日本血栓止血学会 理事長挨拶

 

shimaこの度、尾崎由基男先生の後任として日本血栓止血学会の理事長を拝命いたしました奈良県立医科大学小児科の嶋 緑倫でございます。日本血栓止血学会は設立後40年にもわたって日本の血栓止血学をリードし、様々な成果を国内のみならず海外にも発信してきました。このような伝統ある本学会の理事長に就任させていただくことは非常な名誉なことであり、また、責任重大で身の引き締まる思いです。これまで先輩の先生方が築いてくださいました数々の業績と伝統を継承し、さらに新たな課題にチャレンジしながら存在感のある魅力的な学会にできるように努力したいと思います。

 

第一の課題は血栓止血学の基礎・臨床研究の活性化です。血栓止血学の領域では日本の研究者の成果が高く評価されています。たとえば、トラネキサム酸やアルガトロバンの開発、α2プラスミンインヒビターの発見、トロンボモジュリン遺伝子の単離などは世界に誇るものです。また、近年では、iPS細胞からの血小板産生、ADAMTS13のクローニングや測定系の確立、新規先天性血栓症アンチトロンビン抵抗性や血小板受容体CLEC2の発見、血栓形成のバイオイメージング、可溶型ヒトトロンボモジュリンや第VIII因子代替バイスペシフィック抗体製剤などの開発など枚挙にいとまがないくらいの成果が出されています。一方、近年の血栓止血学領域の各疾患の治療の進歩にもめざましいものがあります。血友病領域では半減期延長型遺伝子組み換え型製剤が開発され、止血治療は大きく進歩しました。現在は前述のバイスペシフィック抗体をはじめとする新規治療製剤や遺伝子治療など次世代の治療開発が進んでいます。血栓領域でも新規抗血栓薬が相次いで開発され、血栓症の治療が飛躍的に進歩しました。本学会は血栓止血学のスペシャリスト集団であり、今後も基礎と臨床に果たすべき役割は非常に大きいと考えます。海外への発信も重要です。国際血栓止血学会(ISTH)への演題数の増加をはかることはいうまでもありませんが、ISTHやISTHの学術標準化委員会(SSC)にも本学会の存在感を示していきたいと考えています。

 

第二の課題は学会会員数を増やすことです。近年、本学会の平均年齢層が高くなってきております。学会の活性化には若手の会員の増加が必須です。すでに、本学会では研修医や若手の先生を対象に2日間にわたるグループ形式の教育セミナーを開催してきました。参加者からのおかげさまで高い評価をいただいています。これからも教育セミナーを継続しつつ、学術集会でも若手や他の領域の方が参加しやすいような教育セミナー、シンポジウムなどを企画していきたいと考えています。血栓止血学の領域は内科・外科をはじめとして、救急、産婦人科、悪性腫瘍など様々な領域に関係しています。参加者の対象も医師や研究者のみならず、臨床検査、看護、リハビリ、栄養学、薬学、製薬・検査企業等など、血栓止血に関連する分野の皆様にもっと門戸を広げたいと思います。さらに、血栓止血学会の認定医制度も、すでに準備段階に入っています。血栓止血の分野は広く、全領域をカバーできるような認定医は現実的ではありませんが、血友病、血栓症、検査などの各分野に精通した会員の先生方を学会認定医とする制度を考えています。当面は医師が対象ですが、今後、検査技師や看護師など他の職種についても検討しています。

 

第三は他学会との連携推進です。
血栓止血学に関する領域は、循環器疾患や動脈硬化、臨床検査、病理、血管生物学、さらに薬学、栄養や機能性食品などの分野とも関連しています。これらの領域と交流を深めるために、これまで以上に他学会との共同シンポジウムや協働企画を実践していきたいと思います。
 

第四は各委員会の活性化です。
学会の運営は各委員会の活動が基盤であることは言うまでもありません。さらに、本学会は、学術標準化委員会(SSC)および学術推進委員会(SPC)を2大柱として、血栓止血学の基礎研究の推進やこの領域の様々な疾患の診断や治療の標準化を目的に活動してきました。これらの活動から、血友病の止血治療、血友病家庭注射療法、静脈血栓塞栓症予防、後天性血友病、DIC治療や自己免疫性出血病XIIIなど血栓止血領域の様々な疾患のガイドライン、エキスパートコンセンサスや診断ガイドを発表してきました。今後も、各委員会の活動を活性化して、学会としてアウトプットをどんどん出せるように努力したいと考えています。
 

上述した以外にも様々な課題がありますが、会員の皆様のご支援を賜り、日本血栓止血学会の活性化にむけて努力したいと存じます。また、血栓止血学に興味を持っておられる先生方には是非、学術集会やSSCやSPC進歩ジウムに参加いただければと思います。

一般社団法人日本血栓止血学会

理事長  嶋 緑倫

学会概要

本学会は、生体防御の一環として重要な止血機構と心筋梗塞や脳梗塞などの病因である血栓症を基礎から臨床まで幅広く研究する。

歴史的には血液凝固、血小板、出血性素因などの臨床的研究から始まり血液学の一分野であったが、過去20年間に分子生物学、細胞生物学の応用と血管系の研究により急速に成長し、現在では生化学、生理学、脈管学、循環器学、小児科学、外科学、産婦人科学の研究者から成る横断的、学際的性格の強い学会である。我が国でも食生活の欧米化ならびに高齢社会を迎えて虚血性心疾患や脳血管障害などの血栓性疾患が著しい増加傾向にあり、その病因病態の解明、治療、予防などを目標とする。

 

設 立

1978年4月

 

会員数

約1,200名

基礎系・臨床系の医学研究者および薬学、理学系研究者

 

 

役 員

【理事長】 嶋 緑倫
【理 事】 浅田祐士郎 渥美達也 浦野哲盟 岡本好司 後藤信哉 冨山佳昭 藤井 聡 

堀内久徳 松下 正 宮田敏行 村田 満 森下英理子 山崎昌子 和田英夫

 

事務局

〒112-0013

東京都文京区音羽1-15-12 アルス音羽707

電話 03-6912-2895 FAX 03-6912-2896

ホームページ:/wordpress/

Email:mail00

 

 

会 誌

「日本血栓止血学会誌」隔月

 

学術集会

第39回日本血栓止血学会学術集会

会期:2017年6月8日(木)~6月10日(土)

会場:名古屋国際会議場

会長:小嶋 哲人 名古屋大学大学院医学系研究科 医療技術学専攻 病態解析学講座

 

SSCシンポジウム

第12回 SSCシンポジウム

会期:2018年2月10日(土)

会場:野村コンファレンスプラザ日本橋6階

世話人:川杉 和夫 帝京大学医学部医療技術学部

 

教育セミナー

第5回 教育セミナー

会期:2017年10月28日(土)~10月29日(日)

会場:クロス・ウェーブ船橋