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用語集(詳細説明)

大分類:血小板

小分類:機能分子


P2X1
 

解説

 P2X1は血小板のADP/ATP受容体の1つである.P2X1受容体は血小板上のカルシウムチャネルとして機能する.

【分子量】
 P2X1受容体は、399個のアミノ酸よりなる.分子量は約50kDaである.

【構造】
 細胞膜2回貫通型のサブユニット3分子が会合して1つのイオンチャネルを形成している。

【機能】
 プリンやピリミジンヌクレオチドと反応するP2レセプターは、Gタンパク質共役受容体であるP2Y受容体と、P2X受容体とに大別される。P2X受容体は、主としてアデノシン三リン酸(adenosine triphosphate: ATP)により活性化される非選択的陽イオンチャネルである.そのアミノ酸配列に基づき7種類のサブタイプに分類されている。血小板には P2X1 とわずかにP2X4 とP2X7 が発現している.P2X1は,血小板以外に 神経細胞、平滑筋細胞などに発現を認める.細胞外ループにATPが結合すると、P2X1受容体の立体構造が変化して即座にCa2+ が流入し、ミオシン軽鎖やextracellular signal-regulated kinase (ERK) 2のリン酸化などを介して血小板の形態変化を引き起こす。Ca2+の流入は一過性で、偽足形成には至らないが,低濃度アゴニストやずり応力下での血小板反応性を亢進させる。
 
【ノック・アウトマウスの表現型】
 P2X1 欠損マウスでは、出血時間は正常なものの、血小板凝集の低下、低濃度コラーゲン刺激による顆粒放出反応の低下、高ずり応力の流動条件下での血栓形成低下など生体内での血栓形成が障害される.逆にP2X1過剰発現マウスでは、コラーゲンやエピネフリンによる血栓形成が亢進するなど易血栓性となる。

【病態との関わり】
 動脈狭窄部位では、高ずり応力下での傷害内皮や内皮下組織との接着によって血小板が活性化され、濃染顆粒からATPが放出されてP2X1受容体が活性化し、低濃度のコラーゲントロンビン、エピネフリンなどの生理的刺激による血栓形成や、高ずり応力下の血栓形成が促進される可能性がある。P2X1受容体異常症が報告され、生後から著明な出血傾向を認め、特に鼻出血がひどく、皮下・粘膜出血を繰り返す。1つのアレルにおいて2番目の膜貫通部位における351から354の間に局在する4つのLeuのうちの1つが欠失し、ATPによる電位差が生じなくなりチャンネル機能を傷害されている。

図表

P2X<sub>1</sub>受容体活性化機構の模式図(North RA, et al. Mol Pharmacol 2013, 83: 759-769.より引用)

P2X1受容体活性化機構の模式図(North RA, et al. Mol Pharmacol 2013, 83: 759-769.より引用)

参考文献

1) Mahaut-Smith MP, Jones S, Evans RJ: The P2X1 receptor and platelet function. Purinergic Signal 7: 341-356, 2011.

2) North RA, Jarvis MF: P2X receptors as drug targets. Mol Pharmacol 83: 759-769, 2013.

引用文献

著者

山崎 昌子

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