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用語集(詳細説明)

大分類:凝固

小分類:疾患


慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)
chronic thromboembolic pulmonary hypertension(CTEPH)

解説

1)病態・病因
 器質化した血栓による肺動脈の狭窄や閉塞が原因となり肺高血圧(安静仰臥位での平均肺動脈圧が25 mmHg以上)を来した病態を指す。
 成因については不明な点が多く、急性肺血栓塞栓症からの移行例(急性の生存例の約0.1~0.5%、最近では3.8%との報告もある)以外に、肺動脈炎の関与も想定されている。CTEPHと最も関連がある凝固異常は抗リン脂質抗体症候群であり、およそ10~20%でみられる。

2) 疫学
 日本での2006年度難病治療給付対象者は800名であり、日本では女性に多いことが知られている(男性1:女性2.8)。

3) 検査と診断
 急性肺血栓塞栓症や他の原因による肺高血圧症との鑑別が重要であり、スクリーニング検査としては肺換気血流シンチグラフィが必須の検査といえる。造影CTでは近位側の壁在血栓が描出され、肺動脈造影ではpouch defects、webs and bandsやintimal irregularityといった特徴的な所見が認められる。

4)治療の実際
 低酸素血症に対する酸素療法の他、薬物治療では抗凝固療法が基本であり、肺血管拡張薬としては、唯一、可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤であるリオシグアトが承認され使用されている。
 平均肺動脈圧30mmHg以上、WHO機能分類3度以上、近位側に器質化血栓を有する症例は肺動脈血栓内膜摘除術(PEA)の適応であり、PEA施行により著しいQOLや生命予後改善が得られる。
 最近では末梢病変に対しては肺動脈バルーン拡張術(BPA)の有効性が報告され注目されている。

図表

参考文献

1) 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2008年度合同研究班報告):肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に関するガイドライン(2009年改訂版)(班長:安藤太三)http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2009_andoh_h.pdf

2) 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011年度合同研究班報告):肺高血圧症治療ガイドライン(2012年改訂版)(班長:中西宣文)http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2012_nakanishi_h.pdf

引用文献

著者

山田 典一 (三重大学大学院循環器・腎臓内科学)

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