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用語集(詳細説明)

大分類:凝固

小分類:治療


CHADS2スコアと抗凝固療法
 

解説

 非弁膜症性心房細動における脳梗塞発症のリスク評価方法としてCHADS2スコアが用いられる(1,2)。CHADS2スコアは5つの評価項目の頭文字をとって命名された頭字語で、各項目ごとに1~2点が配点され、0から6点で表される(表)。低リスク、中等度リスク、および高リスクにそれぞれ0点(年間脳梗塞発症率1.9%)、1点(同2.8%)、2点以上(同4.0%以上)が該当する。本スコア法は簡便で広く用いられ高リスク群の抽出に優れているが、真の低リスク症例の抽出力が弱く、0点や1点の群から脳梗塞の発症例が少なくないことが問題として指摘されている。一方、後に開発されたCHA2DS2-VAScスコアは8つの評価項目を用い0から9点で評価する(表)(2,3)。

 本法はやや複雑であるものの低リスクの抽出に優れている。ただし、「女性」という評価項目がリスクにならないとの反対意見がある(4)。これらの点を踏まえて、日本循環器学会のガイドラインではCHADS2スコアを採用し、その他のリスク項目でCHADS2スコアで評価できないリスク項目と考えられる「65歳~74歳」、「血管疾患(心筋梗塞の既往、末梢動脈疾患、大動脈プラーク)」および「心筋症」を評価するように工夫されている。2点以上でいずれかの抗凝固薬、1点以上でダビガトランとアピキサバンが「推奨」、リバーロキサバンとエドキサバンおよびワルファリンが「考慮可」、0点の場合、上述のその他のリスクのいずれかに該当すれば、いずれかの抗凝固薬を「考慮可」と記されている。ただし、抗凝固薬の推奨グレードが同じ場合は、ワルファリンに対して優越性を有する新規経口抗凝固薬を選択することが薦められている。

図表

表 CHADS<sub>2</sub>スコア

表 CHADS2スコア

参考文献

1) Gage BF, Waterman AD, Shannon W, Boechler M, Rich MW, Radford MJ: Validation of clinical classification schemes for predicting stroke: results from the National Registry of Atrial Fibrillation. JAMA 285: 2864-2870, 2001.

2) 心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2013_inoue_h.pdf

3) Lip GY, Nieuwlaat R, Pisters R, Lane DA, Crijns HJ: Refining clinical risk stratification for predicting stroke and thromboembolism in atrial fibrillation using a novel risk factor-based approach: the euro heart survey on atrial fibrillation. Chest 137: 263-272, 2010.

4) Okumura K, Inoue H, Atarashi H, Yamashita T, Tomita H, Origasa H; J-RHYTHM Registry Investigators: Validation of CHA₂DS₂-VASc and HAS-BLED scores in Japanese patients with nonvalvular atrial fibrillation: an analysis of the J-RHYTHM Registry. Circ J 78: 1593-1599, 2014.

引用文献

著者

矢坂 正弘 (九州医療センター)

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