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用語集(詳細説明)

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ビクニン・UTI
bikunin / UTI

解説

【定義】
 N末端とC末端にそれぞれクニッツ構造を持つタンパク質分解酵素阻害物質 (Bis Kunitz Inhibitor) の接頭語を結合してBi-Kun-In、すなわちビクニン(bikunin)と命名された。

【ポイント】
1)ビクニンはヒト尿中に存在するトリプシン活性を抑制する糖蛋白質として発見されたため、以前は尿由来トリプシンインヒビター(urinary trypsin inhibitor)、すなわちUTIといわれていた。成人に比べて胎児尿で高値を示す。
2)肝臓から重鎖2本と軽鎖1本(これがビクニンに相当する)から構成されるインタートリプシンインヒビター、および重鎖1本と軽鎖1本(ビクニン)から構成されるプレアルファインヒビターが主に分泌される。
3)インタートリプシンインヒビターとプレアルファインヒビターは体内で重鎖とビクニンに分解され、尿中に排泄されたものがビクニン/UTIである。
4)重鎖は細胞外マトリックスでヒアルロン酸と共有結合し、マトリックスの安定化に寄与する。
5)ビクニンはトリプシン以外にも、キモトリプシン、エラスターゼプラスミンなども阻害することが知られている。
6)ビクニンは143個のアミノ酸から構成され、10番目のセリンにO型糖鎖が付加されており、以下の生物活性の維持に重要である。ビクニンはプロテアーゼインヒビター活性のみならず、炎症刺激等によるサイトカイン産生抑制作用も有するため、抗炎症作用および癌浸潤・転移制御作用としても報告されている。
7)実地臨床では「ミラクリッド」として発売されており、「急性膵炎」と「急性循環不全改善」に保険適用がある。産科領域では、膣錠として作成され「早産治療薬」として自費で臨床応用されている。

図表

図 ビクニンの分子構造

図 ビクニンの分子構造

参考文献

1) Kobayashi H: Endogenous anti-inflammatory substances, inter-alpha-inhibitor and bikunin. Biol Chem 387: 1545-1549, 2006.

引用文献

1) Yagyu T, Kobayashi H, Wakahara K, Matsuzaki H, Kondo T, Kurita N, Sekino H, Inagaki K, Suzuki M, Kanayama N, Terao T: A kunitz-type protease inhibitor bikunin disrupts ligand-induced oligomerization of receptors for transforming growth factor (TGF)-beta and subsequently suppresses TGF-beta signalings. FEBS Lett 576: 408-416, 2004.

著者

小林 浩 (奈良県立医科大学)

(産婦人科)

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