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用語集(詳細説明)

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α2マクログロブリン(α2M)
α2 macroglobulin(α2M)

解説

1)分子量,血中濃度
 α2マクログロブリン(α2M)は、主に肝臓で合成される分子量726,000の糖タンパク質で、血漿中に2-4 mg/mlの濃度で存在する。

2)構造と機能
 α2Mは、1451アミノ酸残基からなる単量体がジスルフィド結合によりホモダイマーを形成し、このホモダイマーがさらに非共有結合により会合したホモテトラマーである。合計5804アミノ酸残基からなり、分子内には13個のジスルフィド結合を有する。単量体の600-700残基付近は「ベイト(bait、餌)領域」と呼ばれ、セリンプロテアーゼをはじめほとんどすべてのプロテアーゼによって分解を受けやすい構造である。ベイト領域近傍には、トランスグルタミナーゼ反応領域が存在する。また、各々のサブユニットのC末端138残基には、受容体結合部位が存在する。この部位は、プロテアーゼとの結合による立体構造の変化により露出し、α2Mレセプターに結合してインターナリゼーションを受けるが、α2M単体には受容体結合能はない。α2Mは金属タンパク質であり、血漿中の主要な亜鉛結合タンパク質である。亜鉛結合の有無は、プロテアーゼ阻害活性には影響を及ぼさないが、インターロイキン(IL)-1βとの結合には亜鉛結合は必須である。
 α2Mは、ほとんどすべてのプロテアーゼ活性阻害作用を示し、ホルモンやサイトカイン結合活性も示し、それらのキャリアとして機能する。トロンビンプラスミンに対しても活性中心以外の部位で結合し、立体障害によりその活性を抑制するが、アンチトロンビンⅢやα2アンチプラスミンと比較するとその阻害効果は低いものと考えられる。

3)ノック・アウトマウスの表現型
 α2M-/-マウスは、妊娠、出産、成長、外見など、野生型マウスと差がない。α2M-/-マウスに、コリン・メチオニン欠乏、エチオニン添加食を給餌して誘導した急性膵炎モデルでは、野生型の死亡率は25%であったのに対して、α2M-/-マウスの死亡率は70%であった。これらの研究から、α2Mは急性膵炎において、プロテアーゼインヒビターとしての機能に加えて、腫瘍壊死因子α、IL-1、-6などの各種サイトカインのキャリアーとして機能することが明らかになった。

4)病態との関わり
 ネフローゼ、肝疾患、糖尿病で増加する。一方、肝機能障害、播種性血管内凝固症候群(DIC)、前立腺癌、急性膵炎 線溶亢進,急性膵炎、関節リウマチなどで減少する。

5)その他のポイント・お役立ち情報
 α2M は、炎症性サイトカインに加えて、PDGF(platelet-derived growth factor)、神経成長因子(NGF)などの増殖因子、鉄代謝に関与するヘプシジン(hepcidine)、食欲、体重の調節に関与するレプチン(leptin)などのホルモンを結合し、これらの活性や機能を制御している。

図表

参考文献

1) 上村晃一郎,水口純,中垣智弘:α2マクログロブリンの欠損マウス.日本血栓止血学会誌 9(1),78-80,1998.

引用文献

1) Rehman AA, Ahsan H, Khan FH: α-2-Macroglobulin: a physiological guardian. J Cell Physiol 228: 1665-1675, 2013.

2) Umans L, Serneels L, Overbergh L, Stas L, Van Leuven F: alpha2-macroglobulin- and murinoglobulin-1- deficient mice. A mouse model for acute pancreatitis. Am J Pathol 155: 983-993, 1999.

著者

関 泰一郎

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