研究テーマを検索

用語集(詳細説明)

大分類:凝固

小分類:検査


フィブリノペプチドA・B(FPA・FPB)
fibrinopeptide A,B(FPA・FPB)

解説

基準値:FPA: 2.0 ng/mL以下(EIA法)、FPB β15-42: 3.0 ng/mL (RIA法)

測定法:FPAはEIA法、FPBβ15-42はRIA法

異常値を示す病態とそのメカニズム:
 フィブリノペプチドA(FPA)は、トロンビンによりフィブリノゲンAαN末端Arg16-Gly17の結合が切断され遊離されたAla1-Arg16ペプチドである。FPAは、その陰性荷電によりフィブリノゲン分子間での重合を抑制するので、FPAが放出されたフィブリンモノマー(フィブリンI)のN末端は、近接するフィブリン分子のC末端と端端結合する。さらにトロンビンは、フィブリノゲンBβ鎖N末端のArg14-Gly15の結合を切断して、14ペプチドから成るフィブリノペプチドB(FPBβ1-14)を遊離する。このようにFPBβ1-14もトロンビン生成の間接的指標となりえる可能性がある。形成されたフィブリンIIは、重合して側側結合により、フィブリンポリマーを形成する。トロンビンにより活性化されたFXIIIaはCaイオンとともにフィブリンポリマーから安定化フィブリンを形成する。一方、生体内では、凝固反応は進むと組織型プラスミノゲンアクチベータ(tPA)が放出され、プラスミンが生成される。プラスミンはフィブリンIIのArg42-Ala43間を水解して、FPBβ15-42を生成する。以上より、FPAは、トロンビン生成や活性化によりフィブリノゲンから遊離して血中で増加するため、凝固亢進を把握できるマーカーとして血液凝固亢進状態診断や治療指標に利用されている。また、FPBβ15-42は、フィブリンに由来するペプチドのため、その上昇は線溶活性の発現とともに血栓形成を示唆する。

異常値に遭遇した際の対応:
 FPAやFPBβ15-42は、播種性血管内凝固症候群(DIC)、敗血症さらに急性心筋梗塞、悪性腫瘍で高値を呈することがある。しかし、採血時に血漿中に生じる微量トロンビンの影響を受けやすく、採血時の静脈うっ滞や検体処理の影響が大きいため、臨床検査として利便性に問題が指摘されている。

その他のポイント:
 血中半減期は3~5分と短く、採血には、ヘパリンアプロチニンを入れた特殊な採血管が必要となる。最近では、FPAに替りトロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)プロトロンビンフラグメント1+2(F1+2)の測定でトロンビン産生量を評価する機会が多くなっている。

図表

<b>図 フィブリノペプチドA(FPA)、フィブリノペプチドB(FPA) の生成機序</b><br> フィブリノゲンはトロンビンにより、まずFPAα1-16が遊離し、フィブリンモノマー(フィブリンI)が生成する。次に、トロンビンの作用によりFPBβ1-14が遊離し、フィブリンIIが生成する。フィブリンIIはフィブリンポリマーを形成後、活性化第XIII因子とカルシウムイオンの作用により、安定化フィブリンが生成する。プラスミンは安定化フィブリンからFPBβ15-42を遊離する。

図 フィブリノペプチドA(FPA)、フィブリノペプチドB(FPA) の生成機序
 フィブリノゲンはトロンビンにより、まずFPAα1-16が遊離し、フィブリンモノマー(フィブリンI)が生成する。次に、トロンビンの作用によりFPBβ1-14が遊離し、フィブリンIIが生成する。フィブリンIIはフィブリンポリマーを形成後、活性化第XIII因子とカルシウムイオンの作用により、安定化フィブリンが生成する。プラスミンは安定化フィブリンからFPBβ15-42を遊離する。

参考文献

1) 岡嶋研二:フィブリノペプチドA(FPA),フィブリノペプチドBβ1-14,フィブリノペプチドBβ15-42(FPBβ15-42).日本臨牀広範囲血液・尿化学検査免疫学的検査2:677-9,2010.

引用文献

著者

北島 勲

関連用語