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用語集(詳細説明)

大分類:血小板

小分類:機能分子


CD32 (FcγRIIA)
 

解説

【概要】
 FcγRIIA(CD32)は免疫グロブリンスーパーファミリーに属するFc受容体(FcR)の一つであり、免疫グロブリンG (IgG)に対する低親和性受容体である。40kDaの糖タンパク。血小板表面に900-5000のFcγRIIAが存在している。好酸球、好中球、Bリンパ球を含む白血球、血小板、マスト細胞、ランゲルハンス細胞、胎盤内皮細胞、樹状細胞に発現しており、抗体による炎症反応の初期段階では重要な役割を担っている。細胞膜の豊富なスフィンゴ脂質、およびリン脂質とコレステロールの飽和した、リピッドラフト(lipid raft)と呼ばれる領域にも存在し、集積することでシグナル伝達をする。この過程には放出されたアデノシン二リン酸(ADP)がFcγRIIaの刺激によって誘導される血小板活性化を顕著に調節するコファクターとなっている。

【構造と機能】
 2つのIg-様Fc受容体細胞外ドメインとITAM(immunereceptor tyrosine-based activation motif)を細胞内ドメインに持つ(図)。FcγRIIAの活性化はITAM内の2つのチロシンリン酸化からなり、Srcキナーゼにより引き起こされる。リン酸化したITAMはSH2ドメインを有したチロシンキナーゼSykを含むシグナルタンパクの結合部位として働き、ホスホリパーゼCγ2 (phospholipase Cγ2 PLCγ2)のリン酸化と活性化を促し、細胞内カルシウム濃度[Ca2+]i上昇やプロテインキナーゼC(protein kinase C; PKC)の活性化をともなう活性化反応を引き起こす。

【ノック・アウトマウスの表現形】
 マウスにはFcγRIIAは発現していない。ヒトのFcγRIIAを発現させたトランスジェニックマウスでは、IgG抗体による刺激に対して、重度の血小板減少症を引き起こす。

【病態との関わり】
 ヘパリン起因性血小板減少症(heparin-induce thrombocytopenia; HIT)は、ヘパリン血小板第4因子(platelet factor 4; PF4)により形成された複合体を抗原として産生された免疫抗体(HIT抗体)が免疫複合体形成後Fc部分を介して血小板膜のFcγRIIAに結合する反応により血小板が活性化することで発症する、免疫性の薬剤起因性血小板減少症である。

図表

図 FcγRIIAの構造と活性化反応

図 FcγRIIAの構造と活性化反応

参考文献

1) Bodin S, Tronchère H, Payrastre B: Lipid rafts are critical membrane domains in blood platelet activation processes. Biochim Biophys Acta 1610: 247-257, 2003.

2) 松尾武史:総説 ヘパリン起因性血小板減少症の現況,日本TDM研究会学会誌 Vol. 24 No. 1, 2007.

3) Takai T: Roles of Fc receptors in autoimmunity. Nat Rev Immunol 2: 580-592, 2008.

引用文献

著者

田村 典子

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