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用語集(詳細説明)

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組織型プラスミノゲンアクチベータ(tPA)製剤
tissue plasminogen activator(tPA)

解説

【概要】
 組織型プラスミノゲンアクチベータ(tissue plasminogen activator; tPA)は、血漿タンパク質のプラスミノゲンプラスミンに活性化するプラスミノゲンアクチベータ(PA)である。生じたプラスミンが血栓の主な構成タンパク質であるフィブリンを分解する。 tPAはもう一つのPAであるウロキナーゼ型プラスミノゲンアクチベータ(uPA)と異なり、フィブリンに対する親和性を有しているためフィブリンに結合し、同時に酵素活性がフィブリン存在下で約1000倍亢進する。そのため、tPAが心筋梗塞や脳梗塞の治療に血栓溶解剤として用いられている。

【構造と機能】
 tPAの構造はメラノーマBowes株の分泌するものから同定され、クローニングされ、遺伝子組換え製剤として市販されている。分子量は約7万の糖タンパク質の一本鎖構造であるが、一本鎖tPAにも酵素活性が存在している。
 Nativeな構造をもつ第一世代tPA製剤は半減期が短く、そのため血中濃度を高く維持するために大量投与せざるを得ない。その結果出血などの副作用が見られたので、tPAの構造ー機能関係を解析し、半減期を延長させた第2世代tPA製剤が市販されるに至った。

【製剤】
1.アルテプラーゼ (商品名グルトバ、販売:田辺三菱製薬)
 第1世代tPAと言われるもので、米国のジェネンテック社が遺伝子組換えで製品化し、急性心筋梗塞に対する血栓溶解剤として承認された。
適応
1)急性心筋梗塞に対して発症後12時間以内に、成人には体重kg当たりアルテプラーゼとして29万~43.5万国際単位(0.5mg/kg~0.75mg/kg)を静脈内投与する。その際、血中濃度を上げるため総量の10%を1-2分で急速投与し、残りを1時間で投与する。この投与量は、人種的な差異のため欧米人に比べて低用量であるが、同等の血栓溶解効果が得られる。
2)脳梗塞(虚血性脳血管障害)に対して発症後4.5時間以内に、成人には体重kg当たりアルテプラーゼとして34.8万国際単位(0.6mg/kg)を静脈内投与する.ただし、投与量の上限は3,480万国際単位(60mg)までとする。投与の際、総量の10%を急速投与(1~2分間)し、残りを1時間で投与する。
副作用・禁忌
 本剤の投与により脳出血による死亡例が認められている。そのため、頭蓋内出血が認められた場合等の緊急時に、十分な措置が可能な設備及び体制の整った医療施設での使用が求められている。また、虚血性脳血管障害急性期患者への使用により、胸部大動脈解離の悪化あるいは胸部大動脈瘤破裂を起こし死亡に至った症例が報告されている。そのため、胸部大動脈解離あるいは胸部大動脈瘤を合併している可能性がある患者では、適応を十分に検討する必要がある。
半減期
 投与開始55分で血中濃度がピークに達し、その後半減期が6.3分(α相)および84.2分(β相)で消失する。

2.モンテプラーゼ (商品名クリアクター、販売名:エーザイ)
 Native tPAのN末から84番目のCys残基をSerに置換した第2世代tPAで、フィブリン親和性を有し、かつ半減期が23.6分と長いのが特徴である。
適応
1)急性心筋梗塞症:発症後12時間以内に冠動脈血栓の溶解のため体重kgあたりモンテプラーゼとして27500IUを静脈内投与する。
2)急性肺塞栓症:肺動脈血栓・塞栓の溶解のため体重kgあたりモンテプラーゼとして13750~27500IUを静脈内投与する。なお、ヘパリン投与による抗凝固療法を行うと共に肺動脈造影によって血栓・塞栓などを確認する。
副作用・禁忌
 脳出血、消化管出血、肺出血等の重篤な出血が現れることがある。そのため、出血している患者、2カ月以内に頭蓋内手術あるいは2カ月以内に脊髄手術又は2カ月以内に頭蓋内障害あるいは2カ月以内に脊髄障害を受けた患者、頭蓋内腫瘍、動静脈奇形、動脈瘤のある患者、出血性素因のある患者、重篤な高血圧症患者への使用は禁忌である。
半減期
 投与5分でピークに達し、その後半減期が23.66分(α相)および7.82時間(β相)で消失する。


図表

参考文献

引用文献

著者

松尾 理 (近畿大学医学部)

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