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用語集(詳細説明)

大分類:凝固

小分類:機構


クリングル構造
kringle stracture

解説

定義
 多くのタンパク質は独立した構造的・機能的単位と考えられるドメイン(或いはモジュール)から構成されている。例えば免疫グロブリン様、成長因子様、フィブロネクチンII、III様、クリングルドメインなどが知られている。
 典型的クリングルドメインは、約80個のアミノ酸から構成され、特定の位置に6個のシステイン残基が保存されていて、3対のS-S結合により形成される特徴的折りたたみ構造を有する。このシステイン残基近傍のアミノ酸残基には極めて高いホモロジーが存在し、3つのS-S結合が構造的に安定したループ構造を提供する。クリングル遺伝子は約5億年前に出現し、分子進化の過程でエクソンシャッフリングを受けながらも構造はよく保存されてきた。形が北欧のクリングルと呼ばれるクッキーに似ていることから、Magnussonによってドメイン名として命名された。イタリアのクラッカーに似ていることから“プレッツェル”と呼ぶこともある。
 ヒトでは、アミノ酸配列の異なる39個のクリングルドメインが、少なくても31個のタンパク質に分布している。

ポイント1 代表的なクリングルドメインは次のような分子に存在する。

・凝固線溶因子:プロトロンビン凝固第XII因子プラスミノゲン組織型プラスミノゲンアクチベータウロキナーゼ型プラスミノゲンアクチベータなど

・その他:Hepatocyte growth factor(HGF), apolipoprotein A、マクロファージ刺激タンパク質、ニューロトリプシン、血漿ヒアルロナン結合タンパク質など。

ポイント2 クリングルドメインの正確な機能は未解明であるが、所属タンパク質に結合能を付与し、そのタンパク質の様々な生物活性を調節する事が示唆されている。例えば、組織型プラスミノゲンアクチベータに存在するクリングル2やプラスミノゲンのクリングル1+2+3は、プラスミンにより限定分解を受けて露出したフィブリンC末端lysineと特異的結合する“lysine結合部位”を有するとして知られている。循環血液中では両分子の反応は極めて効率が悪いが、両分子がフィブリンに結合すると、これらの分子の濃縮・構造変化が起き、プラスミンの基質となるフィブリン上でプラスミン活性化反応が効率よく進行する。

図表

参考文献

引用文献

著者

坂田 洋一 (自治医科大学医学部分子病態治療研究センター 分子病態研究部)

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