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用語集(詳細説明)

大分類:血小板

小分類:機構


血小板の構造
platelet structure

解説

【概要】
 血小板は骨髄巨核球の分離膜または細胞突起がちぎれて、血流中に放出される。直径2~3μmの円盤または碁石状の外形で(図1)、核はない(図2)。血小板は出血などで血管内皮細胞が傷害を受け、内皮下組織が露出した時、細胞外基質に粘着、形態変化、顆粒成分を放出して、相互に凝集する。

【血小板の構造】
 円盤形血小板の表面は必ずしも平滑ではなく、表面には数個以上の細胞膜の陥入構造である開放小管系(OCS)の開口部がみられる(図1, 矢印)。本構造は細胞質中に複雑に入り組んでおり、血小板活性化時に顆粒と融合して、顆粒成分の放出経路となる。細胞質には、血小板固有の小器官としてα顆粒(αG)、濃染顆粒(DG)、暗調小管系(DTS)が存在し、さらに他の細胞と同様にミトコンドリア(M)、微小管(MT)、グリコーゲン(Gly)などが存在する(図2)。α顆粒は血小板のなかで最も多い顆粒で、血小板1個当たり数十個存在する。直径0.3~0.5μmの球状体であるが、サブタイプとして楕円形、棒状または管状のα顆粒の存在が知られている1)。基質は電子密度が高いヌクレオイド(核様体)、やや暗調な中間調部、明調部の3領域に識別される。本顆粒にはβトロンボグロブリン(β-TG)血小板第4因子、血小板由来成長因子の血小板固有タンパク質の他に、フィブリノゲンフォン・ヴィレブランド因子等の粘着性タンパク質など、約300もの多くのタンパク質が存在する2)。一方、α顆粒膜上にはCD62をはじめとして数種のタンパク質が同定されている。濃染顆粒はδ顆粒とも呼ばれる。直径0.2~0.3μmの球状体で、内部に高電子密度の芯状構造をもつ。濃染顆粒は血小板1個当たり数個しか存在しない。濃染顆粒中にはCa2+アデノシン二リン酸(ADP)、ATPなどの生理活性物質が含まれる。一方、α顆粒膜と同様に本顆粒膜上にもCD63などのタンパク質が同定されている。暗調小管系は小胞体に相当する管状構造で、太さ40~60nm、内部はやや電子密度が高い。暗調小管系は濃染顆粒と同様にCa2+の貯蔵部位であり、血小板が活性化時に貯蔵するCa2+を遊離させ、細胞質内Ca2+濃度を上昇させる。微小管は(microtubules; MT)は直径約20nmで、縦断面では両極に10本前後の束となって観察される。微小管は血小板の円盤状構造維持に必須である3)。アクチンフィラメントは細胞質内、および細胞膜直下にも存在し、特にmembrane skeletonと呼ばれている。本構造にはactin-binding protein、スペクトリン、テリン、ビンキュリンなどの骨格タンパク質、タンパク質チロシンキナーゼ、低分子量Gタンパク質などが付随しており、特に血小板活性化時のシグナル伝達に関与している。

図表

図1 血小板の走査型電顕像(引用文献4より引用)

図1 血小板の走査型電顕像(引用文献4より引用)

図2 血小板の透過型電顕像

図2 血小板の透過型電顕像

参考文献

1) 鈴木英紀:血小板の超微細形態,一瀬白帝,丸山征郎,内山真一郎 編,新・血栓止血血管学 血管と血小板.金芳堂,2015,pp137-145.

2) Thon JN, Italiano JE: Platelets: production, morphology and ultrastructure. Handb Exp Pharmacol 210: 3-22, 2012.

3) White JG: Platelet structure. In: Michelson AD. ed. Platelets. II nd edition, Burlington, MA: Academic Press, 2006, pp45-73.

引用文献

1) van Nispen tot Pannerden H, de Haas F, Geerts W, Posthuma G, van Dijk S, Heijnen HF: The platelet interior revisited: electron tomography reveals tubular alpha-granule subtypes. Blood 116: 1147-1156, 2010.

2) Maynard DM, Heijnen HF, Horne MK, White JG, Gahl WA: Proteomic analysis of platelet alpha-granules using mass spectrometry. J Thromb Haemost 5: 1945-1955, 2007.

3) Kunishima S, Nishimura S, Suzuki H, Imaizumi M, Saito H: TUBB1 mutation disrupting microtubule assembly impairs proplatelet formation and results in congenital macrothrombocytopenia. Eur J Haematol 92: 276-282, 2014.

4)鈴木英紀: 血小板の微細構造と活性化による形態変化. 池田康夫, 丸山征郎編, 血小板生物学, メディカルレビュー社, 2004, pp97-109.

著者

鈴木 英紀 (日本医科大学 共同研究センター 形態解析共同研究施設)

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