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用語集(詳細説明)

大分類:凝固

小分類:薬剤


経口トロンビン阻害薬
oral thrombin inhibitor

解説

【一般名】
 ダビガトランエテキシラート

【適応】
 非弁膜症性心房細動における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症予防(参照:「心房細動と抗凝固療法」)

【禁忌】
 1)薬剤成分に関し過敏症の既往歴のある患者、2)透析患者を含む高度腎障害(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)のある患者、3)出血症状、出血性素因のある患者及び止血障害のある患者、4)臨床的に問題となる出血リスクのある器質的病変(6か月以内の出血性脳卒中を含む)の患者、5)脊椎・硬膜外カテーテルを留置している患者及び抜去後1時間以内の患者、6) P糖タンパク質阻害剤の併用患者

【作用機序】
 分子量472Daの非ペプチド性低分子製剤で、トロンビンの活性部位に競合的かつ可逆的に結合(トロンビンへの阻害定数4.5nmol/L)し、フィブリノゲンからフィブリンへ変換するトロンビンの触媒反応を阻害して抗凝固作用を発揮する。遊離トロンビンとフィブリン血栓結合トロンビンの両者を阻害できる。

【半減期・代謝経路】
 本剤はプロドラッグであり、エステラーゼで加水分解されて活性代謝物ダビガトランとなる。Tmax 1.25-3時間、半減期12~14時間、腎排泄率80%、生物学的利用率6.5%。

【ポイント】
 ワルファリンとの第III相臨床試験(RE-LY)において、脳卒中、全身性塞栓症はダビガトラン110mgで非劣性かつ頭蓋内出血の減少を認め、ダビガトラン150mgで脳卒中および全身性塞栓症の有意な抑制を示したが大出血は同等であった。アジア人集団によるRE-LYサブ解析データでは、虚血性脳卒中発症率は、ダビガトラン110mg1日2回でワリファリンとは非劣性、150mg1日2回で有意なリスク減少結果が示されている(図)。本剤モニタリングに関しては、活性化部分トロンボプラスチン時間 (APTT) は、出血している患者では過度の抗凝固作用を判断する目安となる可能性が示唆されている。

図表

<b>図1 アジア人集団におけるワルファリンとダビガトラン(150㎎1日2回と110㎎1日2回)服薬おける虚血性脳卒中の発症率の比較</b><br>(RE-LYアジア集団サブ解析データHori M et al: Stroke. 2013;44:1891-1896より改変引用)

図1 アジア人集団におけるワルファリンとダビガトラン(150㎎1日2回と110㎎1日2回)服薬おける虚血性脳卒中の発症率の比較
(RE-LYアジア集団サブ解析データHori M et al: Stroke. 2013;44:1891-1896より改変引用)

ダビガトラン構造式

ダビガトラン構造式

参考文献

1) 村崎かがり:ダビガトランはどんな薬か,豊田一則編,心原性脳塞栓と経口抗凝固薬.フジメディカル出版,2013,45-52.

2) 北島勲:新規抗凝固薬のモニタリング,豊田一則編,心原性脳塞栓と経口抗凝固薬.フジメディカル出版,2013,88-99.

3) 北島委細:トロンビン阻害薬の薬理作用,山下武志,是枝之宏,矢坂正弘編,ファーマナビゲーター抗凝固療法編.メディカルレビュー社,2015,62-71.

引用文献

1) Hori W, et al: Dabigatoran versus warfarin: effects on ischemic and hemorrhagic strokes and bleeding in Asias ond non-Asians with artial fibrillation. Strokw 3013, 44(7): 1891-1896.

著者

北島 勲 (富山大学大学院医学薬学研究部臨床分子病態検査学講座)

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