性が認識されるようになった。また、救急領域においてはSIRS/sepsisと言う新しい疾患概念が提唱され、この病態がDICと密接に関連していることが知られるようになった(3)。この概念に基づいたsevere sepsis/septic shockを対象とした活性化プロテインCのランダム化比較試験(以下RCT)において同薬剤の使用が対象疾患の転帰を改善することが証明され(4)、このRCTのsubgroup解析において対象症例の94%がDIC様病態を合併している事実が明らかになった(5)。同様にsevere sepsisを対象としたアンチトロンビンのRCTにおいてヘパリン併用のない場合には同薬剤が対象症例の90日後の転帰を改善するとの報告もなされた(6)。これらの結果は救急領域のDICにおいても早期発見により適切な薬剤を使用するとその転帰の改善が得られる可能性を示唆している。このような背景を考慮すると新しく救急領域のDIC診断基準を作成する意義は十分にあるものと考えられる。

    (2)理念とその考え方

    救急領域で扱う疾患・病態は内科・外科を含み多様であり、同時に施設により救急医療の形態もまた多様であることを念頭に置く必要がある。そこで一般的二次救急医療機関における使用を想定して以下の理念で診断基準を作成した。

    ・一般的凝固線溶検査項目を使用して24時間体制で診断可能であること。
    ・特異度を維持しつつ高い感度で早期診断が可能であること。
    ・診断と治療開始が一致すること。
    ・管理・治療指針として使用でき、DICの重症度と予後評価が可能であること。
    ・定量可能であること。
    ・科学的根拠を持つこと。

    - DICの進行の早さを考慮すると通常の検査項目を使用して迅速にいつでも診断可能である必要がある。早期診断のためには高い感度が必要だが、特異度が低く非DIC症例をDICとして治療開始することには問題があるであろう。これまでの診断基準は確実なDIC診断のために特異度を優先し、その低感度をDIC準備状態、Non-overt DIC等の概念を使用することにより補う方針で作成されてきたために診断と治療の整合性が曖昧であった(7、8)。この点を明瞭にするために診断と治療開始の一致を考慮した。診断基準は、診断機能とともに病態の重症度と予後評価機能を併せ持ち管理・治療指針決定に利用できるものが望ましく、スコアリングによる定量性が必要である。作成された診断基準の妥当性は後ろ向きあるいは前向きの妥当性検討(validation study)により科学的根拠を持つ必要がある。疾患別・病態別のDIC診断基準が必要との考え方があり、DICの基礎疾患に多様性があることは前述のように事実である。しかし、基礎疾患がDICの病態を修飾(線溶亢進、抑制、あるいは生理的凝固亢進等)するが、合同委員会はDICの病態は基本的に同一であるとの立場に立ち疾患別の診断基準を排した。

    (3)作成方法とその考え方

    救急領域のDIC診断基準作成は以下の手順で行われた。

    イ)これまでに発表された合同委員会委員を含む過去の論文、あるいは委員施設のデータを参考にして後ろ向きに選択項目、項目の区切り値、項目の重み付けを行い新基準(案)を作成した。

    ロ)合同委員会施設において多施設後ろ向き調査検討を行い、新基準(案)が厚生省基準よりも感度が高く早期にDIC診断が可能なこと、厚生省基準では診断できずに死亡する症例のあることを確認した。

    ハ)上記を基に共同研究者長谷川友紀委員の科学的考察を加えて前向き調査を予定する。この前向き検討により作成診断基準の妥当性の検討および選択項目および区切り値の妥当性の検討が併せて行われ、最終的診断基準が確定する。

    - DICは臨床診断されるべき症候群である。従来臨床診断と病理診断の乖離が本症候群では指摘されているが、死後虚血による著明な線溶亢進に伴う微少血栓の速やかな溶解を考慮するならば病理・組織診断が本症候群診断の至適基準(gold standard)となり得ないことは自明である。臨床診断の至適基準として合同委員会は厚生省基準7点の合意を得たが、本至適基準を目標として新診断基準を作成しても前者を越える診断基準作成は不可能であり、早期診断の目的からはずれることになる。同様に”準備状態”等の概念を導入した診断基準作成は、診断即ち治療の考え方から逸脱してしまう。以上を考慮して「厚生省基準DICの概念を広げたDIC」を仮定して「厚生省基準では診断し得ない、あるいは診断が遅れるDICが救急領域にはかなり存在し、これらを含めて早期に診断できる」診断基準作成を試みることとした。

    SIRS/sepsisは新しい病態概念であり、当然依るべきgold standardはなく、その採択項目と区切り値設定根拠も明示されていない。まず診断基準が発表され、その後にその妥当性の検討が行われたことは周知の事実である。ISTHのovert DIC診断基準の作成も同様の方法が踏襲され、まず診断基準が過去の論文に基づき決定され、その後妥当性の検討が行われた。私どもの「厚生省基準DICの概念を広げたDIC」も新しい疾患概念に通ずるが、新しい疾患概念の診断基準を作成することが目的ではなく、新疾患概念をDICとして治療することもできないために、苦しい仮定を想定した。当然「厚生省基準DICの概念を広げたDIC」には現在gold standardはなく、完成した新診断基準の診断テスト特性をgold standardをもとに検討することはできない。

    このような考え方は合同委員会委員全員の合意が得られたものではなく、救急領域のDIC診断基準作成の科学性に関して合同委員会において多くの意見が交換され長時間の討議が行われたことを付記する。

    (4)項目選択、区切り値、重み付けの決定

    イ)項目選択
    ・基礎疾患は項目に加えない。基礎疾患表を附記し基礎疾患があれば診断開始とする。同様に注意深く鑑別すべき疾患・病態を明記して注意を喚起する。・出血症状はいれない。定量化できず主観的指標であり、その出現を待つと確定診断時期が遅れる。また、救急領域のDIC では線溶抑制型が多く典型的出血をみることは少ない。ただし、出血の著明なDICの存在があることの注意を喚起すべきである、との意見があったことを附記する。・臓器症状は入れない。定義が主観的であり出現を待つと確定診断時期が遅れる。ISTHより提唱されたDICスコアーそのものが臓器不全スコアーであるとの考え方に多くの委員が賛同した。SOFAで定量化すべきとの意見もあったが採用しないことで意見の一致を見た。・血小板数を採択することには異論はなかった。中川等(9)はDIC診断時に実に91%の医師が血小板数の絶対値よりも経時的減少傾向を重視することを報告している。この事実は合同委員会委員においても当てはまり、絶対値に加えて血小板の減少率を診断基準に組み込むことにも異論はなかった。絶対数と減少率をand/orどちらにするかは討議が行われorとして点数を加算しないこととした。・FDPおよびD-ダイマーを採択することに関しても異論はなかった。ただし、後者に関しては本邦において数社から測定キットが販売されている事実を鑑みて、各社ごとの健常成人における区切り値を参考値として掲載することとした。実際の症例におけるD-ダイマーの区切り値の設定に関しては今後の検討課題である。・プロトロンビン時間(PT)とフィブリノゲンの採択に関しては意見が分かれた。PTに関しては肝機能障害、Vit Kの影響を受ける事を考慮して採択不要の意見もあった。しかし、和田論文(10)において受信者動作特性曲線解析(ROC curve )によりPT比のDIC判別特性が造血器腫瘍、非造血器腫瘍いずれに起因するDICにおいても最良であった事実より採択することとした。さらに近年PT比、PT秒よりも活性値が本邦において使用されている事実、また施設によっては比、秒、活性値のいずれかしか結果として表示されない事実等を考慮して診断基準にはこれら三つの値を表示することとした。フィブリノゲンの採択に関してはPT比以上の議論が行われた。特に議論となった点は救急領域の多くの炎症性疾患においては急性期反応蛋白としてフィブリノゲンが上昇する事実であり、その特異性に疑問が寄せられた。しかし、この増加とDIC診断に関する寄与度に関しての正確な検討が行われていない事実を考慮して、一旦採択して施行される後ろ向きおよび前向き検討においてその採択の可否を決定することで委員の意見の一致を見た。・厚生省基準が発表された後、救急領域においてはSIRS/sepsisと言う新しい概念が世界的に広く認められるようになった。この概念は生体侵襲に基づく生体防御反応を炎症反応と捉える考え方であるが、この概念の敷衍とともに1990年代には凝固線溶反応と炎症反応が強く連関していることも知られるようになった。Rangel-Frausto等(11)は、その論文においてSIRS, sepsis, severe sepsis, septic shockは連続した疾患概念であることを証明し、さらにこの段階の進行に伴いDICの合併頻度が高まると同時にARDS, ARF(急性腎不全)等の臓器不全の頻度も上昇し、その転帰が悪化することを証明した。SIRS症例において診断項目を3項目、4項目満たした場合のDICの頻度はそれぞれ15%,19%であり、sepsisを経てseptic shockに至った場合は38%の症例にDICが見られる。さらに丸藤等(12)の報告においてもSIRS症例におけるDICの頻度の高さが報告されている。SIRSの診断基準は特異度を犠牲にした高い感度が病態の早期発見・早期治療開始のために使用されているが、今回合同委員会が目指したDICの診断基準も同様の考え方を基礎としている。以上を考慮してSIRSの項目をDIC診断基準に使用することとした。ただし、凝固線溶系異常であるDIC診断基準に炎症の指標を入れるべきではないとの意見があったことを附記する。・分子マーカーを診断基準に組み込むか否かに関しては長時間の議論が行われた。これまで発表されてきたDICの診断基準は、発表当時の最新の凝固線溶系検査を使用することによりその感度・特異度の増加を図ってきたことを鑑み感度の高い分子マーカーを取り入れるべきである、あるいは世界的に分子マーカーを使用する基準ができた場合に後塵を拝することの危惧等から分子マーカーの必要性を説く意見があった。しかし、先述した理念に基づくと全ての施設で迅速に測定が不可能な分子マーカーの採択は困難であるとの意見が多く、今回の基準では採択を見送った。ロ)区切り値と重み付け
    区切り値の決定は合同委員会委員のこれまでの多数の発表論文(10、12,13)、新たに作成した資料、過去のDIC関連論文等を参考にして決定した。この過程に関しての合同委員会の考え方は前述した。区切り値を0、1、2、3点の三段階に重み付けした。この重み付けの決定も後ろ向きに行った。0点は正常、1点はDIC発症を予測することが可能な数値、3点はその値により臓器不全の発症あるいは死亡率に有意差の見られる数値とした。2点に関しては適当な数値決定の理由が見つからなかったために空欄とした。2点の欠落に関しては合同委員会で十分に討議した結果、そのまま残すこととしてその妥当性の判断は今後の検討課題とし、臨床疫学者の科学的に根拠のある判断に委ねることとした。また、0、1、2点の三段階とすべきとの意見もあったが、3点の数値が臓器不全・死亡の予測可能な数値であり、1点よりは重みを十分に与えるべきとの意見が主流を占めた。フィブリノゲンの区切り値に関して多くの意見がだされた。急性期反応蛋白であるフィブリノゲンが救急領域のDICを発症する病態で正常域に存在すること自体がその消費性減少を意味するとの指摘(14)を考慮し、合同委員会委員のこれまでの資料を参考にして今回の区切り値を決定した。しかし、この決定値に関してフィブリノゲンが正常のDICはあり得ない等の異論があったことを附記する。

    (5)診断方法の決定

    すでに述べたように「厚生省基準DICの概念を広げたDIC」には至適基準(gold standard)は存在しないために、その診断法の決定には多大な困難が伴う。そこで合同委員会は以下の方法をとった。厚生省基準7点あるいは6点+分子マーカー2項目以上陽性をDIC確診として、このDIC をgold standardとして新診断基準の判別特性を検討し、その結果に合同委員会委員の経験を加味した。この方法は矛盾があり異論があるかと推察されるが合同委員会としては最良の方法を選択し得たと考える。一施設データで使用可能な378症例1050検体を用いて検討した。検討した診断基準は新診断基準スコアー4点、5点、6点として理念に基づきより良いスコアーを選択した。定量およびスコアリングを診断基準の条件として委員全員で確認していたが、診断法決定の過程で一部委員より単純な陽性・陰性(DICか否か)の診断基準も臨床的発想に合致するために是非加えるべきであるとの意見が提案された結果、4項目陽性が診断基準検討の一つに加えられた。この4項目陽性基準に関して慎重な討議が行われ加えることが合意されたが、反対意見もあったことを附記する。Table1に一施設データから算出したDIC診断スコアの感度、特異度等を記載した。

    上記結果を「特異度を維持しつつ高い感度で早期診断が可能であること」と言う診断基準作成理念を念頭におき総合的に判断した結果、スコアー5点あるいはスコアー4項目が1点以上(陽性)を診断基準とした。

    日本救急医学会・日本血栓止血学会 救急領域のDIC診断基準(中間報告暫定案)
    これまでに述べてきた考え方と経緯により作成された救急領域のDIC基準(案)を別掲Figure 1に示した。

     

    2. DIC診断基準の検証


    作成診断基準(案)の妥当性の検証のために後ろ向き検討を行い、前向き検討(案)を作成した。検討に際して「厚生省基準DICの概念を広げたDIC」の診断基準であり当然依るべきgold standardはなく、厚生省基準7点をgold standardとして新診断基準の判別特性検討を行う困難性に関しては十分な議論が行われた。

    1)後ろ向きの検討

    (1)仮説

    厚生省基準ではDICと診断されずに死亡する症例がある。2)新診断基準は厚生省基準よりも早く、またより多くのDICを診断可能であり、厚生省基準よりも死亡率が低い。

    (2)対象および方法

    対象:合同委員会委員施設に入院した症例で、2002年6月1日から9月30日までの間に血小板が15万未満になった症例を対象とした。収集項目:入院日、退院日、年齢、性別、基礎疾患、転帰、厚生省DICスコアーおよびスコアー算定に必要な凝固線溶系指標(D-ダイマー含む)、SIRS診断項目、SOFA診断項目(15)、CRP、出血症状の有無。DIC診断:厚生省基準診断で臓器不全はSOFA2点以上と定義し、DICは7点として6点+2項目は使用しなかった。新基準は5点あるいは4項目を満たしたものをDICと診断した。項目収集日:血小板が15万未満となった日およびその前日のデータ。厚生省基準7点を満たした症例は、15万未満となった日から7点で確定診断された日までの連日データ。除外基準:化学療法施行中および肝硬変症例。

    (3)結果

    収集された682検体中、参入症例は156症例610検体である。施設ごとの基礎疾患をTable 2に示す。DIC診断率は新基準では101/156=64.7%、厚生省基準では66/156=42.3%であり新基準の診断率が有意に高かった(p < 0.01)。厚生省基準を満たした66例中19例(28.8%)は新基準による診断が先行した。(Table 3)この19例中14例(73.7%)は感染を合併していた。46例(69.7%)は両基準同日診断であったが、その内27例は今回の試験への初回参入データ(初日のデータ)で両基準を満たしてDICと診断された症例であり、新基準が早期診断していた可能性は否定できない。

    厚生省基準を満たした66例中28例(42.4%)が死亡し、新基準を満たした101例中36例(35.6%)が死亡した。また、前者でDICと診断されなかった90例中14例(15.5%)が死亡し、後者でDICと診断されなかった55例中6例(10.9%)が死亡した。新基準でDICと診断されたが厚生省基準ではDICと診断されなかった35例中8例(22.9%)が死亡した。

    新DICスコアーとSOFAの相関を検討すると有意(r = 0.525, p < 0.0001)の相関を見た。

    (4)考察および結論

    新基準は厚生省基準に比較してDICを感度良くかつ早期診断できる可能性が高い。特に感染合併症例ではその傾向が強く現れた。その結果厚生省基準での治療開始では遅く新基準でDICと診断された症例の死亡率が改善する可能性が示唆された。また、厚生省基準ではDICを見落とし死亡する症例も新基準ではDIC診断が可能である可能性も示唆された。新基準によりDIC症例の予後の予測(臓器不全併発)が可能なことがわかった。

    2)前向きの検討(案)

    以上の検討を基盤として共同研究者長谷川友紀委員と合同委員会が協力して前向き検討を行う予定であるが、現在その素案を作成中である。完成後に公表して会員諸士のご批判と前向き試験へのご協力を仰ぐ予定である。

    参考文献

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    15)Vincent JL, Moreno R, Takala J: The SOFA (Sepsis-related Organ Failure Assesment) score to describe organ dysfunction/failure. Intensive Care Med 1996;22:707-10.

  • プロスペクテイブスタデイの背景

    1) DICの予後に関して

    DICあるいはDICが疑われる病態での死亡率は20-50%との報告が多く、感染症の合併により死亡率は増加する。

    表1にDIC関連の臨床試験成績を示す。血漿由来活性化プロテインC(APC)第Ⅲ相臨床試験1)では、未分画ヘパリン(UFH)群28日目の死亡率40%に対して、APC投与群20.4%であった。ダナパロイドナトリウムの二重盲検比較試験2)では、6日後の死亡率はダナパロイド群16.9%、UFH群12.1%であった。フラグミンの二重盲検比較試験3)では、6日後の死亡率はフラグミン群6.6%、UFH群20.3%であった。第Ⅲ相試験以外では、メシル酸ガベキセートのレトロスペクテイブスタデイ4)では、2週間後の死亡率は白血病群21%、非白血病群28%であり、全体では25%であった。日本血栓止血学会と日本救急医学会合同のレトロスペクテイブスタデイ5)では、DICの死亡率は42.4%であった。純粋なDICではないが、重症敗血症については最近3つの重要な報告がなされた。アンチトロンビンⅢ(ATⅢ)の臨床試験(KyberSept Trial)6)では、28日死亡率はATⅢ群38.9%、プラセボ群38.7%であったが、ATⅢ単独投与群では90日後の生存率が有意に改善しているため、UFHの併用がATⅢ群の死亡率を増加させた可能性も考えられる。APCの臨床試験(PROWESS Study)7)での28日死亡率は、APC群24.7%、プラセボ群30.8%であり、APC投与により有意な生存率の改善を見た。また、PROWESS Studyの結果から、重症敗血症の中には高頻度にDICが存在し、DIC例の方がAPCの効果が良かった。TFPIの臨床試験(OPTIMIST Trial)8)では、28日死亡率はTFPI群34.2%、プラセボ群33.9%であった。以上の成績から、DICの28日後の死亡率はおよそ20-40%であり、DICの治療により予後は改善すると考えられる。また、感染症のDICの方が非感染症DICに比べて予後が悪い傾向にあった。

    2) 感染症DICの病態

    敗血症では高頻度に止血異常が見られ、感染症DICでは線溶系が抑制され、ATやPCなどの産生低下、高サイトカイン血症、白血球の活性化ならびに単球上にTF発現が見られ、その結果臓器障害が高頻度に起こり、予後が不良である。

    感染症DICはSIRSの病態とかなりの部分でオーバーラップし、SIRSが3日間以上持続するとDICを高頻度に合併する9)。SIRSの病態を支えているのは高サイトカイン血症で、敗血症患者では血中サイトカインは著しく増加し、動物にLPSや炎症性サイトカインを投与した場合、敗血症DICと同様の病態が認められる10)。LPSによるラット(感染症)DICモデルでは、TFにより惹起される。
    DICモデルと比べて線溶系は抑制され、高サイトカイン血症により臓器障害は増強される11)。好中球エラスターゼによる組織障害メカニズムが提唱され12)、ラットの肺障害モデルで好中球の浸潤が病態に密接に関係することが証明された13)。敗血症患者ではAT、PC、Plasminogen等が消費以外の原因で減少し14)15)、PPICならびにPPIC/TAT比は著しく低下する16)。多臓器不全(MOF)を合併したDICでは、MOFを合併しないDICに比べて、PPICやFDPは低下し、PAI-Iは増加する17)。また、感染症患者では単球や顆粒球上にTFが発現し、DICの発症に寄与していると考えられる18)19)01

    3) DICの治療時期

    エビデンスは少ないが、DICの早期診断・治療が重要である。

    厚生省班会議のアンケート調査20)では、大多数の医師が厚生省のDIC診断基準を満たす前に抗凝固療法を開始している。以前からDICの早期治療は観念的に勧められてきたが、そのエビデンスは殆ど存在しない。唯一のレトロスペクテイブスタデイ21)では、Pre-DICの時点で治療すると80%以上のDICが改善し、8%のみが悪化するだけであった。一方、治療時期のDICスコアが増加するに従いDICの改善率は低下し、悪化率は増加した(図1)。以前から言われているように、DIC早期に治療するほうがDICの予後が良いことが示唆される。現時点では確立されていないが、救急領域のDIC診断基準案5)はDIC早期診断基準案に相当すると考えられる。また、京王プラザで行われた平成16年度日本DIC研究会で、窓岩らは「第1相DIC」を、岡島らは「切迫DIC」の概念を提案した。現在、公式に普及したDIC早期診断基準はなく、ISTHのnon-overt-DIC診断基準22)はovert-DIC診断に有用でなかった。以上から、DICに対するより早期の診断・治療が必要であるとの考えが定着していると考えられる。

    図1 白血病群ならびに非白血病群のDICスコアの増減と予後との関係
    X軸のDICスコアは、白血病群は4点、非白血病群は7点をマイナスしたものである。
    ○:改善群 ●:悪化群

    4) 敗血症の定義と臓器障害指標

    02
    敗血症の定義にはSIRSの概念が新しく提案され、臓器障害指標としてはSOFAが有用である。

    1991年、アメリカ胸部疾患学会と集中治療学会の合同コンセンサス委員会は全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome; SIRS)と呼ばれる新しい診断基準を提唱した23)24)。これによると、体温、白血球数、呼吸数(またはPaCO2)、白血球数というもっとも生体の基本的な反応のうち2つ以上の値が異常であるとSIRSと診断される。従来、敗血症、菌血症などの用語の使い分けが曖昧だったが、敗血症はSIRSのうち感染が明らかなものと明確に定義されている。

    表2 SIRSの定義

    SIRS:
    The systemic inflammatory response to a variety of severe clinical insults. The response is manifested by two or more of the following conditions : 1) temperature> 38℃ or < 36℃, 2) heart rate >90 beats per minute, 3) respiratory rate > 20 breaths per minute or PaCO2 < 32mmHg, and 4) white blood cell count > 12,000/mm3, < 4000/mm3, or > 10% immature (band) forms

    Sepsis:
    The systemic response to infection, manifested by two or more of the SIRS criteria as a result of infection :

    03
    多臓器機能低下症候群の主な原因は敗血症である24)。その敗血症に対する新しい治療法の効果判定について、治療前の病態と28日後までの死亡率より評価しようとする試みがなされてきた25)。しかし、死亡率は患者の年齢や基礎疾患に強く影響を受ける26)。そこで、各臓器障害の重症度を単純かつ客観的にスコア化して経時的な変化から治療効果を評価しようと、1994年にEuropean Society of Intensive Care Medicineのsepsis-related problems working groupがSepsis related organ failure assessment(SOFA)を発表した27)。当初は敗血症に起因する多臓器機能低下症候群の評価法として用いられたが、その後、SOFAが敗血症に限らず広く集中治療室(ICU)患者で用いられるようにと、Sequential 0rgan Failure Assessmentへと呼び直された。SOFAは6臓器(呼吸・凝固・肝臓・心血管・中枢神経・腎臓)について、それぞれ0-4までの5段階で障害程度を表し、臓器ごとの点数とそれらの総和で重症度を表現しようとするものである(表3)。SOFAスコアを生存・死亡などの予後の予測に使用する際、経時的にSOFAスコアを測定すると、治療効果を含む疾患の動態をより効果的に把握可能である。Vincentらは、12歳末満と在室2日以内の症例を除外して検討した結果、ICU在室中に高いSOFAスコアを示した症例ほど、死亡率が高いことを報告した27)。特に経過中のSOFA最高値が16以上では死亡率は90%以上で(感度31%、特異度99%)、死亡群では生存群と比較して、入院日のSOFAスコア(特に心血管、中枢神経、腎臓)が有意に高かった。

    SOFAスコアは臨床治験で患者を層別化したり比較するのに役立つ28),29)。Morenoら30)は、初回SOFAスコアにより入院時の臓器機能低下または臓器不全の程度を定量化できること、△-SOFAスコア(前回算出されたスコアとの差)はICU在室中に変化する臓器機能低下または臓器不全の程度を表現すること、臨床全経過中の各臓器のスコアの最大値を和して算出される総最大SOFAスコアは患者の累積臓器機能障害を反映すること、などを見いだし、これらのパラメータが生命予後と強く相関することを報告した。多くの臓器不全はICU入院初期に発現することが判明しているので31)、臓器機能を定期的にモニターできるスコアリングシステムは有用である。ICU入室後48時間までにSOFAスコアが低下する場合の死亡率は27%であるが、スコアの改善が認められない場合の死亡率は50%と報告されている。

    文献

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