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用語集(詳細説明)

大分類:凝固

小分類:治療


抗凝固療法時の観血的処置
 

解説

 観血的処置時の抗凝固療法の対処法に関するエビデンスは十分に整っていいないものの、いくつかの分野では研究が進み、ガイドラインが整備されつつある。これらの現状を踏まえて観血的処置を受ける場合の対処方法を記す。周術期にワルファリン療法を休薬すると重篤な脳梗塞などを約1%の頻度で発症し、多くは重篤である(1)。抜歯に関しては、ワルファリンを休薬せずに安全に抜歯できるとの報告が多く、PT-INRを治療域内で管理しワルファリン継続下での抜歯が各ガイドラインで薦められている(2,3)。白内障の手術時は角膜や水晶体を切開するが、血液が供給されていない器官で出血しないため、抗凝固薬を継続する(2)。消化器内視鏡においては、抗凝固薬単剤で治療中の場合は生検などの低侵襲術時には休薬しないが、抗血小板薬との併用時多剤やポリープ切除などの高侵襲術時には抗凝固薬の代替や休薬を考慮する(2,4)。休薬せざるを得ない場合は、ヘパリンでの代替や脱水を回避するなどの対応を考慮し、休薬の必要性とリスクを患者さんへ説明し、同意を文書であることが望ましい(5,6)。人工弁などの休薬に伴う血栓・塞栓症のリスクが高い症例では、休薬に対して一層慎重な対応が必要である。休薬の期間はワルファリンの場合は3-5日間、新規経口抗凝固薬の場合は24時間以上である(薬剤毎に腎機能や侵襲度で異なる)。抗血栓薬再開のタイミングは術者と相談して決める。ワルファリンを再開する場合は抗凝固作用が安定するまでに時間を要するのでヘパリンを併用する。新規経口抗凝固薬は内服後速やかに抗凝固作用を発揮するのでヘパリンの併用は不要と考えられる。

図表

参考文献

1) Wahl MJ: Dental surgery in anticoagulated patients. Arch Inter Med 158: 1610-1616, 1998.

2) 心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2013_inoue_h.pdf

3) 日本有病者歯科医療学会,日本口腔外科学会,日本老年歯科医学会:科学的根拠に基づく抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン,東京,学術社,2010.

4) 藤本一眞他:抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン,日本消化器内視鏡学会雑誌 54:2075-2102,2012.

5) 矢坂正弘,岡田靖:新規経口抗凝固薬に関する諸問題,脳卒中 35:121-127,2013.

6) 石川英一,矢坂正弘他:観血的医療処置時の抗血栓薬の 適切な管理に関する研究(MARK研究) 。-アンケートを用いた全国実態調査-,脳卒中 35:425-431,2013.

引用文献

著者

矢坂 正弘

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