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用語集(詳細説明)

大分類:血小板

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薬剤性血小板減少症
drug-induced thrombocytopenia

解説

【病態・病因】
 薬剤性血小板減少症(DITP)は、非免疫性と免疫性機序によって引き起こされるものに大別される。非免疫性機序での代表的薬剤は抗癌剤であり、その多くが骨髄抑制作用を有するため汎血球減少の一環として見られる。特異な非免疫性機序が知られている薬剤は、リネゾリトとボルテゾミブである。リネゾリトはペニシリン・バンコマイシン耐性グラム陽性球菌に対する抗菌剤で用量依存性の骨髄抑制が見られ、特に血小板減少が前面に出やすい。ボルテゾミブは骨髄腫の治療に用いられるプロテアソーム阻害剤であり、巨核球からの血小板放出が抑制されるため血小板減少をきたす機序が想定されている。その他、抗ウイルス薬は巨核球造血を抑制する作用があり、血小板減少をきたしやすい。
 免疫学的機序による血小板減少症は薬剤投与5-10日後に出現することが多く、血小板数は2万/μl以下まで低下して重篤な出血症状を呈することもまれでない。6つの異なる機序が知られており、それぞれの頻度と代表的薬剤を表1に示す。

【検査と診断】
 薬剤性血小板減少症を確実に診断できる検査は存在せず、免疫学的機序による血小板減少症では薬剤存在下でのみ血小板と結合する抗体がフローサイトメトリーなどで検出できれば有力な診断根拠になるが、臨床検査としては行われていない。臨床経過から血小板減少の原因と思われる薬剤を推定し、その薬剤中止後、血小板数が改善することを確認する以外に診断を確定する方法はない。

【治療】
 通常は薬剤中止1-2日後に血小板数は上昇してくるが、重篤な出血に対しては血小板輸血を行う。ステロイドや免疫グロブリン療法が行われることもあるがその有用性は不明である。

【その他の情報】
 これまでに薬剤性血小板減少症の原因として報告された薬剤、栄養サプリメント、食品のオンラインリストがあり、アップデートされている3)

図表

表1.薬剤誘発免疫性血小板減少症の機序別分類

表1.薬剤誘発免疫性血小板減少症の機序別分類

参考文献

1) Aster RH, Bougie DW: Drug-induced thrombocytopenia. N Engl J Med 357: 580-587, 2007.

2) Arnold DM, Nazi I, Warkentin TE, Smith JW, Toltl LJ, George JN, Kelton JG: Approach to the diagnosis and management of drug-induced immune thrombocytopenia. Transfus Med Rev 27: 137-145, 2013.

3) Platelets on the Web. 2007 James N. George. Design by Andreas Viklund. Updated by Department of Biostatistics & Epidemiology, College of Public Health, OUHSC Dee Terrell, PhD, Department of Biostatistics & Epidemiology, College of Public Health, OUHSC. http://www.ouhsc.edu/platelets/.

引用文献

著者

羽藤 高明

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