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用語集(詳細説明)

大分類:線溶

小分類:検査


包括的線溶活性測定法
global fibrinolytic assay

解説

【概要】
 線溶過程はプラスミノゲン活性化とフィブリン分解の2段階に単純化できる。しかしながら凝固系の種々凝固時間測定法とは異なり、包括的に活性を測定する一般的な検査法はない。血漿で作成したクロットの自然溶解に数日を要することが主な理由である。これを短縮し包括的線溶活性を測定する臨床検査法が模索されている。

【測定法・測定原理】
(1)ユーグロブリンクロット溶解時間(ECLT)、希釈血液(血漿)クロット溶解時間
 ECLTは血漿ユーグロブリン分画で作成したクロット(血栓,凝血塊)が自然溶解するまでの時間で,各血漿固有の線溶ポテンシャルを総合的にあらわす。ユーグロブリン分画は血漿の酸性領域(pH5.2)の等電点沈殿分画で、α2アンチプラスミン(α2AP)α2マクログロブリン(α2M)などプラスミンインヒビターを含まない。このため溶解時間は短く臨床検査として成り立つ。
 希釈血液(血漿)クロット溶解時間は、全血あるいは血漿を約10倍希釈することによりα2APを主体とするインヒビターの影響を弱め溶解時間を短縮している。
 両者ともに,主にplasminogen activator inhibitor 1(PAI-1)組織型プラスミノゲンアクチベータ(tPA)量とのバランスで決まる tPA活性を反映する。再現性の問題と検査の煩雑さからあまり測定されなくなったが,日内変動,炎症の有無、メタボリック症候群等、生理的な影響を鋭敏に捉える方法といえる。
(2)tPA添加血漿クロット溶解時間
 血漿に一定量のtPAを添加することにより,溶解時間を短縮して線溶活性を測定する方法である。Thrombin activatable fibrinolysis inhibitor(TAFI)の活性,α2APを主体とするインヒビター活性を推測するには良い方法である。しかし過剰量のtPAを添加するので,tPAとPAI-1量で規定されている線溶ポテンシャルを評価するのは難しい。
(3)Dダイマー産生能
 全血を凝固させ一定時間(2-3時間)37°Cで放置後、上清中のDダイマー量を測定する方法である。あらかじめアプロチニンを添加したコントロールと比較する。線溶系のいずれの過程の異常も反映する。

【基準値】
 いずれの測定法も個々の施設で正常値を設定している。通常、ECLTは3-10時間程度であるが、性、年齢、採血時間等の生理的要因により大きく変動する。またカルシウム添加により、内因性に産生されたトロンビンによりPAI-1活性が中和されて著明に短縮する。PAI-1欠損症例では1時間程度と短縮しており、またカルシウム添加による短縮を認めない。

図表

参考文献

1) 浦野哲盟等:血栓形成と凝固線溶,メディカル・サイエンス・インターナショナル,2013.

2) 浦野哲盟等:線溶系検査の意味するところ,臨床病理 59:703-708,2011.

3) Rijken DC, Lijnen HR: New insights into the molecular mechanisms of the fibrinolytic system. J Thromb Haemost 7: 4-13, 2009.

引用文献

著者

浦野 哲盟 (浜松医科大学医生理学講座)

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