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用語集(詳細説明)

大分類:凝固

小分類:薬剤


新鮮凍結血漿(FFP)
fresh frozen plasma(FFP)

解説

1)一般名(製品名)
 一般名は新鮮凍結血漿。日本赤十字社血液センターが献血血液より,あるいは院内自己血より調製して作製される。日本赤十字社は採血後すぐに白血球除去フィルターを通して貯蔵する「貯留前白血球除去」を行っているため,製品名にLR(leukocyte reduced)が付記されている。規格としては,FFP-LR120(1単位), -LR240(2単位), -LR480(4単位)の3つがある。-LR120, -LR240は全血採血由来であり,-LR480は成分採血由来である。

2)適応
 厚生労働省の「血液製剤の使用指針」では,その使用目的は「濃縮製剤のない凝固因子の補充」となっている。しかし,単独凝固因子欠乏に関しては,既に濃縮因子製剤が使用されており,現在濃縮製剤がないのは凝固第XI因子凝固第V因子のみである。むしろ循環血液量以上の出血に伴う複合的凝固因子欠乏や,凝固因子以外の血漿含有物質(例:ADAMTS13)の補充,血漿交換として使用されることが多い。

3)副作用
 同種タンパク質や夾雑物に対するアレルギー反応として,蕁麻疹,掻痒感などが多いが,まれに気道閉塞を伴うようなアナフィラキシーショックが起こり得る。また製剤内血漿に存在する抗白血球・顆粒球抗体が原因と考えられる輸血関連急性肺障害(TRALI: transfusion related acute lung injury)が起こることがある。血液センターは抗白血球・顆粒球抗体を有するドナーと考えられる妊娠経験のある女性からの血漿採血を避ける方針を出しているので,以前に比べればその頻度は減ったとされるが,未だに血小板採血は容認しているので,今後は血小板輸血によるTRALIが目立ってくるかも知れない。他に,過剰輸血による高ナトリウム血症,心不全,TACO(輸血関連循環過負荷)などがあり得る。

4)半減期
 血漿は多種多様のタンパク質,電解質等の集合物と言えるため,その半減期は成分によって違う。例えば凝固第VII因子は3~7時間であり,凝固第XIII因子は6~10日と様々である。

5)保管・使用方法
 マイナス20度以下で採血後1年間保管できる。使用にあたっては30~37℃で融解し,溶解後3時間以内に静脈内に投与する。もし3時間以内に使用できない場合には,再凍結はせず4℃にて保管するが,含有凝固第V因子や凝固第VIII因子は相当量失活する(凝固第VIII因子の場合,24時間で約25%)。凝固第VIII因子は融解の際に20%程度失活するとされているため,再凍結・再融解後の使用は避ける。

6)その他のポイント
 海外では止血の手段としてクリオプレシピテートが使用されているが,それは新鮮凍結血漿から作製される。近年,日本でも院内でクリオプレシピテートを作製して,止血のために使用する医療機関も増えている。クリオプレシピテートは新鮮凍結血漿に比べ,約10倍フィブリノゲンが濃縮されており,フィブリノゲン製剤の供給が不足している現在の日本では有用なフィブリノゲン濃縮製剤と言える。

図表

参考文献

1) 血液製剤の使用指針(改訂版),厚生労働省編,血液製剤の使用にあたって 第4版.東京,じほう,2009,43-99.

2) 日本赤十字社:輸血用血液製剤取り扱いマニュアル 2014年8月改訂版.東京,2014,11-18.

3) 脇本信博編,実践・輸血マニュアル.東京,医薬ジャーナル社,2012,30-35.

4) Alport EC, Callum JL, Nahirniak S, Eurich B, Hume HA: Cryoprecipitate use in 25 Canadian hospitals: commonly used outside of the published guidelines. Transfusion 48: 2122-2127, 2008.

引用文献

著者

藤井 輝久

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