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用語集(詳細説明)

大分類:凝固

小分類:機構


セルピンによる凝固制御機序
 

解説

【概要】
 セルピン(serpin)とはセリンプロテアーゼインヒビターの遺伝子スーパーファミリーであり、血液凝固系セリンプロテアーゼを阻害するセルピンとしてはアンチトロンビン(AT)やヘパリンコファクターⅡ(HCⅡ)プロテインZ依存性プロテアーゼインヒビター(ZPI)などが知られている(図1)。ATは殆どの凝固セリンプロテアーゼを阻害するが、生理的にはトロンビンや活性化凝固第X因子(Xa因子)、活性化凝固第IX因子(IXa因子)の阻害が重要である。HCⅡはトロンビン、ZPIはXa因子を特異的に阻害する。これらのセルピンの先天性欠損症やノックアウトマウスは血栓傾向を示す。

【その他の凝固系セリンプロテアーゼ阻害セルピン】
 C1インヒビター(C1INH)は補体系のC1sおよびC1rを阻害するセルピンとして同定されたが、内因系凝固の活性化XII因子(XIIa因子)や血漿カリクレイン、活性化XI因子(XIa因子)も阻害する(図1)。C1INHの先天性欠損症は遺伝性血管浮腫(HAE)を来たすが、その分子機序として、活性化型カリクレインの増加に伴う過剰なキニン産生が考えられている。他方、HAE発作時にも血栓傾向は見られず、生体内の凝固制御におけるC1INHの関与は明らかでない。α1アンチトリプシン(α1AT、α1プロテイナーゼインヒビター:α1PIとも呼ばれる)は好中球エラスターゼを阻害するが、XIa因子や活性化プロテインC(APC)も阻害する。ただし、α1ATの欠損症は一般的に、過剰なエラスターゼ活性が原因の肺気腫であり、生体内におけるα1ATの止血血栓への影響は明らかでない。

図表

図1 凝固系セリンプロテアーゼを阻害するセルピン

図1 凝固系セリンプロテアーゼを阻害するセルピン

参考文献

1) 血漿凝固・線溶制御セルピンの構造と機能,血栓止血誌 Vol23 No5:481,2012.

2) プロテインZ 依存性プロテアーゼインヒビターの構造と機能,血栓止血誌 Vol26 No3:330,2015.

引用文献

著者

武谷 浩之

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