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用語集(詳細説明)

大分類:凝固

小分類:機能分子


凝固第VIII因子
coagulation factor VIII

解説

 凝固第VIII因子(FVIII)は出血性疾患の血友病Aの欠損因子として発見され、凝固第VIII因子の欠乏や活性低下は著明な出血傾向をきたす。

 凝固第VIII因子は分子量約300KDaの一本鎖糖タンパク質として合成され、濃度約100 ng/mL (0.3 nM)、半減期約8-10時間で血中に存在する。凝固第VIII因子は、凝固第V因子と共通ドメイン(A1-A2-B-A3-C1-C2)の構造を呈し、本因子は重鎖(A1-A2)と軽鎖(A3-C1-C2)が metal ionを介して結合している。循環血液中ではフォン・ヴィレブランド因子(VWF)と非共有結合して存在している。

 血液中で凝固第VIII因子はトロンビンによる限定分解を受けて活性化第VIII因子になり、血小板膜上でtenase複合体(活性化第IX因子+活性化第VIII因子+リン脂質+Ca2+)を形成し、凝固第X因子を活性化して凝固反応を著しく促進する。つまり活性化第VIII因子は血液凝固反応機序の中で活性化第IX因子の補因子として作用する。

 凝固第VIII因子は、トロンビンや活性化第X因子により、凝固k第VIII因子のArg372、Arg740、Arg1689が限定分解を受けてBドメインが除去され、活性型第VIII因子となる。一旦活性化されると、活性化第VIII因子は次の2つの機序により容易に不活化される。1) A2ドメインが静電気結合しているA1-A3C1C2ドメインから容易に解離する、2)プロテインCプロテインS存在下でArg336とArg562を、活性化第X因子がさらにLys36を開裂分解する。

 凝固第VIII因子は、多くの凝固因子タンパク質と結合し相互作用をもたらしている(図)。第VIII因子分子上の各種タンパク質との結合部位を示す。これらの多くは、血友病A患者の異常凝固第VIII因子の分子タンパク解析から得られたものである。さらに最近、結晶解析により凝固第VIII因子のA1-A2/A3-C1-C2ドメインのdimer formの立体構造が明らかにされている。

図表

凝固第VIII因子分子上の結合部位

凝固第VIII因子分子上の結合部位

参考文献

1) 野上恵嗣他:第VIII因子と血液凝固制御―第VIII因子の機能・構造に関する最近の知見,医学のあゆみ242:188-193,2012.

引用文献

著者

野上 恵嗣 (奈良県立医科大学小児科)

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