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用語集(詳細説明)

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プロトロンビン複合体濃縮製剤(PCC)
prothrombin complex concentrate(PCC)

解説

【一般名(製品名)】
 一般名:プロトロンビン複合体濃縮製剤(prothrombin complex concentrate〔PCC〕)
 製品名:PPSB-HT静注用「ニチヤク」。国内で使用可能な製品は本剤のみで、200単位製剤(10ml)と500単位製剤(25ml)の2規格がある。本剤は国内の献血血漿を原料とし、イオン交換体による吸着・溶出と低温エタノール分画法とを組み合わせて精製され、ウイルス不活化を目的とした乾燥加熱処理(65℃、96時間)とウイルス除去を目的としたウイルス除去膜処理の2つの工程が組み込まれている。本剤の単位表記は凝固第IX因子含有量(20単位/ml)に基づき、その他に、同じくビタミンK依存性凝固因子であるプロトロンビン(凝固第II因子)23-33単位/ml、凝固第VII因子20-24単位/ml及び凝固第Ⅹ因子25-31単位/mlを含有する。

【適応】
 効能・効果には、「血液凝固第IX因子欠乏患者の出血傾向を抑制する」と記載されている。つまり、原則、血友病B患者のみに保険適応がある。しかし実際には、先天性プロトロンビン欠乏症及び第X因子欠乏症では本剤が第一選択治療薬となる。その他、ワルファリンやリバーロキサバン(経口活性化凝固第X因子阻害薬)を投与中の重大出血時にも本剤が有効であったとする報告がある。なお、第VII因子欠乏症の第一選択治療薬は遺伝子組換え活性型第VII因子(rFVIIa)製剤である。

【副作用・禁忌】
 重大な副作用として、アナフィラキシー様症状(頻度不明)と播種性血管内凝固症候群(DIC)(頻度不明)がある。その他の副作用として、発熱、顔面紅潮、蕁麻疹といった過敏症(頻度不明)の報告がある。当然、各凝固因子に対するインヒビターが発生する可能性はある。禁忌項目はないが、製剤中に微量のIgAが含有されるため、IgA欠損症患者には慎重に投与する。

【作用機序】
 血友病B患者では欠乏している凝固第IX因子を補充し、止血機能を改善する。その他、プロトロンビン、凝固第VII因子、凝固第X因子の欠乏時にもそれぞれの補充となり、通常の凝固カスケードを介して止血機能を改善する。

【半減期・代謝経路】
 凝固第IX因子の第I相及び第II相の血中半減期は平均8.2時間及び20.3時間、生体内回収率は平均64.8%であったとする報告がある。代謝経路に関しては、通常の人血漿タンパク質と同様に、肝臓等により代謝・異化され、異化された形(アミノ酸)で腎臓より尿中へ排泄されると考えられる。

【お役立ち情報】
1)PPSB-HTの名称は、プロトロンビン(prothrombin)、凝固第VII因子(proconvertin)、凝固第X因子(stuart factor)及び凝固第IX因子(antihemophilic factor B)の下線部分と、加熱処理(heat treated)の略であるHTに由来する。
2)PPSB-HTには添加物としてブタ腸粘膜由来のヘパリンが使用されているため、投与量によってはAPTT等の検査値への影響が予想される(100単位当たり25ヘパリン単位を含有)。
3)PPSB-HTの医薬品インタビューフォーム上の一般名は、「乾燥人血液凝固第IX因子複合体」と記載されている。
4)国内で使用可能なPCCとして以前は「プロプレックスST」もあったが、2006年6月をもって供給が終了した。
5)活性型プロトロンビン複合体製剤(activated prothrombin complex concentrate:APCC)と名称が類似しているが、APCCは凝固第VIII因子又は凝固第IX因子インヒビターを保有する患者に適応を有する。

図表

参考文献

1) 医薬品インタビューフォーム2010年12月(改訂第4版)日本標準商品分類番号876343 http://jbpo.or.jp/med/di/file/3483/

引用文献

著者

酒井 道生 (宗像水光会総合病院小児科)

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