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用語集(詳細説明)

大分類:凝固

小分類:疾患


第X因子欠乏症・異常症
factor X deficiency / abnormality

解説

【病態・病因】
 常染色体劣性遺伝の疾患である。凝固第X因子の合成低下、機能の低下した凝固第X因子の産生、あるいはその両者の合併が原因で発症する。皮膚粘膜出血(皮下出血、鼻出血、歯肉出血)、外傷後過剰出血、月経過多、頭蓋内出血、関節内出血を生じる。出血の程度は凝固第X因子活性と相関し、凝固第X因子活性が1%以下の患者では、関節内、軟部組織、粘膜からの重症出血を生じる。軽症~中等症の第X因子欠乏症では、外傷もしくは外科手術後に出血が生じやすくなる。ヘテロ接合体では正常の50%ほどの凝固第X因子レベルであり、出血症状は通常は認められず、スクリーニング検査などで偶然に発見されることが多い。

【疫学】
 本症の発症頻度は100万人に1人と報告されている。わが国では平成25年度血液凝固異常症全国調査(厚生労働省委託事業)により、男性13名、女性7名、合計20名が報告されている。

【検査と診断】
 プロトロンビン時間(PT)活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)両系の延長が認められる。凝固第X因子活性の単独の低下が認められ、後天性の第X因子欠乏症を除外し、クロスミキシング試験で欠乏症パターンを呈した場合、診断が確定する。凝固第X因子活性・抗原量共に低下する欠乏症(量的異常)と、抗原量は正常であるが活性が低下する異常症(質的異常)に分類される。

【治療の実際】
 第X因子欠乏/異常症患者では、出血時の治療や術前の出血予防としてプロトロンビン複合体濃縮製剤(PCC)を使用する。止血のための最小必要量は10-20%であるが、補充療法は出血の重症度に応じて行うべきであり、軟部組織、粘膜、関節の出血には凝固第X因子活性値が正常の30%になるように補充し、出血がより重症な場合は、凝固第X因子活性値が50~100%になるように補充療法を行う。凝固第X因子の半減期はおよそ30時間であるため、維持療法は出血症状を考慮しながら24時間毎に実施する。

【その他のポイント・お役立ち情報】
 プロトロンビン複合体濃縮製剤(PCC)であるPPSB-HT「ニチヤク」は血漿由来の製剤であり、凝固第X因子が26.5単位/ml含まれている。

図表

参考文献

1) 公益財団法人エイズ予防財団 血液凝固異常症全国調査委員会:血液凝固異常症全国調査平成25年度報告書,10,2014.

引用文献

著者

長江 千愛

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