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用語集(詳細説明)

大分類:凝固

小分類:機構


TFPIによる凝固制御機序

解説

 血液凝固反応は血中の凝固第VII因子が膜タンパク質である組織因子(TF)に結合することで開始される(外因系凝固反応という)。血中の凝固第VII因子の0.5-1%は活性型第VII因子(VIIa)として循環血中に存在する。酵素学的な解析から、このVIIa因子単独では凝固第X因子および凝固第IX因子の活性化能をほとんど示さず、TFと結合して始めて活性化能を示すことが明らかになっている。したがって、血液凝固反応の開始時は、まず少量しか存在しないVIIa因子がTFに結合しVIIa-TF複合体が形成され、これが凝固第X因子や凝固第IX因子を活性化する。こうして生成した活性型第X因子(Xa因子)が少量のトロンビン産生を行い、このトロンビンが、凝固第V因子、凝固第VIII因子凝固第XI因子などをフィードバック活性化することにより凝固系が大きく増幅されて、大量のトロンビンの形成に繋がると考えられている。

 この外因系凝固反応は2つのプロテアーゼインヒビター、すなわち組織因子経路インヒビター(Tissue factor pathway inhibitor, TFPI)アンチトロンビンで制御されている。TFPIの血中濃度は極めて低いこと(1-4 nmol/L)、またTFPIはVIIa-TF複合体とXa因子の両方を阻害できることから、TFPIは少量のVIIa-TF複合体が凝固第X因子を活性化する初期の凝固反応に働き、効率良く反応を負に制御すると考えられている。一方、アンチトロンビンの血中濃度は高いので(2400 nmol/L)、フィードバック活性化が起こり凝固反応がある程度進んでしまった凝固反応を止める働きがあると考えられている。

 組織因子の発現場所と存在時期については、止血反応の際には、血管の外膜にある繊維芽細胞や中膜の平滑筋細胞などに恒常的に組織因子が発現しており、血管の破綻時にはこの組織因子が止血反応に対応する。一方、血液が接する血管内皮細胞や白血球は組織因子を発現していない。しかし、ある種の病態時ではLPSや炎症性サイトカインなどにより、単球に組織因子が発現誘導されることがあり、この組織因子が血管内血栓形成や播種性血管内凝固症候群の主役を果たすと考えられている。このとき、活性化した単球から組織因子をもつマイクロパーティクル(TF-MP)が放出され、このTF-MPが組織因子の供給源になるとの報告もある。

図表

参考文献

引用文献

著者

宮田 敏行 (国立循環器病研究センター 分子病態部)

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