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用語集(詳細説明)

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合成プロテアーゼ阻害薬(フサン・FOY)
synthetic protease inhibitor (futhan・FOY)

解説

【概要】
 プロテアーゼ活性を阻害する(フサン:トロンビン、FXIIa、FXa、FVIIa、カリクレイン、プラスミン、補体(C1r、C1s)、トリプシン等、FOY:トリプシン、カリクレイン、プラスミン等)。抗トロンビン活性発現にはアンチトロンビンを必要としない。
膵炎、播種性血管内凝固症候群(DIC)等に使用されるが、常用量では凝固・線溶系の血液検査に及ぼす影響は少ない。

【一般名(製品名)】
 フサン:ナファモスタットメシル酸塩 (Nafamostat Mesilate)
 FOY:ガベキサートメシル酸塩 (Gabexate Mesilate)

【適応】
 いずれも膵炎、DIC が適応疾患となっている。フサンはまた血液体外循環時の凝固防止にも用いられる。この際は適正量を得るために、活性化全血凝固時間 (ACT) あるいは活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)等で効果をモニターする。

【副作用・禁忌】
 静脈炎、高K血症(フサン)に留意すべきである。また FOY は他の注射薬との配合により混濁を来たしやすい。

【構造と機能】
 フサン:分子量 535.59
 構造中のエステル結合がセリン酵素の活性中心のセリンと直接反応し、酵素活性を阻害する。抗凝固作用と共に抗線溶活性も強い。
 FOY:分子量 417.48
 凝固・線溶系いずれも抑制するが、凝固抑制作用がより強い。

【薬理動態】
 いずれも血中半減期は短い。
 フサン:成人男性に 40 mg を 90 分間で点滴投与した際、60 分後に血中濃度は最高 (93.2 ng/ml) となり、終了後速やかに低下(投与終了 1 時間後で 1 ng/ml 以下)。血中濃度の半減期β相は 23.1 分。FOY:10 mg/kg の静脈内投与時の血中半減期は 55 秒。

【DIC 治療における位置づけ】
 いずれも DIC に対して保険適応があり、出血性合併症を生じる頻度がヘパリン / ヘパリン類に比して少ないため、日常臨床で広く用いられてきた。フサンは血液疾患や一部の固形癌に伴う線溶優位型の DIC に対して効果が期待できる。フサン、FOY 共に、DIC 治療に対する推奨度は(B2)、血栓症併発時(C)、著明な出血・線溶亢進時(B1)、その他(B2) である。ただしかなり以前に実施されたこれらの臨床試験の結果と、最近の薬剤の効果との比較は困難であるとの意見もある。

図表

フサン構造式

フサン構造式

FOY

FOY

参考文献

1) 日本血栓止血学会学術標準化委員会 DIC 部会:科学的根拠に基づいた感染症に伴うDIC治療のエキスパートコンセンサス2009 医薬品インタビューフォーム - 鳥居薬品.

2) インタビューフォーム - 小野薬品工業 医療用医薬品情報.

引用文献

著者

浦野 哲盟 (浜松医科大学)

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