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用語集(詳細説明)

大分類:凝固

小分類:機能分子


プロテインC
protein C

解説

【分子量、半減期、血中濃度】
 分子量 62,000 Da。85%のプロテインC(PC)は軽鎖と重鎖がジスルフィド結合した二本鎖構造をとり、15%は一本鎖PCとして血中を循環する。半減期 6-8 時間。血中濃度 65 nmol/L (4 ug/mL)。

【構造と機能】
 肝で生合成され、N末端にGlaドメイン、続いて2つの上皮成長因子(Epidermal growth factor: EGF)様ドメイン、C末端にセリンプロテアーゼドメインをもつ。Glaドメインが欠如した活性化プロテインC(APC)の 立体構造が決定されている。ヒトPCのGlaドメイン内の9つのGlu残基は、ビタミンK依存性にカルボン酸が添加されてGla残基になっている。このこ とより、PCはビタミンK依存性抗凝固因子といえる。通常、Glaドメインは酸性リン脂質膜に結合するが、PCのGlaドメインと血管内皮細胞プロテインC受容体(EPCR)の細胞外領域が結合した複合体の立体構造が得られている。 PCは血小板内皮細胞上にあるEPCRに結合し、トロンボモジュリンに結合したトロンビンによりAPCに変換される。生成したAPCは抗凝固活性と細胞保護作用を示す。APCは血漿タンパク質プロテインS(PS)の存在下で活性化凝固第V因子(Va)と活性化凝固第VIII因子(VIIIa)を分解不活化する。これによりトロンビン形成が抑制され凝固系が負に制御される。この血管内皮細胞上のPC依存性抗凝固反応は極めて重要な抗凝固系であり、PCとPSの欠損症は静脈血栓症のリスクである。一方、EPCRに結合したAPCは、抗炎症能、抗アポトーシス能、内皮バリアー機能の保護といった細胞保護作用を示す。この作用は7回膜貫通領域をもつGタンパク質共役受容体(G protein-coupled receptor: GPCR)の1つであるProtease activated receptor-1(PAR-1)の活性化を介している。APCはセルピンであるプロテインCインヒビターで阻害される。

【ノックアウトマウスの表現形】
 PCノックアウトホモ接合体マウスは胎生致死であり、まれに産まれても24時間以内に死亡する。PC活性が1%以下、1%、3%、18%の遺伝子改変マウスも作製されている。

【病態との関わり】
 先天性ヘテロPC欠損症は一般人口の0.2%程度に見られ、静脈血栓症のリスクである。極めてまれな先天性ホモもしくは複合ヘテロPC欠損症は、新生児期に紫斑や出血性壊死、さらには多発性微小血栓による多臓器不全をきたす電撃性紫斑病を発症する場合がある。

図表

プロテインCの模式図

プロテインCの模式図

参考文献

1) 山本晃士:Protein Cの基礎と臨床,図説 血栓・止血・血管学,中外医学社,449-455,2005.

引用文献

著者

宮田 敏行 (国立循環器病研究センター 分子病態部)

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