![]() |
||||
|
|
||||
|
||||
|
平成18年度 活動計画書
1.血友病止血療法のガイドライン案の作成
血友病の出血症状に対する止血治療の基本は第VIII因子あるいは第IX因子製剤を用いる補充療法あるいはインヒビター保有症例ではバイパス止血療法である。止血療法の実施にあたっては、出血部位や重症度を考慮し、製剤の選択、投与量、投与期間を決定することが必要である。しかしながら、わが国に確立されたガイドラインはなく、専門施設を中心とした経験的な指針に基づいて実施されているのが現状である。したがって、施設間、医師間で差があることは否定できない。そこで、本検討部会では、内外の止血補充療法の現状を調査し、止血補充療法の臨床的・基礎的エビデンスを集積することによりわが国における血友病止血補充療法のガイドライン案を作成することを目的として活動を実施した。まず、本年2月18日に慶応大学で開催された日本血栓止血学会学術標準化委員会2006シンポジウムで、ガイドライン案作成にむけてシンポジウムを開催した。シンポジウムは
1. 小児科施設からの紹介:瀧 正志先生(聖マリアンナ医科大学小児科) 小児の血友病医療を実施しているわが国の4施設を対象に、各出血症状に対する製剤投与量、目標因子レベルと投与間隔、投与期間、併用薬などの項目についてアンケート調査が実施された。さらに、厚生省研究班昭和56年度研究報告集のガイドラインや米国のMontgomery RRらの小児のガイドラインを比較資料として検討され、小児血友病止血補充療法ガイドライン案が提示され検討がなされた。 2. 内科施設からの紹介:松下 正先生(名古屋大学医学部血液・腫瘍内科) 血友病の治療ガイドライン策定において専門施設のopinionは無視できない。したがって、瀧先生と同一のアンケート調査が内科領域5施設を対象に実施された。調査結果から施設間に大きな差は認められなかったものの、差異のあった個々の項目に関連して、補充療法ガイドライン作成にあたり必要な検討事項が提案された。 3. 欧米のガイドラインの紹介:天野 景裕先生(東京医科大学臨床検査医学) 米、英, 伊、豪の4カ国の血友病止血療法に関するガイドライン、WFHおよび米国National Hemophilia Foundationのガイドラインについて比較検討された。欧米のガイドラインでは治療目標、方法および製剤選択に関する情報、凝固因子活性の標準化に関して記載されているが、補充療法の用量まで言及されているものは少ないこと、初期投与量は比較的多めに設定されていること、補充療法継続期間は症状消失までを原則としていることなどが特徴としてあげられた。 4-1止血療法のEBM-凝固因子製剤の臨床試験から:酒井 道生先生(産業医科大学小児科) 血液凝固因子および血液凝固阻害物質に関する研究(厚生省血液研究事業1981年)における血友病補充療法基準案、今日の治療指針(1995年、1998年、2003年)および各遺伝子組換型第VIII因子製剤の多施設共同臨床研究における成績を調査資料として、現状の治療指針の妥当性について臨床的観点から検討された。 4-2凝血学的エビデンスから:嶋 緑倫(奈良県立医科大学小児科) 従来の血友病補充療法に関する治療指針は臨床的経験の集積に基づいて作成されているが、より安全かつ有効なガイドラインの作成にあたっては凝血学的エビデンスも必要である。そこで、正確な凝固因子測定の重要性とともに、凝固波形およびトロンビン生成能測定などの新たなトータルな凝固機能評価法に基づく凝固因子レベルと凝固機能に関する解析結果が示された。 5.バイパス止血療法のガイドライン:田中一郎先生(奈良県立医科大学小児科) バイパス止血療法における治療製剤の選択や投与方法、モニタリング検査、抗線溶薬の併用、保険適応外使用、副作用について、国内の血友病専門8施設のアンケート結果をもとに海外(英国、カナダ、イタリア)のガイドラインと比較検討された。さらに、調査結果にもとづきバイパス止血療法のガイドライン案が提示された。 本シンポジウムでの議論をもとに平成18年6月17日浜松にて部会を開催して血友病補充療法とバイパス止血療法のガイドライン案について議論を重ねた。2006年度はさらに部会を開催し、ガイドライン案をまとめ、日本血栓止血学会理事会に提出することを目的に活動を実施する。 2.後天性インヒビターに関する前方視および後方視的調査研究
本邦における後天性凝固因子インヒビター症例の実態を把握する目的でアンケート形式による前方視的調査研究を行い、2003年10月1日から2006年5月末現在で40施設53例の登録があった。うち、51例が第VIII因子、1例が第V因子、1例が第VIII、IX、XI、XII因子に対するインヒビターであった。調査は本年9月末で終了とし、その調査内容については第29回日本血栓止血学会学術集会で発表するとともに学会誌に投稿の予定である。
3.患者様と医療者との血友病診療連携についての懇談会:
2006年3月5日、東京医科大学病院会議室にて「第3回 患者様と医療者との血友病診療連携についての懇談会」を開催した。今回も全国の血友病患者会からの代表と血友病検討部会員が集まり血友病の医療について議論を行った。2006年度も引き続き、患者グループと血友病診療医師・看護師との交流の場を設定することを計画する。血友病衣料全般に関する患者の意見や要望を取り上げ、全体の合意をもとに本検討部会として行うべき方向性を探っていく。
4.血友病標準化検討部会コンセンサスシンポジウム:
2007年に慶応大学にて実施予定の日本血栓止血学会学術集会SSCのコンセンサスシンポジウムに参加する。
5.免疫寛容導入療法に関する国際的無作為化比較対照試験
2006年度も引き続き実施する。
6.血友病患者の出血エピソードと関節症に関する臨床研究
血友病生関節症は、止血管理の進歩により小児の関節症は今後減少することが期待できるが、関節内出血の反復に基づく血友病性関節症の進行は重大な問題である。この血友病性関節症の発生に関して、関節内出血が主因であることは周知の事実であるが、その程度や回数が関節症に与える影響について、明確に答えることは出来ない。また、関節内出血の治療において、止血治療は当然であるが、いかに関節症へ進行させないかが最も重要な治療目的で、そのためには、関節内出血と関節症の関係を明確にする必要があると考える。
そこで血友病患者の臨床症状とレントゲンを登録していただき横断分析を行うことで、前述の問題を解明することを目的として研究を開始した。2006年度も引き続き調査研究を実施する。 日本血栓止血学会 血友病検討部会
|
|
|
|
|
||||